文献情報
文献番号
201309002A
報告書区分
総括
研究課題名
ブレイン・マシン・インターフェースによる運動・コミュニケーション機能支援装置の臨床研究
課題番号
H23-臨研推-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
平田 雅之 (大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 吉峰 俊樹(大阪大学 医学系研究科)
- 鈴木隆文(独立行政法人情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター)
- 横井浩史(電気通信大学)
- 吉田毅(広島大学)
- 佐藤文博(東北大学)
- 柳澤琢史(大阪大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、重症重症筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象として、3次元高密度多極脳表電極とブレイン・マシン・インターフェース(BMI)による脳信号解読を用いて、有線型の運動・コミュニケーション支援装置の臨床研究を行うとともに、ワイヤレス埋込型BMI装置を臨床試験実施可能なレベルの実用機の開発と非臨床試験実施を目指す。
研究方法
1)重症ALS患者に対する有線接続でのBMIの臨床研究
平成24年度末より開始している1例目の症例の臨床研究を継続、完了する。症例の解析を行う。
2)MEGを用いた非侵襲検査による評価手法の探索
平成24年に引き続き、MEGを用いて運動内容推定とリアルタイムロボット制御を行い、ALS患者1名に対して適用した。
また脳信号解読を行う際、通常、実運動を行いその運動と脳信号解読による運動推定を比較して信号解読の推定精度を評価するが、実際に脳信号解読を必要とする患者は運動障害により実運動は困難で、運動想起時の脳信号を解読する必要がある。そこで、実運動と運動想起とで脳活動、信号解読の類似点、相違点を調べた。
3)ワイヤレス埋込型BMI装置の実用化開発
ワイヤレス埋込型BMI装置の実用化開発に関しては、集積化アンプ・非接触充電電源・ワイヤレス通信装置のベンチテスト・最適化設計・不具合対策を、平成24年度に引き続き進める。サル2頭に体内埋込装置を長期間(6ヶ月)埋込み、安全性、耐久性を評価した。
5)ロボットアームの実用化開発と改良
拮抗筋制御を導入した多自由度ロボットハンドを開発した。また肘・肩関節用2自由度関節をアルミ合金で再設計した。
6)企業連携と研究費確保
体内埋込装置開発に関して、日本光電工業をはじめとする国内企業と連携を進めた。また昨年度に引き続き厚生労働科学研究費補助金(医療機器開発推進研究事業)に申請した。
7)成果の発信
患者団体での成果の発信、マスコミ報道、学会発表を積極的に行った。
平成24年度末より開始している1例目の症例の臨床研究を継続、完了する。症例の解析を行う。
2)MEGを用いた非侵襲検査による評価手法の探索
平成24年に引き続き、MEGを用いて運動内容推定とリアルタイムロボット制御を行い、ALS患者1名に対して適用した。
また脳信号解読を行う際、通常、実運動を行いその運動と脳信号解読による運動推定を比較して信号解読の推定精度を評価するが、実際に脳信号解読を必要とする患者は運動障害により実運動は困難で、運動想起時の脳信号を解読する必要がある。そこで、実運動と運動想起とで脳活動、信号解読の類似点、相違点を調べた。
3)ワイヤレス埋込型BMI装置の実用化開発
ワイヤレス埋込型BMI装置の実用化開発に関しては、集積化アンプ・非接触充電電源・ワイヤレス通信装置のベンチテスト・最適化設計・不具合対策を、平成24年度に引き続き進める。サル2頭に体内埋込装置を長期間(6ヶ月)埋込み、安全性、耐久性を評価した。
5)ロボットアームの実用化開発と改良
拮抗筋制御を導入した多自由度ロボットハンドを開発した。また肘・肩関節用2自由度関節をアルミ合金で再設計した。
6)企業連携と研究費確保
体内埋込装置開発に関して、日本光電工業をはじめとする国内企業と連携を進めた。また昨年度に引き続き厚生労働科学研究費補助金(医療機器開発推進研究事業)に申請した。
7)成果の発信
患者団体での成果の発信、マスコミ報道、学会発表を積極的に行った。
結果と考察
1)重症ALS患者に対する有線接続でのBMIの臨床研究を継続、完了した。その結果、重症ALS患者において、皮質脳波・脳磁図を用いたBMIにより、1回1回の運動内容推定とロボットアームのリアルタイム制御に、世界で初めて成功した。
2)また脳磁図装置(MEG)を用いて非侵襲検査による評価手法の探索研究をさらに進め、ALS患者計1名に対して行った。その結果、ALS患者合計4名において、MEGを用いて、皮質脳波には及ばないものの、1回1回の運動内容推定とロボットアームのリアルタイム制御が可能であることを確認した。また実運動と運動想起とで、脳活動の近似性と相違性、脳信号解読精度との関係を調べ、評価指標として実運動、運動イメージ開始直前の運動関連脳磁界成分が有用であると考えられた。
3)現行集積化アンプのノイズ特性を評価するため、コモンモード除去比(CMRR)を計測した。この結果を踏まえて、製品化版集積化アンプでは低雑音化を実現するため、最適な回路構成、構成回路の仕様、ノイズ抑圧機能を検討して集積回路の設計、検証およびレイアウト設計を行った。設計した回路をシミュレーションにて検証した。 埋込装置をさらに小型化するために、集積化チップと電極の直接接続の検討を行った。平成24年度に試作したワイヤレス通信モジュールの低電力化に合わせて受電側コイルを小型化し、その性能を評価した。サル2頭に対して長期埋込実験を完了した。外部制御機器であるロボットアームをさらに改良を進めた。
4)埋込装置の実用化のため、企業との連携体制を進展させ、日本光電工業と正式な共同研究開発をH26年4月より開始することを決定した。本臨床研究の進捗状況に関する報告を患者団体の会合を通して行った。
2)また脳磁図装置(MEG)を用いて非侵襲検査による評価手法の探索研究をさらに進め、ALS患者計1名に対して行った。その結果、ALS患者合計4名において、MEGを用いて、皮質脳波には及ばないものの、1回1回の運動内容推定とロボットアームのリアルタイム制御が可能であることを確認した。また実運動と運動想起とで、脳活動の近似性と相違性、脳信号解読精度との関係を調べ、評価指標として実運動、運動イメージ開始直前の運動関連脳磁界成分が有用であると考えられた。
3)現行集積化アンプのノイズ特性を評価するため、コモンモード除去比(CMRR)を計測した。この結果を踏まえて、製品化版集積化アンプでは低雑音化を実現するため、最適な回路構成、構成回路の仕様、ノイズ抑圧機能を検討して集積回路の設計、検証およびレイアウト設計を行った。設計した回路をシミュレーションにて検証した。 埋込装置をさらに小型化するために、集積化チップと電極の直接接続の検討を行った。平成24年度に試作したワイヤレス通信モジュールの低電力化に合わせて受電側コイルを小型化し、その性能を評価した。サル2頭に対して長期埋込実験を完了した。外部制御機器であるロボットアームをさらに改良を進めた。
4)埋込装置の実用化のため、企業との連携体制を進展させ、日本光電工業と正式な共同研究開発をH26年4月より開始することを決定した。本臨床研究の進捗状況に関する報告を患者団体の会合を通して行った。
結論
1)重症ALS患者に対する有線接続でのBMIの臨床研究により、重症ALS患者おいても脳信号解読とリアルタイムロボット制御ができることが分かった。
2)脳磁図を用いて非侵襲的に侵襲型BMIに移行する際の術前評価や術前訓練ができる可能性が示された。
3)集積化アンプの低ノイズ化に目途をつけ、長期埋込による安定動作に成功した。
2)脳磁図を用いて非侵襲的に侵襲型BMIに移行する際の術前評価や術前訓練ができる可能性が示された。
3)集積化アンプの低ノイズ化に目途をつけ、長期埋込による安定動作に成功した。
公開日・更新日
公開日
2015-03-11
更新日
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