文献情報
文献番号
201303007A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の生活習慣病対策を世界各国の政策へ適切に反映させるための比較政策的研究
課題番号
H24-地球規模-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 )
研究分担者(所属機関)
- 冨田 奈穂子(国立保健医療科学院)
- 堀井 聡子(国立保健医療科学院)
- 大澤 絵里(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,328,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国が生活習慣病対策(NCD)に関する経験を諸外国に活用してもらい、今後この政策分野でのリーダーシップをとるためには、日本と諸外国のNCD政策の詳細な比較分析が必須である。平成25年度は以下の3研究を実施した。
(1)途上国の非感染性疾患対策の現状と文化的背景に関する研究
(2)NCD対策に関するわが国の知見の集約と情報発信についての動向と今後の課題
(3)英国、韓国、米国における子どもに対する高脂質・糖分・塩分食品および飲料のマーケティング規制
(1)途上国の非感染性疾患対策の現状と文化的背景に関する研究
(2)NCD対策に関するわが国の知見の集約と情報発信についての動向と今後の課題
(3)英国、韓国、米国における子どもに対する高脂質・糖分・塩分食品および飲料のマーケティング規制
研究方法
(1)途上国の非感染性疾患対策の現状と文化的背景に関する研究
1)日本の自治体による生活習慣病対策の傾向と効果に関する研究として、①自治体による生活習慣病対策に関する論文の文献レビュー、②第72回日本公衆衛生学会総会(平成25年10月)において発表された事例(抄録)のレビュー、③同学会発表をもとに、発表者が関与した生活習慣病対策の代表事例に関して、事業関係者へのインタビュー調査、の3調査を実施した。
2)民間企業による保健医療分野における海外支援の実際に関する研究として、①BOPビジネスについて、文献等を用いた調査、②民間企業による海外支援に関する情報収集、③経産省、外務省、企業等の関係者に対するインタビューの3調査を実施。
(2)NCD対策に関するわが国の知見の集約と情報発信についての動向と今後の課題
国内外の学術誌を中心とした文献調査ならびに関係者への聞き取り調査を行い、NCD対策におけるわが国の知見を世界各国の政策へ適切に反映させて行くための今後の課題について検討した。
(3)英国、韓国、米国における子どもに対する高脂質・糖分・塩分食品および飲料のマーケティング規制
文献を参考に、関係機関・省庁から発表されている資料、論文、法律文書から最新の情報を収集し、法令・規則名、規制主体、規制主体の権限、“子ども”の定義、規制内容(放送内容、放送時間帯)、HFSS食品・飲料の定義について3か国で比較検討した。
1)日本の自治体による生活習慣病対策の傾向と効果に関する研究として、①自治体による生活習慣病対策に関する論文の文献レビュー、②第72回日本公衆衛生学会総会(平成25年10月)において発表された事例(抄録)のレビュー、③同学会発表をもとに、発表者が関与した生活習慣病対策の代表事例に関して、事業関係者へのインタビュー調査、の3調査を実施した。
2)民間企業による保健医療分野における海外支援の実際に関する研究として、①BOPビジネスについて、文献等を用いた調査、②民間企業による海外支援に関する情報収集、③経産省、外務省、企業等の関係者に対するインタビューの3調査を実施。
(2)NCD対策に関するわが国の知見の集約と情報発信についての動向と今後の課題
国内外の学術誌を中心とした文献調査ならびに関係者への聞き取り調査を行い、NCD対策におけるわが国の知見を世界各国の政策へ適切に反映させて行くための今後の課題について検討した。
(3)英国、韓国、米国における子どもに対する高脂質・糖分・塩分食品および飲料のマーケティング規制
文献を参考に、関係機関・省庁から発表されている資料、論文、法律文書から最新の情報を収集し、法令・規則名、規制主体、規制主体の権限、“子ども”の定義、規制内容(放送内容、放送時間帯)、HFSS食品・飲料の定義について3か国で比較検討した。
結果と考察
1.日本の自治体の生活習慣病対策に関する研究の傾向として、対策の効果に関する報告(介入研究)は少なく、実態調査が7割を占め、とくに高齢者保健福祉や、精神保健に関する調査が多い傾向があった。今後、日本の自治体の生活習慣病対策を、諸外国の生活習慣病対策に活用するためには、介入研究あるいは実践報告研究を積み重ね、対策の効果をシンセシスしていくことが重要であると考えられた。
2.民間企業による保健医療分野の主要な支援には、経済産業省によるアウトバウンド調査事業と複数の機関によって実施されるBOPビジネス支援などがあった。今日ニーズが増大している低所得国のNCD対策に貢献するような事業は存在しなかった。
3.予防や治療に対する施策が複数存在するNCDに対して、諸外国が費用対効果の高い施策をエビデンスに基づいて選択・実施出来るような状況を整備することが必要で、そのためにわが国で実施されたNCDの予防・治療に関する施策について医療技術評価を用いた政策評価を実施し、積極的にエビデンスの創出に貢献することが求められる。
4.子どもに対するHFSS食品・飲料マーケティング規制について、法的規制、自主規制と各国の対応は様々であるが、英国、韓国、米国の規制内容の比較からは、12歳未満の初等教育レベルの子どもに対する魅力的なマーケティングを規制する政策の必要性が明らかとなった。WHOの提言でも、子どもに対するHFSS食品・飲料マーケティング規制の評価の早期実施を求めており、今後早急に規制政策の子どもの食習慣への影響を評価することが必要である。
2.民間企業による保健医療分野の主要な支援には、経済産業省によるアウトバウンド調査事業と複数の機関によって実施されるBOPビジネス支援などがあった。今日ニーズが増大している低所得国のNCD対策に貢献するような事業は存在しなかった。
3.予防や治療に対する施策が複数存在するNCDに対して、諸外国が費用対効果の高い施策をエビデンスに基づいて選択・実施出来るような状況を整備することが必要で、そのためにわが国で実施されたNCDの予防・治療に関する施策について医療技術評価を用いた政策評価を実施し、積極的にエビデンスの創出に貢献することが求められる。
4.子どもに対するHFSS食品・飲料マーケティング規制について、法的規制、自主規制と各国の対応は様々であるが、英国、韓国、米国の規制内容の比較からは、12歳未満の初等教育レベルの子どもに対する魅力的なマーケティングを規制する政策の必要性が明らかとなった。WHOの提言でも、子どもに対するHFSS食品・飲料マーケティング規制の評価の早期実施を求めており、今後早急に規制政策の子どもの食習慣への影響を評価することが必要である。
結論
生活習慣病対策については、事業自体は着実に実施されているものの、自治体及び民間企業において、科学的根拠をもって途上国に推奨できるようなエビデンスが不足していることが明らかになった。
また、子どもに対するHFSS食品・飲料のマーケティング規制については、わが国は、英国、韓国、米国に比べて対応が遅れており、今後、評価研究に基づく検討が必要であると考えられた。
また、子どもに対するHFSS食品・飲料のマーケティング規制については、わが国は、英国、韓国、米国に比べて対応が遅れており、今後、評価研究に基づく検討が必要であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2015-03-06
更新日
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