文献情報
文献番号
201242001A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト幹細胞を用いた再生医療の臨床実用化のための基盤構築に関する研究
課題番号
H24-実用化(再生)-指定-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中井 謙太(東京大学医科学研究所 機能解析イン・シリコ分野)
研究分担者(所属機関)
- 秋山 昌範(東京大学政策ビジョン研究センター)
- 山中 伸弥(京都大学iPS細胞研究所)
- 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所)
- 中辻 憲夫(京都大学再生医科学研究所)
- 岡野 栄之(慶應義塾大学)
- 梅澤 明弘(国立成育医療研究センター)
- 西田 幸二(大阪大学)
- 高橋 政代(理化学研究所 )
- 大和 雅之(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(再生医療関係研究分野)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
700,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒト等の幹細胞を用いた再生医療技術の早期実用化に向け、再生医療に関わる我が国の研究機関が情報共有を図ることによって、オールジャパン体制で研究を加速させるための情報基盤の構築を目的とする。
研究方法
研究分担者が所属する各拠点機関に情報収集用の計算機を設置し、それぞれの実験・臨床研究現場から産出される生データをリアルタイムで収集する。収集したデータは、各拠点機関で指定した共有条件を付加し、暗号化した形で、データセンターに設置したサーバーに転送する。中核機関では、閲覧を許可されたデータを分析し、新知見等が得られた場合は、その内容や条件に応じてデータ提供者や国民に向けてフィードバックする。
具体的には、主に以下の取組を行った。
1) 4つの拠点機関と中核機関、データセンターを安全に結ぶ、セキュリティー面に配慮したコンピュータシステム(情報基盤)を構築。
2) 実験室内での情報を電子化し、また収集されたデータを総合的に活用するためのソフトウェアを試作。
3) 現場の情報入力負担を考慮しながら、実験室の情報を電子化するための、デジタルペンによる実験ノート記載や電子ラボノートシステムの利用を促進。
4) 一部の分担研究者と研究代表者の間で、研究代表者の専門をいかした共同研究を展開。
5) 研究協力者にDNA配列決定の専門家を加え、分担研究者から提供を受けたサンプルを解析し、その結果をフィードバック。
6) データ提供や公開に伴う不利益を最小限にするため、公開可能なデータ内容に関する倫理面での基準や、知的所有権に関するルール作り等を進めるELSI委員会の設立準備。
7) プロジェクトを一般国民や再生医療関係者に広く知ってもらうための広報活動。
具体的には、主に以下の取組を行った。
1) 4つの拠点機関と中核機関、データセンターを安全に結ぶ、セキュリティー面に配慮したコンピュータシステム(情報基盤)を構築。
2) 実験室内での情報を電子化し、また収集されたデータを総合的に活用するためのソフトウェアを試作。
3) 現場の情報入力負担を考慮しながら、実験室の情報を電子化するための、デジタルペンによる実験ノート記載や電子ラボノートシステムの利用を促進。
4) 一部の分担研究者と研究代表者の間で、研究代表者の専門をいかした共同研究を展開。
5) 研究協力者にDNA配列決定の専門家を加え、分担研究者から提供を受けたサンプルを解析し、その結果をフィードバック。
6) データ提供や公開に伴う不利益を最小限にするため、公開可能なデータ内容に関する倫理面での基準や、知的所有権に関するルール作り等を進めるELSI委員会の設立準備。
7) プロジェクトを一般国民や再生医療関係者に広く知ってもらうための広報活動。
結果と考察
1) 情報基盤の構築
H24年度になってから、導入すべきシステムの仕様を全面的に見直したため、今年度は全拠点にシステムを導入することはできなかったが、今年度の経験といかしつつ、来年度には全拠点へのシステム導入を完了する。
2) ソフトウェアの開発
班員へのインタビューに基づいて、現場のニーズや導入の容易さ等を検討し、3種類のソフトウェアを開発した。すなわち、デジタルペンなどで入力された実験データを管理し、煩雑になりがちな実験手順書(SOP)を電子化するための実験データ管理システム、新たに得られた幹細胞の遺伝子発現データを、公共データベースに収められた幹細胞などの発現データと比較するための幹細胞遺伝子発現情報解析ツール、そしてこれらのソフトと連携して、取り込んだデータ間の関係や、細胞間の遺伝子発現パターンの類似性を可視化するための幹細胞情報の可視化システムである。
3) 実験室情報の電子化
今回、情報システム導入拠点には、iPadなどのスレート端末を配布するとともに、デジタルペンを用いて、通常の紙のノートをとるのとほぼ同じ感覚で情報を電子的に保存する仕組みと、市販の電子ラボノートシステムの両方を導入した。
4) 中核機関と拠点機関の間の共同研究
前年度から行ってきた大和研究室との共同研究に加えて、中井研究室と西田研究室、岡野研究室との共同研究をそれぞれ進行させている。
5) 次世代シークエンシングと解析の受託
拠点機関からのデータ提供を加速させるために、代表研究者が得意としている次世代シークエンサーを用いた解析の受託を行った。すなわち、サンプルの提供を受けると、研究協力者がシークエンシングを行い、得られたデータを中核機関で解析して、結果をお返しし、同時にシステムに登録していただいた。
6) ELSI 準備委員会の開催
上智大学町野朔教授をはじめ、6名に委員を委嘱した。会議の議事要旨をプロジェクトのホームページ上で公開した。主な討議内容は、ELSI委員会でどのような問題を扱うべきかや、その位置づけ、さらにそれらに基づく設置要綱案のとりまとめである。
7) 広報活動
今年度は前年度に用意した本プロジェクトのウェブサイトの拡充に努めた。研究評価委員会やELSI準備委員会の議事要旨をウェブ上で公開するとともに、再生医療の実用化研究の現状について調査し、調査内容の一部を掲載した。
H24年度になってから、導入すべきシステムの仕様を全面的に見直したため、今年度は全拠点にシステムを導入することはできなかったが、今年度の経験といかしつつ、来年度には全拠点へのシステム導入を完了する。
2) ソフトウェアの開発
班員へのインタビューに基づいて、現場のニーズや導入の容易さ等を検討し、3種類のソフトウェアを開発した。すなわち、デジタルペンなどで入力された実験データを管理し、煩雑になりがちな実験手順書(SOP)を電子化するための実験データ管理システム、新たに得られた幹細胞の遺伝子発現データを、公共データベースに収められた幹細胞などの発現データと比較するための幹細胞遺伝子発現情報解析ツール、そしてこれらのソフトと連携して、取り込んだデータ間の関係や、細胞間の遺伝子発現パターンの類似性を可視化するための幹細胞情報の可視化システムである。
3) 実験室情報の電子化
今回、情報システム導入拠点には、iPadなどのスレート端末を配布するとともに、デジタルペンを用いて、通常の紙のノートをとるのとほぼ同じ感覚で情報を電子的に保存する仕組みと、市販の電子ラボノートシステムの両方を導入した。
4) 中核機関と拠点機関の間の共同研究
前年度から行ってきた大和研究室との共同研究に加えて、中井研究室と西田研究室、岡野研究室との共同研究をそれぞれ進行させている。
5) 次世代シークエンシングと解析の受託
拠点機関からのデータ提供を加速させるために、代表研究者が得意としている次世代シークエンサーを用いた解析の受託を行った。すなわち、サンプルの提供を受けると、研究協力者がシークエンシングを行い、得られたデータを中核機関で解析して、結果をお返しし、同時にシステムに登録していただいた。
6) ELSI 準備委員会の開催
上智大学町野朔教授をはじめ、6名に委員を委嘱した。会議の議事要旨をプロジェクトのホームページ上で公開した。主な討議内容は、ELSI委員会でどのような問題を扱うべきかや、その位置づけ、さらにそれらに基づく設置要綱案のとりまとめである。
7) 広報活動
今年度は前年度に用意した本プロジェクトのウェブサイトの拡充に努めた。研究評価委員会やELSI準備委員会の議事要旨をウェブ上で公開するとともに、再生医療の実用化研究の現状について調査し、調査内容の一部を掲載した。
結論
各拠点機関において、それぞれ分担した研究を進めるとともに、そこから得られた生データをなるべく現場の研究者に受け入れ易い形で収集し、共有を図ることで、再生医療研究の臨床応用を加速するための情報システムの構築を進めた。前年度の繰越予算を用いて、先行する4つの拠点機関とデータセンターに必要な機器を設置し、ソフト類を開発した。また、次世代シークエンサーを用いた解析を中核機関で受託し、情報共有のルール作りのための準備作業を行った。その結果、徐々にデータが集まり始め、中核機関と拠点機関との共同研究も広がりを見せ始めた。
公開日・更新日
公開日
2013-09-02
更新日
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