大災害時の復旧・復興工事における労働災害の発生要因の分析及び対策の検討

文献情報

文献番号
201233016A
報告書区分
総括
研究課題名
大災害時の復旧・復興工事における労働災害の発生要因の分析及び対策の検討
課題番号
H24-労働-指定(復興)-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 和也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 高梨 成次(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 堀 智仁(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 日野 泰道(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 豊澤 康男(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 玉手 聡(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 大幢 勝利(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 吉川 直孝(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成23年3月11日14時46分に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震並びにその後の大規模余震(以下「東日本大震災」という。)は,死者15,859名,行方不明者3,021名,負傷者6,107名(平成24年5月23日現在,警察庁発表)となる戦後最大の震災となった。このような巨大地震では,甚大な人的被害はもとより,津波災害,地すべり・崖崩れ・落石などの土砂災害,それに伴う河道閉塞,橋梁の倒壊等による交通網やライフラインの寸断,住宅などの建築物や構造物の倒壊等の被害,火災による建物の延焼等が広域に発生する。地震発生直後から被災地へ物資を供給するためには,寸断された交通網の迅速かつ的確な復旧工事が必要とされる。また,建物などが密集した地域では,被害者救助のための建物内の緊急工事とともに,損傷を受けた建物の倒壊による二次災害防止のための解体・撤去工事が必要とされる。このため,震災復旧工事は,安全のための十分な調査を待たずして開始されることが多く,震災復旧工事を行う作業員は不安全な状況下で作業を行わざるを得ない。特に,地震による被害の場合には,余震による被害の拡大も考えられるため,一般的な作業に比べてより慎重な作業が要求される。しかしながら,震災復旧工事では緊急の復旧工事を経験したことのある作業員は少なく,また,被災者を雇用することによる建設業への新規参入者が増えることなどから,十分な安全対策を行わずに作業を行い,労働災害に発展したケースもある。このため,地震により被災した箇所の震災復旧・復興工事について,その危険性を明らかにするとともに,現場に対して工事の進捗状況に応じたの安全情報を適時に提供する必要がある。本申請研究では,大災害時の復旧・復興工事における労働災害の発生要因の調査・分析及びそれらを踏まえた的確な労働災害防止対策情報の提供を目指すものである。具体的に本申請研究では,以下の3項目について研究を行なう。
1) 東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析
2) 東日本大震災復旧・復興工事の実態調査
3) 大災害時の復旧・復興工事における労働災害防止対策の検討
研究方法
研究初年度は,「東日本大震災及び過去の震災に係る復旧・復興工事による労働災害の調査・分析」として①過去の震災復旧・復興工事による労働災害発生状況と実際の復旧・復興プロセスの関係性調査,②東日本大震災からの復興の工程表からみた労働安全衛生対策,及び「東日本大震災復旧・復興工事の実態調査」として③被災地への現地調査による復旧・復興時の問題点等の抽出を行う予定である。当然ながら得られた成果や情報については,時々刻々と変化する被災地の復旧・復興工事に鑑みて,随時行政へ情報提供する。
結果と考察
以下に研究初年度の結果をまとめる。
① 過去の震災における復旧・復興プロセスと労働災害発生状況の関係性調査
平成16年に発生した新潟県中越地震と平成19年に発生した新潟県中越沖地震における復旧・復興プロセスを抽出・整理し,震災復旧・復興工事中の労働災害発生状況との関係性について調査した。特に,震災復旧・復興工事中の労働災害については,地震による災害復旧工事による労働災害の特徴や地震毎の被害の違いについて分析を行い,地震被害に応じた災害復旧工事による労働災害発生の蓋然性についても検討した.
② 東日本大震災における復旧・復興工事による労働災害事例のデータベース化と労働災害発生状況の分析
東日本大震災での労働災害の発生状況について震災発生から約1年6ヶ月までの休業4日以上の死傷病災害を調査し,震災復旧工事における労働災害の特徴や地域毎の被害と災害の関係などについて分析を行い,地震被害に応じた災害復旧工事による労働災害発生の蓋然性の検証を行った.
③ 東日本大震災の復旧・復興工事の実態調査
東日本大震災の復旧・復興工事の現状を把握するために,津波による被害が甚大であった宮城県,岩手県を中心として実態調査を実施した。なお,本調査は宮城労働局の協力のもと実施された。
結論
今年度実施した研究成果により,
① 過去の地震により被災した箇所の震災復旧・復興工事中の労働災害事例のデータベースの作成
② 東日本大震災における現状の労働災害発生蓋然性が高い工種の事前情報の提供
③ 東日本大震災を含めた過去の震災による災害復旧工事中の労働災害事例から,今後発生が予想される震災の被害予測と災害発生の蓋然性の提供
が行える。②については,(独)労働安全衛生総合研究所ホームページに成果がまとまり次第逐次公表している。①,③については,次年度以降に継続的に検討を行い,成果を一般に公表・活用できるように努める。

公開日・更新日

公開日
2013-10-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201233016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
200,000円
(2)補助金確定額
200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,754,359円
人件費・謝金 0円
旅費 74,890円
その他 170,751円
間接経費 0円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2014-06-16
更新日
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