がれきの処理作業など短期期間作業にも対応可能なアスベストの簡易測定方法の開発

文献情報

文献番号
201233015A
報告書区分
総括
研究課題名
がれきの処理作業など短期期間作業にも対応可能なアスベストの簡易測定方法の開発
課題番号
H24-労働-一般(復興)-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 治彦(公益社団法人 日本作業環境測定協会 精度管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小西 淑人(株式会社 エフアンドエーテクノロジー研究所)
  • 山崎 淳司(早稲田大学 創造理工学部)
  • 薮田 十司(北里大学 医療衛生学部)
  • 寺田 和申(公益社団法人 日本作業環境測定協会 精度管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
解体現場等や被災地におけるがれき処理作業に伴い、二次的に飛散したアスベスト繊維を吸引する危険性があり、がれき処理労働者の健康影響を考慮すれば、作業時のアスベスト濃度を正確に把握する必要がある。作業時の石綿濃度測定用機器としてリアルタイムファイバーモニター(以下「リアルタイムモニター」という)があるが、がれき処理で飛散する可能性がある繊維状粒子の種類は、当該現場で使用されていたアスベストとアスベスト以外の繊維状粒子として「①有機質繊維(植物繊維や保護衣を着たり脱いだりした時の作業服等の衣服から飛散する繊維)と「②無機質繊維(人造鉱物繊:ックウール等)」が考えられ、リアルタイムモニターの計測値は正確なアスベスト繊維数濃を反映しているとは言いがたい。そこでリアルタイムモニターの検出器に取り込まれる前に①及び②の繊維状粒子を除去する前処理を行い、これらを除去した状態でリアルタイムモニター内に取込むことが可能になれば、リアルタイムモニターの計測値はアスベスト繊維の値とほぼ同じになる。そこで、リアルタイムモニターで計測値が「アスベスト繊維」にほぼ等しくなるために、アスベスト繊維以外の「①有機質繊維」と「②無機質繊維」を除去する手法の検討を行うこととした。

研究方法
平成24年度は「①有機質繊維」の除去方法を中心に検討を行った。今回検討した有機質除去処理装置は、高温で熱源部分の距離が比較的長い管状電気炉を改造して検討した。実験に使用した有機質繊維は「綿」、「稲わら」、「パルプ」とし、この他に「クリソタイル」を繊維粒子発生装置に別々に発生させ、発生装置の次に希釈用トラップを接続し、このトラップの一方から白色メンブランフィルターφ25mmをろ過材としたろ過捕集方法で、2L/minで10分間捕集し、総繊維数濃度を測定した。他方の空気の流れは、希釈トラップから1台目のリアルタイムモニターで繊維状粒子を計測した後、改造型管状電気炉を通過後、2台目のリアルタイムモニターで繊維状粒子を計測するように設置した。希釈トラップ中の総繊維数濃度と2台目のリアルタイムモニターのバックアップフィルターの総繊維数濃度と比較することで、除去効果を求めた。管状電気炉の設定温度は、700℃、850℃で実施した。この他に「②無機質繊維」を除去するための定性的検討等も実施した。
結果と考察
①有機質繊維」の除去するための前処理装置としては、改造型管状電気炉を使用し、電気炉の設定温度を850℃(空気温度が660℃)の条件で加熱部分を2L/minの流量で通過させる条件が最も効率よく、稲わら93.7%、パルプ99.3%、綿99.7%といずれも90%以上の除去率が得られることが判明した。また、この温度条件下では、ジンバブエ産のクリソタイル繊維がほとんど温度の影響を受けないことも判明した。以上のことから、「市販のリアルタイムモニターの吸引流量2L/minに対して、最適な有機質繊維除去条件は、電気炉の設定温度850℃(空気温度約660℃)で加熱した内径24mm、管長2950mmのステンレス製パイプ(パイプ内滞留時間0.34sec)を通過させることであると判明した。また、無機質繊維の除去に関しては、ロックウールを使用し、霧化したギ酸の雰囲気下を通過させることで、ロックウールが溶解することの定性的な確認ができた。
結論
解体現場等や被災地におけるがれき処理作業で飛散する可能性がある繊維の種類として、「アスベスト綿繊」以外の繊維としては大きく分けると「①有機質繊維」と「②無機質繊維(ロックウール)」があるが「有機質繊維」については、最も効果的な有機質繊維を除去する装置を開発することができた。
一方「無機質繊維」の除去方法については、予備的実験で霧化したギ酸の雰囲気中を通過させるることで、ロックウールを溶解させることを確認できた。
平成25年度は霧化したギ酸の雰囲気中の容器の容積やロックウール等の無機質繊維の滞在時間のデータを蓄積することで最も良い条件を見つけ、除去処理装置を開発する予定としている。

公開日・更新日

公開日
2013-10-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201233015Z