小児救急医療体制のあり方に関する研究:こどもの急病モバイルサイトの構築と小児救急電話相談事業(#8000)情報の有機的活用の研究

文献情報

文献番号
201232008A
報告書区分
総括
研究課題名
小児救急医療体制のあり方に関する研究:こどもの急病モバイルサイトの構築と小児救急電話相談事業(#8000)情報の有機的活用の研究
課題番号
H24-医療-一般-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松裏 裕行(東邦大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 正彦(日本小児科医会)
  • 清水 直樹(東京都立小児総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
6,860,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
逼迫する小児救急医療問題の打開には、保護者への受診前情報提供と一次~三次小児救急医療連携の改善などによる医療資源の有効活用が必須である。急速な携帯情報端末の普及を鑑みてこどもの急病モバイルサイトを構築することにより、効率的な情報提供と利用状況の解析に基づく高次救急医療への連携体制作りの提言が可能となると考えられる。そこで本研究では(1)こどもの救急モバイルサイトの構築および小児救急電話相談事業(#8000)の情報との有機的活用法の検討、(2)重篤小児集約拠点のあり方について検討することを目的に研究した。
研究方法
こどもの急病モバイルサイトは症状から診断名を導くのではなく、救急受診を要する小児の症状の簡単な見分け方や家庭での応急処置、そして救急室を受診すべき目安を明らかにすることに注力する。さらに小児救急電話相談事業(#8000)の電話相談員が相談を受けた際にも適切な回答を迅速に行えるような内容となるようにする。また自治体毎に設置するHPなどの情報を取捨選択し救急対応可能な医療機関の適切な情報提供を可能にするシステムの研究を行うなど他の情報提供体制との連携のあり方を研究する。重篤小児集約拠点のあり方の研究には日本救急医学会・日本集中治療医学会と日本小児科学会と合同で、PICU・小児救命救急センター等の施設実績検証と認定・評価のあり方と救命救急センター・特定集中治療室等を重篤小児集約拠点とするための要件を課題として研究する。
 
結果と考察
こどもの救急サイトWG:6回のWG会議と3回の臨時個別検討会を経て要件定義について完了しプログラムを作成した。基本コンセプトは①使い易い(求める情報を3クリック程度で得られる)、②わかり易い(専門用語を避け平易な言葉で簡潔に述べる)、③要点のみ(文字情報は極力コンパクトにする)、④保護者の不安の解消に重点を置く(受診すべきか否かの迷いに対する回答を提供する)とした。さらにPCサイト開設以来7年間のサイトアクセス・ログをエクセルの表形式にまとめてヒット数などの解析して本サイトの有用性を検証した。#8000WG:全国都道府県衛生部長会の協力を得て、広島県健康福祉局医療政策課を通じて、47都道府県の担当課へアンケート調査を行った。。アンケート回収後の集計と解析は(株)ダイヤルサービスに委託した。重篤小児の拠点のあり方:日本小児救急医学会社会保険委員会「救命救急医療におけるPICUのあり方にかかる検討WG(日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本小児科学会等)」のメンバーとして中心的な働きをしている研究協力者を招聘し以下の点について考察した。(1)PICU・小児救命救急センター等の施設実績検証と認定・評価のあり方については小児救命救急センターと東京都こども救命センターとを対象として救命救急事業活動実績につき既存の救命救急センター・特定集中治療室との連携の観点から分析した。また、各施設における人的要件実績についても検討した。(2) 救命救急センター・特定集中治療室等を重篤小児集約拠点とする要件)については重篤小児患者を集約するにあたり、PICUではないユニットへ集約する際の課題について検討した。わが国の救命救急センター・特定集中治療室のなかでも、重篤小児患者を多く応需している施設の実績調査を含めて検討した。
結論
以上の研究成果により、アクセスログを集計してどの自治体の小児一次救急医療に関する情報のニーズが高いか、その時間帯はいつかなどの解析が可能となり、ブロックないし全国情報支援センターなど#8000制度の更なる改善のための情報収集が可能になった。また、モバイル端末からのアクセスが可能になり、ユーザーの利便性が著しく向上し、更なるアクセス数の増多が期待される。その結果、保護者の不安解消と小児一次救急の負担軽減、#8000相談センター設置に関する情報提供が可能となる。さらに簡易アンケート機能により制限はあるもののユーザーとの双方向性が実現し、ユーザーの本サイトへの評価と#8000制度のニーズが調査可能になった。一方、重篤小児の拠点のあり方について今後は(1)重篤小児集約拠点(小児救命救急センター・PICU等)における人的医療資源要件と計画的養成・配置にかかる研究、(2)重篤小児集約拠点における物的医療資源と特殊治療機器(小児麻酔術後管理等)の計画的開発・配置にかかる研究、(3) ヘリコプター等による緊急患者搬送体制と重篤小児集約拠点にかかる研究、(4)重篤小児集約拠点未設置地域における拠点設置にむけた医療政策にかかる研究等を行うことが必要であることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2013-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201232008C

収支報告書

文献番号
201232008Z