小児期からの消化器系希少難治性疾患群の包括的調査研究とシームレスなガイドライン作成

文献情報

文献番号
201231138A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期からの消化器系希少難治性疾患群の包括的調査研究とシームレスなガイドライン作成
課題番号
H24-難治等(難)-一般-037
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
田口 智章(九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 淳(横浜市立大学附属病院)
  • 窪田 昭男(和歌山県立医科大学)
  • 福澤 正洋(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 松藤 凡(鹿児島大学大学院)
  • 渡邉 芳夫(あいち小児保健医療総合センター)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター)
  • 八木 実(久留米大学医学部)
  • 浜田 吉則(関西医科大学附属枚方病院)
  • 増本 幸二(筑波大学医学医療系)
  • 牛島 高介(久留米大学医療センター)
  • 位田 忍(地方独立法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 内田 恵一(三重大学医学部付属病院)
  • 中澤 温子(国立成育医療研究センター)
  • 孝橋 賢一(九州大学医学研究院)
  • 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所)
  • 家入 里志(九州大学 大学病院)
  • 仁尾 正記(東北大学大学院医学系研究科)
  • 松井 陽(国立成育医療研究センター)
  • 安藤 久實(愛知県心身障害者コロニー)
  • 北川 博昭(聖マリアンナ医科大学)
  • 窪田 正幸(新潟大学医歯学系)
  • 韮澤 融司(杏林大学医学部)
  • 鈴木 達也(藤田保健衛生大学医学部)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学医学部)
  • 田尻 達郎(京都府立医科大学医学研究科)
  • 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 前田 貢作(自治医科大学医学部)
  • 土岐 彰(昭和大学医学部)
  • 月森 清巳(福岡市立こども病院)
  • 藤野 明浩(慶應義塾大学医学部)
  • 森川 康英(慶應義塾大学医学部)
  • 岩中 督(東京大学大学院医学系研究科)
  • 上野 滋(東海大学医学部)
  • 左合 治彦(国立成育医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
53,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 消化器系の希少難治性疾患群は、ヒルシュスプルング病類縁疾患(慢性特発性偽性腸閉塞症を含む、以下H類縁と略す)、先天性胆道閉鎖を含む新生児胆汁うっ滞症候群、乳幼児巨大肝血管腫、腹部リンパ管腫、顕微鏡的大腸炎、原因不明小腸潰瘍など、胎児期・新生児期や小児期に発症し成人に至る長期的な経過をたどるものが多い。したがって胎児期、新生児期、乳幼児期、学童期から成人までシームレスな診療が提供できるような、的確な分類に基づく重症度の階層化や診断基準や治療指針を提供するガイドラインの作成が急務とされている。
 この研究では、初年度に関連学会を基盤とした全国調査の準備を整え文献的考察を行い、次年度に全国調査の実施と症例の集積と分析を行い、疾患別に重症度による新分類を提唱し、小児から成人へのトランジションを考慮に入れたシームレスな医療を提供できる診断・治療のガイドラインの作成に着手する。さらにすでに登録制度が確立されている胆道閉鎖症をモデルとして、他の疾患の登録システムを発足し、中長期的な追跡調査が可能な登録体制を構築することを目的とする。
研究方法
 消化器系の希少難治性疾患群である、(1)H類縁(慢性特発性偽性腸閉塞症を含む)、(2)先天性胆道閉鎖を含む新生児胆汁うっ滞症候群、(3)乳幼児巨大肝血管腫、(4)腹部リンパ管腫、(5)顕微鏡的大腸炎および原因不明小腸潰瘍各疾患の5つの疾患群に分類し全数把握と診断法と治療に関する調査研究を実施する。
 本疾患群はかなり専門的で特殊な疾患のため、本疾患群をとり扱っている関連7学会の代表すべてを分担研究者とし、全数調査および情報交換が容易に行える協力体制を構築する。
さらに疾患横断的に(a)病理学的検討、(b)胎児診断、(c)疾患iPS細胞の作成の3つのグループがそれぞれの疾患グループに情報提供や検体の検索を行う。病理は特にH類縁、新生児胆汁うっ滞、胎児診断は胆道閉鎖、新生児胆汁うっ滞症候群、乳幼児巨大肝血管腫、腹部リンパ管腫。iPS細胞の作成はHおよびH類縁に限定してスタートし可能であれば他の疾患にも広げる。
結果と考察
1)H類縁:一次調査で集計した353例の二次調査を督促し、ほぼ全例のデータが集まった。症例数からCIPSとCongenital Hypoganglionosisが二大疾患であることが判明。これらのデータを分担研究者に配布し疾患別の分析を開始。分類についてグループ会議を1回開催。
2)新生児胆汁うっ滞:胆道閉鎖症についてオンライン登録への移行を計画し準備を行った。また現状にあった疾患分類の改定のためグループ会議を2回開催。非胆道閉鎖胆汁うっ滞について実態調査を行うべく各学会の認可を得た。
3)巨大肝血管腫:肝血管腫に対する全国調査の準備をすすめ周産期領域まで拡大して調査予定。ガイドライン作成にむけた文献調査・観察研究を進めている。
4)腹部リンパ管腫:グループ会議4回を経て、前身の「リンパ管腫研究班(平成21-23年度)」の調査結果の見直し、文献調査、来年度に実施するアンケート調査の方向性が決定。
5)小児顕微鏡的大腸炎、他:当該希少難病の認知が医療者になく邦文成書にも記載がないのが現状であることが明らかになった。本年度は「本疾患と思われる症例の経験の有無」の第一次調査を実施。
a)病理学的検討:H類縁の免疫組織化学染色に関して、胎児期から成人期にかけての正常回腸を用いて、腸管神経叢の経時的変化と、適切な抗体を選別。
b)胎児診断例の検討:各疾患の胎児診断・治療の実態を把握するため、文献的考察と全国調査の調査票を作成している。
c)疾患特異的iPS細胞作成:H病の1家族例3名より血液を採取し、エピソーマルベクターを用いてiPS細胞を樹立しゲノムDNAを網羅的に解析。さらに神経堤細胞へと分化誘導しその遊走能・分化能を比較。
 初年度はすでに全国調査を行ったグループ(H類縁、肝血管腫、リンパ管腫)ではその結果の分析をすすめ、データが不足しているグループは再調査のための準備を行った。データがそろっているグループはデータの分析を進め、難治性疾患としての診断基準、治療指針、ガイドライン作成に向けて動き始めている。
結論
 5つの疾患別グループおよび3つの横断的グループに学会が関連性を保ちながら、全国調査をすすめ、診断基準、重症度分類、治療指針、ガイドライン作成に向けて邁進している。また長期的展望に立って疾患登録と長期フォローアップ体制の構築、患者会との連携や希少疾患に対する患者家族会の立ち上げへの支援、病因解明と新規治療法の開発に向けた疾患特異的iPS細胞の樹立の研究に着手した。

公開日・更新日

公開日
2013-06-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201231138Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
66,500,000円
(2)補助金確定額
66,511,676円
差引額 [(1)-(2)]
-11,676円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 34,819,115円
人件費・謝金 3,160,680円
旅費 10,221,648円
その他 4,810,233円
間接経費 13,500,000円
合計 66,511,676円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
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