文献情報
文献番号
201229009A
報告書区分
総括
研究課題名
灌流法により採取された骨髄細胞を用いた骨髄内骨髄移植療法:基礎から臨床へ
課題番号
H22-免疫-一般-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
池原 進(関西医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 赤塚 美樹(藤田保健衛生大学 医学部 血液内科)
- 一戸 辰夫(佐賀大学 医学部 内科学講座 血液・腫瘍内科)
- 小川 啓恭(兵庫医科大学 医学部 内科学 血液内科)
- 小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学)
- 品川 克至(岡山大学医学部歯学部附属病院 血液・腫瘍内科)
- 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野臨床免疫学)
- 村田 誠(名古屋大学医学部附属病院 血液内科)
- 野村 昌作(関西医科大学 医学部 第一内科・同附属病院血液腫瘍内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HLAのbarrierを越えた移植の際にも、拒絶反応や移植片対宿主反応(GvHR)が起こらない、革新的な移植方法(骨髄移植と臓器移植を含む)を開発することにある。難病のモデル動物(主として、マウス、ラット等の小動物)の実験結果に基づいて、いかなる難病が新技術により治療可能かを明らかにしヒトへ応用する。PMに関しては、既にPhase I Studyを開始しており、PM+IBM-BMTに関しても、臨床応用を開始する。本年度は、神経難病(アルツハイマー病等)の治療に重点を置いて、骨髄や胎児肝に存在するES-like cellを移植に利用する。さらに、胸腺移植を併用することによって治療可能な難病範囲の拡大をはかる。
研究方法
Phase I Studyを灌流法で実施し、灌流法の安全性のみならず、灌流法の利点を、従来の吸引法と比較検討している。特に、採取骨髄液中の赤血球とT細胞の混入度を、ドナーの同意を得て、同一人の左右の腸骨を用いて比較している。臨床プロトコールを作成し、倫理委員会の承認も得られている。問題点としては、灌流法のドナーが肥満体の場合に、骨髄針が腸骨のような扁平骨の骨髄腔内に上手に刺入できていない可能性をこれまでの症例で経験している。現在、このようなことが起こらないための対策として、整形外科医の指導の下でCTの造影や、将来は“ナビゲイション・システム”を開発し、誰にでも容易に灌流法が実施できるように改善する予定である.Phase I Studyに関しては5例を終了後、Phase II Studyへ移行する。 本年度は、神経難病(アルツハイマー病等)の治療に重点を置いて、骨髄や胎児肝に存在するES-like cellを移植に利用する。さらに、胸腺移植を併用することによって治療可能な難病範囲の拡大をはかる。
結果と考察
ヒトへの応用を目指して、PMに関しては、既にPhase I Studyを開始しており、PM+IBM-BMTに関しても、臨床応用を開始している。基礎的な研究としては、①加齢に伴って発症する難病には免疫の異常が関与しており、骨髄内骨髄移植だけでなく胸腺の移植の併用が重要であることを明らかにした。さらに、加齢に伴って発症する疾患は、骨髄の間葉系の幹細胞の異常に起因することを見出した。②脂肪化した骨を用いて骨髄細胞と培養した間葉系幹細胞を混合して移植した結果、脂肪細胞が骨髄細胞の再生を抑制することを明らかにした。
③骨髄由来免疫系細胞が健常脳にも進入するという、新たな経路を骨髄内骨髄移植を用いて見出した。
③骨髄由来免疫系細胞が健常脳にも進入するという、新たな経路を骨髄内骨髄移植を用いて見出した。
結論
新しい骨髄移植の方法(PM+IBM-BMT)が、ヒトへ応用されるようになれば、骨髄ドナーと患者さんの負担が軽減される。この新技術を用いることにより、これまで不治の病であった、種々の難病(厚労省指定以外の疾患をも含む)が根治できれば、患者さんにとって、これ以上の福音はない。
公開日・更新日
公開日
2013-05-23
更新日
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