集団特性に応じた効果的な保健事業のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201222063A
報告書区分
総括
研究課題名
集団特性に応じた効果的な保健事業のあり方に関する研究
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-019
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 健(国立がん研究センター 総合内科)
  • 古井 祐司(東京大学 政策ビジョン研究センター)
  • 満武 巨裕(財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構)
  • 倉橋 一成(東京大学大学院 医療情報経済学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の予防では個人の行動変容が大切である一方、個人の生活習慣に影響を与える環境面へのアプローチも不可欠となる。したがって集団において醸成されているリスクを捉え、その背景となる環境要因を探ることは重要である。本研究では職域および地域における効果的な保健事業の構築に資することを目的として、集団特性を把握する手法を開発し研究フィールドの医療保険者、事業所、市町村に適用した。研究成果は健康施策の検討に資するが、2013年度に改訂される保健事業の実施指針を検討する基礎資料としても活用される。2008年度に導入された特定健診制度により保険者には全国で電子的に標準化されたデータが蓄積されたことから、自集団の特性を把握したうえで効果的な保健事業の計画・実施・評価・改善を実施するよう保険者に促すものである。また、保険者に対しては集団特性を把握し、保健事業の組み立てにつなげるためのツールを研究成果から提供する。なお、結果の解釈や活用に関しては保険者団体や保険者協議会、共済組合本部などの研修会を通じて周知・説明を行っていく。
研究方法
1.研究フィールドの整備;本研究の趣旨をご理解いただき継続して協力を得ていくために、責任者への説明に加え、実務者が参加する研修会での説明、研究成果に関しても事務職および専門職双方への還元を図った。2.集団特性の把握;集団特性の同定に必要なデータ項目、取得法および分析方法を検討した。また、施策立案や関係者への合意形成に活用する視点から集団特性の状況は健康分布図により可視化し、保険者・事業所相互で比較することとした。3.介入手法の検討および実施・評価;非肥満のリスク者に対する介入のあり方検討では3か月の介入期間でグループ支援、電話支援、結果測定会を行い、身体データの変化、行動計画の実行状況を評価したうえで、介入手法を検証するポイントを抽出した。インセンティブ付与による健康づくりのモチベーション向上では2年度の実運用および検証の実行性を担保する視点で、被保険者とコミュニケーションを図る手段を有している保険者を研究フィールドとして選定した。従来の保健事業における課題を整理したうえでインセンティブ付与の仕組みを構築する考え方および具体像を整理した。
結果と考察
本研究では、集団特性を把握する手法を開発し研究フィールドの医療保険者、事業所、市町村に適用したところ、当該集団におけるリスク醸成の背景の同定や関係者への合意を得るための基礎資料に活用し得る点で集団特性の可視化の意義が示唆された。2年度は、現役世代の職場習慣による影響やレセプトを併せた予防介入への活用を検討する。介入手法の検討では肥満を伴わないリスク保有者のリスク改善を目的としたフィージビリティスタディを実施し、介入を行う際の課題を抽出した。介入効果は血圧は変化なし、血糖は悪化、脂質は有意に改善した。行動計画の設定までは達成できているが、実行が不十分であった理由としてプログラム初期の動機付け、継続を促す介入のあり方、健診受診から介入開始までの期間が課題として整理された。また、非肥満のリスク者では血液検査によるモニタリングの必要性が示された。2年度は動機付け、継続を促す介入、モニタリングの視点から介入のあり方を検討する。健康づくりを促すインセンティブ付与に関しては、仕組みを構築する考え方および具体像を整理したうえで、実際の仕組みを検討した。健康づくりに取り組む状況だけでなく、健康状態を維持していることも評価する体系となっており、集団全体の罹患防止の観点から意義は大きい。2年度はインセンティブ付与による健康づくりのモチベーション向上の可能性を検証するが、健康リテラシーの状況とインセンティブ付与の関連、健康づくりに活用できる情報・資源の整備および周知状況の2点を考慮する。集団への介入のあり方に関しては、前患者段階での悪化防止や被保険者全員への働きかけの網羅性を重視し、効果的な手法の導入および最適な資源配分を検討する。
結論
職域および地域における効果的な保健事業の構築に資することを目的として、集団特性を把握する手法を開発し、研究フィールドの医療保険者、事業所、市町村に適用したところ、集団特性の可視化の意義が示唆された。介入手法に関しては肥満を伴わないリスク保有者のリスク改善における介入時の課題が抽出され、健康行動促進のインセンティブ付与の考え方および具体像が整理され2年度の検証の準備が整備された。

公開日・更新日

公開日
2013-08-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222063Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,000,000円
(2)補助金確定額
11,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 68,035円
人件費・謝金 3,014,100円
旅費 1,703,480円
その他 5,214,385円
間接経費 1,000,000円
合計 11,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
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