一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究

文献情報

文献番号
201214008A
報告書区分
総括
研究課題名
一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究
課題番号
H24-臨研基-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
有田 悦子(北里大学薬学部薬学教育研究センター医療心理学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 氏原 淳(北里大学北里研究所病院臨床試験部治験管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
21,238,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、国の政策として国民や患者への臨床研究等の公開と普及啓発に力がいれられており、平成19年、「新たな治験活性化5カ年計画」において、国民への普及啓発と研究参加促進を目的とした「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」(国立保健医療科学院)が設置されている。しかし、本ポータルサイトの一般への認知は低く、使い勝手も良くないことが指摘されており、平成24年「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」において、本ポータルサイトを更に利用しやすいものとし、広く周知させることが求められている。そこで本研究では、新たな「臨床研究・治験ポータルサイト」のプロトタイプを構築するため、検討を行った。
研究方法
一般利用者にとって利便性の高い臨床研究・治験情報ポータルサイトの構築と啓発活動の一助となるコンテンツの作成を目指して下記の調査を実施した。
1.国内外の臨床研究(治験)ポータルサイトの比較調査
国内外で公開運営されている代表的な臨床研究関連のポータルサイトを選定し、臨床研究・治験関係者による利用度や利便性の評価を行った。
2.一般国民(インターネット利用者)における臨床研究・治験に対する意識調査
一般国民・患者を対象とした臨床研究・治験情報に関するニーズを調査するためにネットアンケ-ト調査を実施し、医療情報への希求度や収集方法、臨床研究・治験の認知度を検討した。
3.国民・患者の臨床研究・治験情報入手方法に関する研究
臨床研究・治験について特別な知識を持たない人々が自分に必要な医療情報を得たいと考えた時、どのような情報取得行動をとるかについて調査を行った。
4.既存のポータルサイトの使用性に関する調査
本ポータルサイトの使用性や利便性に関して実際に操作してもらい調査を実施した。
5.国民・患者が求める臨床研究・治験ポータルサイトに関する研究
臨床研究・治験ポータルサイトに関するニーズ調査を行い、今後構築していくプロトタイプについて要件定義をおこなった。
6.海外の臨床研究・治験関連ポータルサイトおよび関連機関に関する研究
海外の臨床研究・治験関連サイトおよび関連機関やその配信内容に関する情報を収集し、調査および現地視察を行った。

結果と考察
国内外で公開されている既存のポータルサイトに関する調査およびニーズ調査結果では、既存のポータルサイトの認知度は低く、一般利用者が用いがちな検索方法では、必要なサイトへたどり着くこと自体が困難な現状が明らかとなった。また、数多くの情報の中から適切な情報を入手するためには、一般利用者自身も臨床研究・治験についての基本的な知識をもつ必要があり、臨床研究・治験に関する理解の一助となるコンテンツ作成やそれらを活用した啓発教育の重要性が改めて確認された。海外の臨床研究・治験関連サイト調査や関連機関への現地視察においては、国際的な視野で多数の関係者から有意義な知見が得られ、本研究の今後の方向性についての指針を得ることができた。本研究により、一般利用者の視点に立った臨床研究・治験情報ポータルサイト構築のためには、情報の質・量の充実に加えて、そのサイトに簡便にたどり着けるような検索機能の必要性が指摘された。また、一般利用者にも臨床研究・治験についての正しい知識や理解が必要であり、教育の一助となるコンテンツの作成や普及啓発活動の重要性がさらに明確となった。
結論
一般国民を対象とした臨床研究・治験情報の大規模ニーズ調査により、一般国民が望む情報や理解を困難にしている点が明確になる。これらの調査結果は、一般利用者の視点に立った情報の内容や提供方法を向上するための提言となり政策に反映できる。また一般利用者の臨床研究・治験情報入手方法に関する研究は、サイトにたどり着くルートや検索用語の検討につながり、検索機能の充実につながることが期待できる。また、既存のポータルサイト検討で明らかになった問題点は、Webサイトの基本設計やポータルサイトのプロトタイプ構築の際に考慮すべき点として反映することができる。
 国民・患者が求める臨床研究・治験ポータルサイトに関する研究結果は、具体的な検索ツールや掲載してほしい情報やコンテンツ、医療者側が重要視する項目とのギャップなどについて明確になり、利用者側への臨床研究・治験啓発教育へ還元することができる。海外の既存のサイトの検討や海外の専門機関関係者との情報交換は、利便性の高いポータルサイトのイメージ構築に役立ち、国民への啓発・教育に役立つコンテンツのアイディアや広報活動などへの助言も得られ、本研究を進めていくうえでの有意義な知見を得た。本調査結果をもとに一般国民や患者、医療関係者などを対象とした公開講座やワークショップを全国で開催し、ポータルサイトの利用推進と治験啓発活動に貢献することができる。

公開日・更新日

公開日
2013-08-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-12-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201214008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
21,238,000円
(2)補助金確定額
20,849,000円
差引額 [(1)-(2)]
389,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,971,160円
人件費・謝金 1,184,104円
旅費 1,187,600円
その他 10,506,636円
間接経費 0円
合計 20,849,500円

備考

備考
500円(自己資金)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-