アルツハイマー病診断用タウプローブの開発および探索的臨床研究

文献情報

文献番号
201212020A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病診断用タウプローブの開発および探索的臨床研究
課題番号
H24-医療機器-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 幸司(東北大学 東北大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 谷内一彦(東北大学 機能薬理)
  • 荒井啓行(東北大学 加齢老年医学)
  • 岡村信行(東北大学 機能薬理)
  • 古本祥三(東北大学 機能薬理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究代表者らはアルツハイマー病(AD)における代表的な病理像、すなわち脳内過剰リン酸化タウ蛋白(以下タウ)を検出するためのPET (Positron Emission Tomography; 陽電子断層撮影装置)プローブ(陽電子標識化合物)を開発中である。 本研究課題ではこれらプローブを探索的臨床研究に供するとともに、さらにマイクロドージング的手法によりプローブの最適化を図り、日本発・世界標準のヒト タウイメージングプローブを開発しようとするものである。
研究方法
期間中に探索的臨床研究を実施するプローブとして[18F]THK-5105および[18F]THK-5117を選び出し、これらの1つを東北大学において同臨床研究を実施することを計画したが、本学の研究用PETセンターの震災からの復旧が遅れに遅れ、残念ながら平成24年度中に実施することができなかった。当初は東北大に比べかなり遅くスタートする予定であったメルボルン大学において[18F]THK-5105の探索的臨床研究が平成24年12月からスタートした。
東北大学において探索的臨床研究を平成25年度移行に実施る予定の[18F]THK-5117につきタウ選択性、疾病選択性等の検討を加えた。
更なるプローブの最適化については新規化合物のAD患者脳における染色性およびマウスにおける脳移行性を検討した。
結果と考察
メルボルン大学における探索的臨床研究では、プローブ[18F]THK-5105はADにおけるタウ病変好発部位に集積することが明らかであった。
 オートラジオグラフィ等の試験では[18F]および[3H]THK-5117はタウ選択性が高く、AD以外のタウオパチイでは皮質基底核変性症(CBD)の病変のみに結合性を示し、αシヌクレイノパチーやTDP-43プロテイノパチーには結合性を示さず、アルカリファスファターゼ処理(脱リン酸化)した標本では処理なしの場合と変わらず、また結合はタウ蛋白のリピートタイプには依存しないことが判明した)。
更なるプローブの最適化のためにAD患者脳切片における最適化化合物染色および脳移行性を実施し、タウ選択性の高い幾つかの化合物を見出した

結論
プローブ[18F]THK-5105はADにおけるタウ病変好発部位に集積することが明らかであった。[18F]THK-5117はタウ選択制が高く、平成25年度における東北大学における探索的臨床研究の結果が待たれる。

公開日・更新日

公開日
2013-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201212020Z