東アジア、オセアニアにおける生活習慣病対策推進のための学際的研究

文献情報

文献番号
201203013A
報告書区分
総括
研究課題名
東アジア、オセアニアにおける生活習慣病対策推進のための学際的研究
課題番号
H24-地球規模-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
青山 温子(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 磯 博康(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 八谷 寛(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 本庄かおり(大阪大学 グローバルコラボレーションセンター)
  • 川口レオ(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 崔 仁哲(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 樋口倫代(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 三田 貴(大阪大学 グローバルコラボレーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 研究全体の目的は、東アジア、オセアニア島嶼地域における生活習慣病の実態と、生活習慣・社会的因子等の危険因子を、疫学調査、社会学調査、及び既存データ分析に基づき解明し、社会的背景に適合した有効な生活習慣病対策を提言することである。急速に社会経済的変化を遂げ、人口高齢化と経済成長減速の始まっている、東アジア、オセアニア島嶼地域の中所得国においては、速やかに有効な生活習慣病対策が必要であり、日本の経験を踏まえた対策を提言することが期待されている。 
 中国とパラオを研究対象地として、生活習慣病に関する疫学調査と、住民の生活習慣、意識、社会的因子の調査を行い、予防対策立案のための基礎データや危険因子を解明する。また、他の東アジア、オセアニア諸国の既存統計を検討し、社会的文化的文脈にあった生活習慣病対策を提言する。
 平成24年度(第1年度)は、パラオにおける生活習慣病に関する疫学調査の準備、社会学調査実施、及び中国での調査準備を行う計画である。
研究方法
 既存データ等に基づいてパラオの保健医療状況概要を把握した後、パラオを2回訪問し、政府高官・保健省担当官らと協議して研究協力体制を確立し、研究計画の承認を得て、具体的な調査計画を策定した。また、医療施設、都市、村落、離島を訪問して、保健医療状況や、住民の生活、社会文化的背景に関する情報を収集した。既存の学校保健調査データを入手し、また、社会学調査の準備を進めた。パラオ保健省担当官を日本に招聘して、情報交換を進めた。
 中国の調査については、相互に相手国を訪問して、具体的な調査実施計画を検討した。
 また、東アジア、オセアニア島嶼地域、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国における、生活習慣病危険因子に関して、主として世界保健機関(WHO)の報告書等より、既存統計データを収集して分析、各地域の特徴と傾向を明らかにして類型化を試みた。
結果と考察
 パラオにおける疫学調査については、WHOの生活習慣病危険因子調査(STEPS)が進行中であることや、18歳未満を対象とした既存調査結果のあることから、本研究は18~24歳を対象とすることに変更し、STEPSに準じた調査方法とすることとした。社会学調査については、台風被害が大きかったため実施を来年度に延期した。学校保健データの分析により、18歳未満の児童生徒の約2割が肥満、約3割が過体重であり、私立学校在籍者、運動習慣のない者に肥満が多かった。また、肥満と血圧上昇が関連しており、都市部では年齢が高くなるほど血圧値が上昇する傾向があった。
 中国における調査については、北京大学が疫学調査を開始している中国北京市房山区青竜湖町(人口1万人)を対象地域とし、調査項目の整合性や、具体的な調査実施計画を検討した。
 また、東アジア、オセアニア島嶼地域、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国における生活習慣病危険因子に関して、WHO等の既存統計データを収集して分析した。東アジア及びASEANは、高血圧・脳卒中が主要課題となる「日本型」といえた。オセアニアは、「日本型」と、肥満・糖尿病・高コレステロール血症・虚血性心疾患が主要課題となる「欧米型」との中間型であり、著しい肥満が特徴的だが、高コレステロール血症の程度は軽かった。オセアニアにおいては、肥満と高血圧の両方に留意して対策を進める必要があると考えられた。なお、生活習慣変化により、ASEAN、東アジアにおいても、類型が変化する可能性がある。

結論
 パラオ保健省と協力して、18~24歳を対象とする疫学調査の実施準備を進めた。社会学調査は、災害のため来年度に延期した。学校保健データから、児童生徒においても、肥満・過体重が少なくないことが判明した。
 既存統計データの分析により、東アジア及びASEANは「日本型」であるのに対して、オセアニア島嶼地域は「日本型」と「欧米型」との中間型であり、著しい肥満が特徴的だが、高コレステロール血症の程度は軽かった。

公開日・更新日

公開日
2014-04-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-

収支報告書

文献番号
201203013Z