医療経済評価を応用した医療給付制度のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201201040A
報告書区分
総括
研究課題名
医療経済評価を応用した医療給付制度のあり方に関する研究
課題番号
H24-政策-指定-013
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
福田 敬(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 下妻 晃二郎(立命館大学 生命科学部)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 薬学部)
  • 坂巻 弘之(名城大学 薬学部)
  • 能登 真一(新潟医療福祉大学 医療技術学部)
  • 五十嵐 中(東京大学大学院 薬学系研究科)
  • 白岩 健(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
  • 田倉 智之(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 赤沢 学(明治薬科大学 薬学部)
  • 齋藤 信也(岡山大学大学院 保健学研究科)
  • 石田 博(山口大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公的な医療保障制度下で提供される医療については、財源が限られていることから、効率的な医療提供が重要となっている。そのためには、新規医療技術や医薬品等について、費用対効果を評価し、効率的な医療を行うことが望まれる。経済評価研究の結果を政策に応用するためには、結果が信頼でき、比較検討が可能となるように、経済評価の方法を統一する必要がある。そこで本研究では、諸外国における医療経済評価を政策に応用する際の評価方法を参考に、国内での医療経済評価研究での課題を踏まえて、医療経済評価ガイドライン案を開発することを目的とする。開発にあたっては、個別の医療技術や医薬品等について具体的な評価方法を検討し、日本で実施可能なガイドラインを提案する。これと同時に、国内での医療経済評価研究に用いるデータの標準化を図る方法をあわせて検討する。また、諸外国の医療技術評価機関での評価結果および国内の医療経済評価研究のデータベース化に向けた準備を行う。
研究方法
 医療経済評価の実施と政策への応用について、諸外国での取り組みや活用方法、課題等を調査した。
 具体的な事例について医療経済評価の方法の検討を行った。これをもとに、医療経済評価ガイドライン案の作成を行った。
 糖尿病での病態推移の標準的なモデルについて検討した。
 国内での医療経済評価に用いるデータの標準化を図るために、効用値の測定方法および費用の算出方法について標準的なツールを検討した。また、経済評価結果から許容されると判断される費用対効果の閾値に関する調査を行い、日本での判断基準について検討した。
諸外国の医療技術評価機関での評価結果や医療経済評価研究のデータベース化について、対象、構造、利用のしくみ等を検討した。
結果と考察
今回取り上げた諸外国においても医療技術評価機関を組織し、医療経済評価を含む技術評価が実施されていた。評価手法に関しては、ガイドラインが提示されている国が多かった。評価結果の活用方法については、様々であったが、公的医療保障制度で給付する医薬品等の判断に用いられている場合が多かった。
 諸外国の医療技術評価機関の評価では、一般に医療経済評価ガイドラインが設定されているため、それに準拠する形で評価が行われていたが、研究論文の場合には、分析の立場や費用の範囲、アウトカム指標等が様々であり、医療給付制度に応用する評価を行うためには、手法の統一が必要であると思われた。また、国内でこれらの評価研究を実施する場合には、データソースが限られていることもあり、特に治療成績等は諸外国のデータも活用しながら実施することが必要であると思われた。
 個別事例の検討に基づき、研究班としての医療経済評価ガイドライン案を作成した。本案などを基に今後医療経済評価の手法の標準化が行われることが望まれる。
糖尿病を取り上げ、病態推移の標準的なモデルについて検討した。主として国外でいくつかのモデルが提示されており、これらを参考に日本における標準的なモデルを作成して用いることが適当であると考えられる。
 効用値の測定方法についての標準的なツールとして、主たるものはEQ-5D、HUI、 SF-6Dといったものであり、日本で利用可能な状況にすることが望ましいと考えられた。
また、経済評価結果から許容されると判断される費用対効果の閾値に関する調査を行い、日本での判断基準について検討したところ、支払い意思額による調査では、患者のもとの健康状態や治療によって得られる効果の程度によって、値が異なることが示唆された。
我が国における医療技術評価のデータベースを構築する際には、海外事例を参考にどのような登録情報レベルと機能を有するシステムを構築するかを、その目的とニーズを明確にし、その有用性とともに情報利用の制限の可能性や構築時のコストだけでなくその後の維持管理にかかわる人的資源を含めたコストを十分に考慮した上で検討する必要があると思われた。
結論
 本研究では、諸外国における医療経済評価の取組状況の調査、個別事例での医療経済評価の手法の検討、医療経済評価ガイドライン案の作成、標準的評価ツールの検討、医療経済評価研究のデータベース化について検討を行った。目標とした、医療経済評価ガイドライン案の作成ができたが、これらの検討を基に今後医療経済評価の手法の標準化が行われることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2013-12-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201201040C

収支報告書

文献番号
201201040Z