経年化浄水施設における原水水質悪化等への対応に関する研究

文献情報

文献番号
201134028A
報告書区分
総括
研究課題名
経年化浄水施設における原水水質悪化等への対応に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 貴子(公益財団法人水道技術研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 正弘(公益財団法人水道技術研究センター)
  • 安藤 茂(公益財団法人水道技術研究センター)
  • 武内 辰夫(公益財団法人水道技術研究センター)
  • 鈴木 泰博(公益財団法人水道技術研究センター)
  • 高嶋 渉(公益財団法人水道技術研究センター)
  • 長谷川 孝雄(特定非営利活動法人ポリシリカ鉄協会)
  • 宮島 昌克(金沢大学 理工研究域環境デザイン学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,713,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の異常気象等に伴う水道原水水質悪化に対して中小事業体が比較的容易に採用が可能な浄水方法と施設の改善方策を提案するとともに、中小事業体における耐震化促進等を支援するための簡易耐震診断手法等を検討し、これらを適切なリスク低減策のための手引書としてとりまとめる。
研究方法
研究代表者、研究分担者及び水道事業体等からの研究協力者からなるワーキンググループを「原水水質対応」及び「耐震化促進」のテーマ別に設け、各テーマの課題に応じて、アンケート等による実態把握、高濁度原水の処理等に関する実験、簡易耐震診断手法の改定の検討等を行った。
結果と考察
アンケートや現地調査によって原水水質と施設運転状況等を把握した結果、事業体の約30%が原水水質に高濁度等の課題を抱え、35%が運転指針未整備であった。これらの調査及び文献調査結果を受け、高濁度原水の浄水処理限界と中小規模浄水場運転指針の基礎データを得るため、国内の代表的な4種類の土壌を懸濁した高濁度試水にアルミニウム系及び鉄系凝集剤を用いた凝集実験を行い、凝集処理に大きく影響する水質項目の整理と最適処理条件を検討した。その結果、高濁度領域の凝集処理では2種類の凝集剤は金属モル換算注入率で差が無いこと、所要凝集剤量は濁度に依存すること、共存有機物による凝集剤増加などが明らかとなった。
事業体の耐震化取組み状況や課題をアンケート調査した結果、中小事業体を中心に水道施設詳細耐震診断の実施割合が低く、耐震化への課題として経済面のほか人材面・技術面が挙げられた。この調査結果を基に詳細耐震診断実施済みの事業体から診断結果を収集分析した。また、東北地方太平洋沖地震による浄水施設等の被害状況を調査し、更に兵庫県南部地震以降の地震被害実態を精査した結果、浄水施設等の地震被害は、液状化等の地盤変状に伴い施設は甚大な被害を蒙ったが、それ以外では軽微な被害であったことを踏まえ、現診断手法の課題を抽出し、簡易耐震診断手法の基本的手順の改定案を提示した。
結論
原水水質悪化への対応の検討は、気候変動等に伴う高濁度原水や凝集不良などの課題を持つ中小規模事業体での適切な浄水処理に貢献するものであり、一方、耐震化促進等の検討は、耐震化の取組みが遅れている中小規模水道事業体の経年化水道施設の更新等に際し、浄水施設等の効果的・効率的な耐震化に寄与するものである。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134028Z