公衆衛生の多分野からみた諸外国における健康危機管理・自然災害対応システムの検討

文献情報

文献番号
201134025A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆衛生の多分野からみた諸外国における健康危機管理・自然災害対応システムの検討
課題番号
H23-健危・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
須藤 紀子(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 森川 美絵(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 小菅 瑠香(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
諸外国における自然災害発生時の保健分野の対応を、国レベル、州レベル、地域レベル、組織レベルで具体的に把握することにより、わが国における体制整備の参考資料とする。
研究方法
フロリダ州保健局を訪問し、米国及びフロリダ州の災害対応システムについて、2日間にわたってレクチャーを受けた。
結果と考察
(1)地域防災計画は専門家が作成する
日本の地域防災計画は法律によって作成が義務付けられているため、すべての自治体で作成されているものの、その内容にはばらつきがある。フロリダ州のようにRegion levelで専門家が作成することにより、一般的な内容にとどまらず、より専門的かつ実践的なものになることが期待できる。
(2)郡の防災計画の内容をチェックするシステムがある
地域防災計画を専門家である第三者がチェックするシステムは重要である。認定を得るためのハードルは高いが、これをクリアできるような内容でなければ、災害発生時には役立たないのかもしれない。ただ計画を作ればよしとするのではなく、基準を設け、皆が同じレベルの準備状況になることを目指している。被災自治体の準備状況が分かっていれば、外部からの被災地支援もおこないやすくなる。
(3)ボランティア活動が組織化されている
日本においては、善意で無料奉仕をしているのに、仕事ぶりを評価されたり、ランク付けされたりすることに拒否感を示す人もいるかもしれない。日本におけるボランティア活動のあり方は、参加にあたり、特に訓練は必要とされず、現地に行って、ボランティア団体の職員の指示に従って作業をおこなうという、日雇い労働的なmanual laborのような形態がほとんどであろう。東日本大震災では、多くの自治体職員やボランティアが被災地支援に赴いたが、よく指摘されたのは、仕事を割り振り、指示を与える人の不足である。被災自治体の職員はそれに忙殺された感もある。大規模災害の場合は、外部からやってきた支援者がいかに能動的に動けるかが重要になってくる。リーダーとなって動ける人を育てるためには、ボランティアといえども評価システムが必要である。
結論
地域防災計画を専門家が作成し、基準に照らして第三者機関が評価するシステムは全国的な防災レベルの底上げに有効である。管理者として機能できるボランティアを育成するAmerican Red Crossの人事評価システムは参考になるが、わが国におけるボランティアの考え方とそぐわないかもしれない。避難所やヘルスケア施設の被災状況が把握できる情報管理システムは有用であるが、インターネットに接続できなければ利用できないという限界はある。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134025Z