文献情報
文献番号
201133020A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の子どもへの影響評価に関する研究-発生・発達期の脳や免疫系が示す高感受性の責任標的の同定と、それに基づく試験スキームの最適化-
課題番号
H23-化学・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 哲二(近畿大学 理工学部 生命科学科)
研究分担者(所属機関)
- 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 渡邉 肇(大阪大学大学院 工学研究科)
- 林 良夫(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 井口 泰泉(基礎生物学研究所 分子環境生物学研究部門)
- 太田 亮(財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
24,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「厚生労働省内分泌かく乱化学物質試験スキーム」の網羅性拡充と確定試験法確立を目的とし、臓器から細胞レベルの有害性発現メカニズムとその分子基盤を明らかにする。また、「齧歯類一生涯試験法」の検証を並行し、OECD「延長一世代試験」の完成を促すとともに、「試験スキーム」の拡充を提案する。
研究方法
低用量曝露の標的臓器への影響
1. チミジン類似物質ラベル法を適用して神経細胞の細胞周期異常を、またニューロン新生、層構造の異常を検出する系を確立する。
2. 神経軸索内微小管結合蛋白とβ-ガラクトシダーゼを融合させてERα発現神経細胞を可視化したマウスを作製する。
3. 周産期でのホルモン様物質の曝露による免疫システム構築の分子機序を解析する。
遅発影響の標的分子とその分子基盤
4. 女性生殖器に対する女性ホルモン様物質の増殖作用についてWntシグナルとのクロストークをマウス表現型解析から明らかにする。
5. ES細胞分化系でBPAがMalat-1発現を増加させたことから、Malat-1と細胞分化の関係を明らかにする。
齧歯類一生涯試験法の検証
6. 齧歯類一生涯試験法にDESを適用して低用量影響を検索する。
1. チミジン類似物質ラベル法を適用して神経細胞の細胞周期異常を、またニューロン新生、層構造の異常を検出する系を確立する。
2. 神経軸索内微小管結合蛋白とβ-ガラクトシダーゼを融合させてERα発現神経細胞を可視化したマウスを作製する。
3. 周産期でのホルモン様物質の曝露による免疫システム構築の分子機序を解析する。
遅発影響の標的分子とその分子基盤
4. 女性生殖器に対する女性ホルモン様物質の増殖作用についてWntシグナルとのクロストークをマウス表現型解析から明らかにする。
5. ES細胞分化系でBPAがMalat-1発現を増加させたことから、Malat-1と細胞分化の関係を明らかにする。
齧歯類一生涯試験法の検証
6. 齧歯類一生涯試験法にDESを適用して低用量影響を検索する。
結果と考察
1. BPAは神経幹細胞分化のタイミングを早めて神経新生を促進すると同時に細胞周期を短くして増殖能を低下させた。
2. BACクローンにtau-lacZレポーター遺伝子が挿入されたクローンを得たが、BACクローンが二量体として存在した。
3. 妊娠期胸腺組織でのAhRmRNA、AIREmRNA発現が上昇した。
4. β-カテニン活性化マウス膣上皮細胞において、女性ホルモン作用非依存の細胞増殖が誘導され、DES投与マウスの膣上皮基底細胞でもβ-カテニンは高発現した。
5. Malat-1遺伝子のプロモーター解析用ベクター構築を行った。BPA曝露でERα及びERRγの増加が認められた。内分泌かく乱化学物質の試験及び評価に関するOECD/EDTA第3回AG会合に出席し厚労科研進捗状況を報告した。
6. ホルモン活性を示さない用量のDESは膣開口と包皮分離を遅延させなかった。
2. BACクローンにtau-lacZレポーター遺伝子が挿入されたクローンを得たが、BACクローンが二量体として存在した。
3. 妊娠期胸腺組織でのAhRmRNA、AIREmRNA発現が上昇した。
4. β-カテニン活性化マウス膣上皮細胞において、女性ホルモン作用非依存の細胞増殖が誘導され、DES投与マウスの膣上皮基底細胞でもβ-カテニンは高発現した。
5. Malat-1遺伝子のプロモーター解析用ベクター構築を行った。BPA曝露でERα及びERRγの増加が認められた。内分泌かく乱化学物質の試験及び評価に関するOECD/EDTA第3回AG会合に出席し厚労科研進捗状況を報告した。
6. ホルモン活性を示さない用量のDESは膣開口と包皮分離を遅延させなかった。
結論
本研究による生命科学と新評価法開発の成果から、周産期低用量曝露が引き起こす高次生命維持系の組織構築かく乱による不可逆的遅発影響を、受容体原性毒性或いはシグナル毒性として、体系的、総合的、かつGLPガイドライン化が可能な評価系構築が見込まれる。
公開日・更新日
公開日
2012-05-14
更新日
-