遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出法及びプリオン除去工程評価に関する研究

文献情報

文献番号
201132030A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出法及びプリオン除去工程評価に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 橋井 則貴(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 生田 和良(大阪大学 微生物病研究所)
  • 萩原 克郎(酪農学園大学 獣医学部)
  • 菊池 裕(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子組換え医薬品等の製造における異常プリオン (PrPSc) 除去/不活能評価法の開発及び標準化を目指して,医薬品原材料や製造中間工程製品等におけるPrPScの特異的検出法, PrPScの除去能評価法及びin vivo 評価手法の確立の確立を行うと共に,プリオン病早期診断法への応用も行う.
研究方法
微量の酸性糖鎖付加糖タンパク質の効率的回収法の検討,微量糖タンパク質の効率的回収法の検討,ウエスタンブロット (WB) によるPrPSc 除去能力評価方法及び除去デバイスの最適化,プリオン発症モデルの検討,並びにプリオンペプチド抗原を特異的に認識する抗体の調製について検討した.
結果と考察
1)微量プリオンタンパク質の精製及び解析に応用可能な電気泳動ゲルからの微量糖タンパク質及び糖鎖の回収法の最適化を行った.
2)マウス馴化vCJD (mo-vCJD) 感染マウス脳由来PrPScを用いて,WB法による高感度PrPSc 除去能力評価方法を確立した.
3)mo-vCJD感染マウス脳由来PrPScを用いて,リン酸緩衝液組成でのプリオン吸着担体の探索を行い,PrPScの除去に有効な新規デバイスを見いだした.
4)生後1日齢と30日齢マウスにそれぞれmo-vCJD株を接種し臨床所見を比較した結果,発症までの期間が生後1日齢マウスよりも30日齢マウスで早かった.PrP除去効果を評価する動物試験では,実験手技の簡便性,実験期間,組織病変所見等を考慮すると30日齢マウスへの接種が感染マウスモデルとして適当であると考えられる.
5)43番目のSerをリン酸化したプリオンペプチド抗原でマウスを免疫することにより, PrPScを特異的に認識する抗体を調製し,イムノブロット法によりその有用性を評価した.今後は,感染初期でのPrPSc検出法確立等への利用を試み,プリオン病早期診断法への応用可能性を検討する.
結論
今年度の成果は,製造工程における高感度及び高異性PrPSc検出法の開発,PrPSc除去/不活能評価法の標準化に向けた有用な結果が得られた。またこれらの成果はプリオン病早期診断法の開発にもつながることが期待される.

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201132030B
報告書区分
総合
研究課題名
遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出法及びプリオン除去工程評価に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 橋井 則貴(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 生田 和良(大阪大学 微生物病研究所)
  • 萩原 克郎(酪農学園大学 獣医学部)
  • 菊池 裕(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子組換え医薬品等の製造における異常プリオン (PrPSc) 除去/不活能評価法の標準化を目的として,医薬品原材料や製造中間工程製品等におけるPrPScの特異的検出法, PrPScの材料調製法,除去能評価法及びin vivo 評価手法の確立の確立を行うと共に,プリオン病早期診断法への応用も行う.
研究方法
微量の酸性糖鎖付加糖タンパク質の効率的回収法の検討,微量糖タンパク質の効率的回収法の検討,マウス馴化vCJD (mo-vCJD) 感染マウス脳由来PrPSc材料の調製,ウエスタンブロット (WB) によるPrPSc 除去能力評価方法び除去デバイスの最適化,プリオン発症モデルの検討,並びにプリオンペプチド抗原を特異的に認識する抗体の調製について検討した.
結果と考察
1)微量プリオンタンパク質の精製及び解析に応用可能な電気泳動ゲルからの微量糖タンパク質及び糖鎖の回収法の最適化を行った.
2)mo-vCJD 感染マウス脳由来超音波処理マイクロソーム画分を用いてPrPSc試料を調製した.また,WB法による高感度PrPSc 除去能力評価方法の確立した.
3)mo-vCJD感染マウス脳由来PrPScを用いて,リン酸緩衝液組成でのプリオン吸着担体の探索を行い,PrPScの除去に有効な新規デバイスを見いだした.
4)生後1日齢と30日齢マウスにそれぞれmo-vCJD株を接種し臨床所見を比較した結果,発症までの期間が生後1日齢マウスよりも30日齢マウスで早かった.PrP除去効果を評価する動物試験では,実験手技の簡便性,実験期間,組織病変所見等を考慮すると30日齢マウスへの接種が感染マウスモデルとして適当であると考えられる.
5)リン酸化プリオンペプチド抗原でマウスを免疫することにより,PrPScを特異的に認識する抗体を調製し,イムノブロット法によりその有用性を評価した.
結論
今年度の成果は,製造工程における高感度及び高異性PrPSc検出法の開発,PrPSc除去/不活能評価法の標準化に向けた有用な結果が得られた。またこれらの成果はプリオン病早期診断法の開発にもつながることが期待される

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132030C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①マウス馴化変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 (mo-vCJD) 株を用いたPrPSc 除去能力評価及び新規除去デバイスは,バイオ医薬品製造工程バリデーションに利用できると期待される。②mo-vCJD由来PrPScのモデルマウスへの接種により得られた臨床知見は,mo-vCJD感染モデルマウスの作成,及びin vivo評価手法の確立に繋がるものである。③微量酸性糖鎖付加糖タンパク質及びその糖鎖の効率的回収法は,解析が困難な正常プリオンや異常プリオンの糖鎖の違いの比較に有用なツールとなる。
臨床的観点からの成果
新たなプリオン吸着デバイスの有用性が確認されたことより、臨床検体等への応用が期待される。
ガイドライン等の開発
医薬品原材料や製造中間工程製品等におけるPrPScの有無の確認,並びに製造工程バリデーションを行うための高感度,選択的且つ効率的 PrPSc 検出法,及び PrPSc 除去/不活能評価法の開発が望まれているが、本研究の成果は直接ガイドライン作成には寄与するかは今後の課題であるが、その前提となるプリオン感染性評価のための試験法として有用であり、本家球で得られたデータが今後ガイドライン等への利用されることが期待される。
その他行政的観点からの成果
バイオ医薬品のプリオン安全性確保については、原材料や工程でのプリオンの低減化などを考慮したリスク評価基準が明示されているが、必ずしも十分な感度や精度を持った試験法があるわけではない。mo-vCJD由来PrPScを用いたインビトロ評価法が確立できればより合理的なプリオンリスク評価が可能になると期待される。
その他のインパクト
なし。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
54件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nakazawa, S., Hashii, N., Harazono, et al.
Analysis of oligomeric stability of insulin analogs using hydrogen/deuterium exchange mass spectrometry.
Anal. Biochem. , 420 , 61-67  (2012)
原著論文2
Hashii, N., Nakazawa, S., Kawasaki, N.
Glycomics in Quality Control of Tissue-engineered Medical Products.
Yakugaku Zasshi , 132 , 489-497  (2012)
原著論文3
柚木 幹弘,萩原 克郎,生田 和良
バイオ医薬品におけるプリオンの問題-ヒト赤血球を原料とする人工酸素運搬体をめぐる問題-
人工血液 , 18 (4) , 142-150  (2011)
原著論文4
Sakudo, A., Ano, Y., Ikuta, K ., et al.
Fundamentals of prions and their inactivation.
Int. J. Mol. Med. , 27 , 483-489  (2011)
原著論文5
Sakudo, A., Xue, G., Ikuta, K., et al.
Structure of the prion protein and its gene: an analysis using bioinformatics and computer simulation.
Curr. Protein Pept. Sci. , 11 , 166-179  (2010)
原著論文6
Yunoki, M., Tanaka, H., Ikuta, K., et al.
Infectious prion protein in the filtrate even after 15 nm filtration.
Biologicals , 38 , 311-313  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,300,000円
(2)補助金確定額
5,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,697,383円
人件費・謝金 0円
旅費 469,880円
その他 133,229円
間接経費 0円
合計 5,300,492円

備考

備考
預金利息

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-