医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための手法の国際的整合性を目指した調査と妥当性研究

文献情報

文献番号
201132025A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための手法の国際的整合性を目指した調査と妥当性研究
課題番号
H22-医薬・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、変異遺伝部)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所、薬品部第二室)
  • 中江  大(東京都健康安全研究センター環境保健部)
  • 小野寺博志((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、毒性部)
  • 小島  肇(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、薬理部)
  • 奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所l、薬品部)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター、治験管理室)
  • 岡田美保子(川崎医療福祉大学、医療福祉マネジメント技術学部医療情報学科)
  • 松本 峰男((独)医薬品医療機器総合機構 生物系審査第二部)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、総合評価研究室)
  • 四方田千佳子(国立医薬品食品衛生研究所、薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品開発およびその承認申請に必要な各種試験および市販後の安全性確保のために必要な情報収集等に関する手段を標準化し、国際的調和を計ることにより医薬品開発を促進する。
研究方法
産・学・官の専門家からなるワーキンググループを構築し、検討を進めるとともに、国際的協議を行う。
結果と考察
1.医薬品の安全性に関する非臨床的研究
○遺伝毒性試験指針の国際的合意が達成された。
○バイオ医薬品の非臨床評価に関する国際的指針補遺の合意が達成され、それを和訳した。
○光安全性評価のための指針策定のための国際的検討を開始し、素案を完成させた。
○がん原性試験の必要な条件についてのPhRMA提案の問題点を明らかにし、今後の日本の方針を決定した。
○治療用ペプチドワクチンについて、非臨床試験のためのコンシダレーションペーパー案を作成した。

2.医薬品の品質および安全管理について
○遺伝毒性不純物について検討し、指針の適用範囲、リスク緩和策等について検討し、素案を作成した。金属不純物については、コントロールストラテジーに関する議論と各種金属の毒性評価がほぼ終了し、パブコメ文書案を作成した。
○原薬の開発と製造について国際的合意を達成し、QbDに基づく品質管理に関する一連のガイドラインが完成した。がん免疫細胞療法剤の品質確保のため、原材料管理から最終調製物までの各工程管理について考察した。

3.医薬品の有効性・安全性に関する研究
○小児治験における統一アセント文書案のアンケート調査を行い、案の見直しを行うとともに、作成した雛形と解説をWeb上で公開した。関連するEMAおよびEUの指針について検討した。
○医薬品規制情報の電子伝達に関わる電子仕様の開発、即ち、医薬品個別症例安全性報告(ICSR)、医薬品辞書のためのデータ項目及び基準(IDMP)の二つのプロジェクトが進行している。eCTD大改訂をSDOプロセスで行うプロジェクトも始まっている。一つのプロジェクトについてはISO規格が制定され、ICH実装ガイドの策定が最終段階に至っている。

4.その他
○心毒性、筋肉毒性、肝障害、精巣毒性バイオマーカーについて調査し、まとめた。
○生体試料中薬物等の定量分析法について、欧米ではバリデーションの指針が整備されつつあり、民間国際団体GBCは国際共通指針案を作成中である。
結論
多くの点で、国際的合意が達成された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201132025B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための手法の国際的整合性を目指した調査と妥当性研究
課題番号
H22-医薬・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、変異遺伝部)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所、薬品部第二室)
  • 中江 大(東京都健康安全研究センター環境保健部)
  • 小野寺 博志((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、毒性部)
  • 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、薬理部、新規試験法評価室)
  • 奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所、薬品部)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター、治験管理室)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学、医療福祉マネジメント技術学部医療情報学科)
  • 松本 峰男((独)医薬品医療機器総合機構 生物系審査第二部)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所、安全性生物試験研究センター、総合評価研究室)
  • 四方田 千佳子(国立医薬品食品衛生研究所、薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品開発およびその承認申請に必要な各種試験および市販後の安全性確保のために必要な情報収集等に関する手段を標準化し、国際的調和を計ることにより医薬品開発を促進する。
研究方法
産・学・官の専門家からなるワーキンググループを構築し、検討を進めるとともに、国際的協議を行った。
結果と考察
1.医薬品の安全性に関する非臨床的研究
○遺伝毒性試験指針の国際的合意が達成された。
○バイオ医薬品の非臨床評価に関する国際的指針の補遺を完成させた。
○光安全性評価指針策定のための検討を行い、国際的指針の素案を完成させた。
○がん原性試験の必要な条件についてのPhRMA提案の問題点を明らかにし、今後の日本の方針を決定した。
○アジュバントの法的位置づけがなかった。治療用ペプチドワクチンについての非臨床試験検討案を作成した。

2.医薬品の品質および安全管理について
○遺伝毒性不純物についての基本的な考え、適用範囲、リスク緩和策等を検討し、指針の素案を作成した。金属不純物の管理戦略に関する議論と各種金属の毒性評価がほぼ終了し、パブコメ文書案を作成した。
○医薬品等の原薬の開発と製造管理について国際的合意を達成し、QbDに基づく品質管理に関する一連の指針が完成した。がん免疫細胞療法剤の品質確保について考察した。

3.医薬品の有効性・安全性に関する研究
○小児治験における統一アセント文書案を作成し、アンケート調査を行い、案の見直しを行うとともに、作成した雛形をWeb上で公開した。
○医薬品情報のISO規格化を達成するには、開発主体のSDOとの連携と時宜を得たテストが重要である。質の高い国際規格を維持するためには、ICHの活動を通じた知識・経験が蓄積され、継続的に活用される仕組みが必要である。医薬品個別症例安全性報告、医薬品辞書のためのデータ項目及び基準の二つのプロジェクトが進行している。eCTD大改訂プロジェクトも始まっている。

4.その他
○心毒性、筋肉毒性、肝障害、精巣毒性バイオマーカーについて調査し、まとめた。有望なものについては、産学官の協力で開発・評価を進めていくことが適切である。
○生体試料中薬物等の定量分析法について、欧米ではバリデーションの指針が整備されつつあり、民間国際団体GBCは国際共通指針案を作成中である。
結論
各分野について、大きな進展が認められた。また、多くの国際的合意が達成された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の目的は国際的に調和された指針を作成することにより、医薬品開発の促進を図ることであり、日米欧の専門家による審議を通じて、大きな成果を上げた。スペースの関係上、最終合意に達したものを中心に、以下の欄に記入した。
1) 遺伝毒性試験に関わる指針「Guidance on Genotoxicity testing and data interpretation for pharmaceuticals intended for human use」の国際的合意が達成された(2011.11.9)。
臨床的観点からの成果
本研究により、以下の指針が完成した。これらは倫理的かつ効率的な医薬品の臨床試験実施に有用である。
2)バイオ医薬品の非臨床評価に関する国際的指針の補遺「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」を完成させた(薬食審査発0323 第1 号 平成24年3月23日)。
3)「医薬品の臨床試験及び販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス」のQ&Aを完成させた(2012.3.5)。現在、和訳中である。
 なお、小児臨床試験の実施に必要なアセント文書モデル案を作成した。
ガイドライン等の開発
前2項に記載した指針以外に、以下の国際的合意が達成された。その他、検討中ものも多くあるが、後に記載した。
4)医薬品等の原薬の開発と製造管理について国際的合意が達成された。「製剤開発に関するガイドライン」、「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」及び「医薬品品質システムに関するガイドライン」に関する質疑応答(厚生労働省医薬食品局審査管理課 、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課、平成22年9月17日 )およびこの追加(平成23年8月9日)が完成し、事務連絡された。
その他行政的観点からの成果
医薬品開発およびその承認申請に必要な各種試験および市販後の安全性確保のために必要な情報収集等に関する手段を標準化し、国際的調和を計ることにより医薬品開発を促進するために、産・学・官の専門家からなるワーキンググループを構築し、検討を進めるとともに、国際的協議を行い、多くの課題について検討し、前記のように多数の指針として完成させたことは、我が国におけるイノベーティブな医薬品のグローバルな開発のために有用であり、行政的意義が高い。
その他のインパクト
光安全性評価指針の作成やがん原性試験の必要な条件、遺伝毒性不純物、金属不純物についての国際的検討を行っている。また、ワクチンの開発や小児医薬品の開発のためのインフォームドアセントのあり方、がん免疫細胞療法剤の品質確保、安全性評価のためのバイオマーカー、生体試料中薬物等の定量分析法、医薬品情報の規格化など、今後国際的に問題となる可能性のある課題についても検討し、まとめた。また、指針作成にあたっては動物実験における3Rの原則に配慮し、社会的に受け入れやすいものとしている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
23件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
56件
学会発表(国際学会等)
24件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
5件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
2016-06-29

収支報告書

文献番号
201132025Z