文献情報
文献番号
201132014A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関内輸血副作用監視体制に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 康彦(山口大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 浅井 隆善(千葉県赤十字血液センター)
- 下平 滋隆(信州大学医学部附属病院)
- 田崎 哲典(東京慈恵会医科大学附属病院)
- 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療機関内の輸血療法に残存するリスクを評価・検討し輸血療法のリスクマネジメントを確立することを目的とした。また、発熱、呼吸困難などの輸血副作用の初発症状に着目し、輸血製剤由来副作用を全数把握し、情報を解析・管理する本邦初の全国的輸血副作用収集システムの基盤整備も併せて行う。
研究方法
日本輸血・細胞治療学会および厚生労働省の研究班<牧野班>と共同で輸血業務の総合的調査を行った。また、これらに加えて、全国大学病院輸血部会議調査、国内外の学会調査等も積極的に活用し、リスク情報の的確な収集を行った。また、輸血副作用に関するパイロットスタディーでは2ヶ月ごとに、インターネットによりオンライン登録を行った。パイロットスタディーの規模は従来の7大学輸血部、中規模(300床)施設6施設に加え、平成22年度から33大学病院、平成23年度から6大学病院が加わった。血液製剤に由来する副作用調査の実施に関しては、プライバシー保護に配慮し、疫学研究に関する倫理指針に基づき、倫理面について十分配慮した。
結果と考察
①輸血過誤防止のために、過去10年間の調査結果の再解析を行い「安全な輸血療法ガイド」を作成した。間違いの原因となる事項を分類・整理し、代表的なものを図入りで解説した。さらに、輸血製剤と患者の電子的照合、RhD陰性患者および不規則抗体陽性患者の緊急・大量輸血、輸血過誤の報告体制の検討を行なった。
②放射線未照射血の使用の対策として平成21年度には日本輸血・細胞治療学会と共同で血液に対する放射線照射ガイドラインVを作成したが、平成23年度はその有効性の検証を行った。
③全国的輸血副作用収集システムの基盤整備では、対象施設の輸血製剤の使用総数は国内全使用量の約10%を占めるまでとなった。平成23年の副作用発生率は参加施設の拡大に伴い大きく変化することはなかった。輸血副作用の的確な報告体制の基盤整備が整い、施設格差のない信頼性の高い輸血副作用のサーベイシステムの確立を行った。
②放射線未照射血の使用の対策として平成21年度には日本輸血・細胞治療学会と共同で血液に対する放射線照射ガイドラインVを作成したが、平成23年度はその有効性の検証を行った。
③全国的輸血副作用収集システムの基盤整備では、対象施設の輸血製剤の使用総数は国内全使用量の約10%を占めるまでとなった。平成23年の副作用発生率は参加施設の拡大に伴い大きく変化することはなかった。輸血副作用の的確な報告体制の基盤整備が整い、施設格差のない信頼性の高い輸血副作用のサーベイシステムの確立を行った。
結論
これらの研究は「輸血療法の実施に関する指針、血液製剤の使用指針」等の改正に寄与するものであり、改善のための提言を通じて、輸血医療の安全性向上・国民医療の向上にも寄与した。全国的輸血副作用収集システムは、日本赤十字社で行われている副作用報告と組合わさることにより、日本の輸血医療に対する行政と血液の安全性確保のために貢献することが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2012-06-11
更新日
-