科学的知見に基づく食物アレルギー患者の安全管理とQOL向上に関する研究

文献情報

文献番号
201131004A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的知見に基づく食物アレルギー患者の安全管理とQOL向上に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療総合センター)
  • 塩見 一雄(東京海洋大学)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部)
  • 安達 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学医学部 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
16,928,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1,食物アレルギー(FA)の誘発量の決定
2,FA健康被害事例の収集・解析
3,加工食品のアレルゲン含有量早見表の作成
4,オレンジアレルゲンに関する研究
5,臨床診断の精度が高い特異的IgE抗体検査の開発
6,チダイパルブアルブミン(PA)アイソフォーム(IF)の性状と魚類ELISA検知法の開発
7,FA原因物質の解析及び検査法
8,健康被害防止に関する研究
9,FA患者を対象としたリスクコミュニケーション(RC)のあり方とリスク認知に関する研究
研究方法
1,エビの誘発量を決定した
2,FA健康被害事例の収集・解析
3,早見表の作成
4,オレンジアレルゲンの解析
5,ゴマ成分特異的IgE抗体の臨床的意義の検討
6,チダイPA-IFの解析、魚類ELISA検知法の開発
7,a)亜硫酸ナトリウム系抽出液の効率検討 b)キウイ、リンゴ検知ELISA法の開発 c)アレルギー物質を含む食品の迅速・簡便な定量的検知法を開発  d) ゴマアレルゲンの解析
8,食品衛生監視員を対象としたアレルギー表示に関する調査
9,カードゲーム形式ゲームの完成と質問紙調査によるゲームの評価
結果と考察
1,エビ負荷試験陽性患者での90%および95%陽性値を求めた
2,事例集2012の完成
3,早見表を完成した
4,オレンジとスギと共通抗原性が示唆された
5,ゴマアレルギーの診断ができるカットオフ値は求められなかった
6, a)チダイのPA-IFであるPAIはIgE反応性が他の魚類PAより弱いb)魚タンパク質検出ELISAの開発
7,a)2ME系と亜硫酸系との間で大きな差はなし b)キウイ、リンゴ検出法の問題点指摘 c)リンゴ検出;蛍光偏光度で解析することは可能 d) ゴマ;患者IgEと反応する部分は11Sグロブリンの分子全体にわたって分布
8,食品業者側の理解度や食監の意識・知識が不十分
9,教材はFA患者を対象としたRCに有用
結論
1,大多数の患者は表示をみて購入すれば安全
2,事例集2012は有用
3,食品早見表は患者QOL向上に有用
4,オレンジとスギとの間に交差抗原性あり
5, ゴマIgE抗体測定はさらなる改良が必要
6, a)PAの立体構造IgEエピトープ解析はモデルタンパク質となる
7, 亜硫酸系抽出液に置き換え可能 
8,食品業者側だけはなく管理する側の充実も必要
9,FAに関する教育においても利用可能

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201131004B
報告書区分
総合
研究課題名
科学的知見に基づく食物アレルギー患者の安全管理とQOL向上に関する研究
課題番号
H21-食品・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療総合センター )
  • 塩見 一雄(東京海洋大学)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部)
  • 安達 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学医学部 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1,食物アレルギー(FA)の誘発量の決定
2,FA健康被害事例の収集・解析
3,加工食品のアレルゲン含有量早見表の作成
4,魚介類、オレンジのアレルゲン解析
5,臨床診断精度が高い特異的IgE抗体検査の開発
6,FA原因物質の解析及び検査法
7,健康被害防止に関する研究
8,FA患者を対象としたリスクコミュニケーション(RC)のあり方とリスク認知に関する研究
研究方法
1,鶏卵、乳、エビの誘発量、加水分解小麦のアレルゲン性を経口負荷試験で評価した
2,FA健康被害事例の収集・解析、早見表の作成
3,魚介類、オレンジ、ゴマのアレルゲン解析
4,小麦、ピーナッツ、大豆、ゴマの成分特異的IgE抗体の臨床的意義の検討
5,a)亜硫酸ナトリウム系抽出液の効率検討 b)キウイ、リンゴ、魚類検知ELISA法の開発 c)アレルギー物質を含む食品の迅速・簡便な定量的検知法を開発 
6, 即時型食物アレルギー全国モニタリング調査の解析、食品衛生監視員を対象としたアレルギー表示に関する調査
7,カードゲーム形式ゲームの完成と質問紙調査による評価
結果と考察
1,鶏卵、牛乳、エビ負荷試験陽性患者での90%、95%、99%陽性値を求めた、加水分解小麦はアレルゲン性が残存していた
2,事例集2012、早見表の完成
3,a)サケとマス、イクラとウニ、オレンジとスギの間に交差抗原性あり、b) 甲殻類の新しいアレルゲンとしてSCPを報告 c)チダイのPA-IFであるPAIはIgE反応性が他の魚類PAより弱い d)ゴマのエピトープ解析
4,特異的IgE測定;小麦omega5グリアジン、ピーナッツAra h2、大豆Gly m 2S albuminは診断に有用、ゴマ成分は有用性なし
5,a)2ME系と亜硫酸系との間で大きな差はなし b)キウイ、リンゴ、魚類検出ELISAの開発;検出法の課題指摘 c)リンゴ迅速検出;蛍光偏光度で解析可能
6,食品業者、患者、医師、食監の理解度が不十分
7,教材はFA患者を対象としたRCに有用
結論
1,大多数の患者は表示をみて購入すれば安全
2,事例集2012、早見表は有用
3,アレルゲン解析はFA指導に科学的根拠を与える
4,食品によって診断上有用な成分がみつかる
5,検知法のさらなる開発が必要 
6,アレルギー表示のさらなる啓発が必要
7,FAに関する教育においても利用可能

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201131004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1,甲殻類の新規アレルゲンSCPの一次構造を決定した
2, SCPのIgEエピトープは立体構造だけに存在する
3,クロアワビの新規アレルゲンであるパラミオシンの全アミノ酸配列を決定した
4,チダイのパルブアルブミンのアイソフォームであるPAIはIgE反応性が他の魚類PAより弱い
2, ゴマアレルゲンである11SグロブリンのIgEエピトープを解析し、3カ所のAllergenic Hot Spotを示した
3, イクラとウニ、オレンジとスギの間の交差抗原性に関与するタンパク質を解析した
臨床的観点からの成果
1, 食物アレルギーひやりはっと事例集2012、加工食品のアレルゲン含有量早見表を完成した
2, サケとマス、イクラとウニとの間には共通抗原性が存在する
3, 特異的IgE抗体測定;小麦omega5グリアジン、ピーナッツAra h2、大豆Gly m 2S albuminは診断に有用である
4, ごまならびにその成分特異的IgE抗体測定には診断的有用性が認められない
5, 食物アレルギーへの対応を遊びながら学ぶことができるカードゲームを完成させ、学校現場で良好な評価を受けた
ガイドライン等の開発
1, 食物アレルギーひやりはっと事例集2012を完成した
2, 加工食品のアレルゲン含有量早見表を完成した
3,らんらんランチCard Gameを完成した
その他行政的観点からの成果
1,表示の基準であるアレルゲンタンパク量10micro g/g or mlは妥当と推測された
2. 加水分解小麦はアレルゲン性が残存しているので表示の対象とすべき
3, アレルギー物質検出キットで使われる亜硫酸系抽出液は従来の2-ME系抽出液と差はないので変更可能 
4, キウイ、リンゴ、魚類検出用ELISA法の開発;検出法の課題指摘
5, リンゴ迅速検出法;蛍光偏光度法で解析可能
6, アンケート調査の結果、食品業者、患者、医師、食品衛生監視員のアレルギー表示に対する理解度が不十分と判明
その他のインパクト
食物アレルギーひやりはっと事例集2012に東日本大震災と淡路・阪神大震災での事例を収集でき、災害のための対応マニュアルを掲載した。

発表件数

原著論文(和文)
25件
原著論文(英文等)
42件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
60件
学会発表(国際学会等)
48件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Emoto A, Ishizaki S, Shiomi K
Tropomyosins in gastropods and bivalves: identification as major allergens and amino acid sequence features
Food Chem , 114 , 634-641  (2009)
原著論文2
Ito K, Urisu A.
Diagnosis of Food Allergy Based on Oral Food Challenge Test
Allergol Int , 58 , 467-474  (2009)
原著論文3
Kondo Y, Ahn J, Komatsubara R, et al
Comparison of allergen properties in salmon (Oncorhynchus nerka) from landlocked and anadromous species
Allergology International , 58 , 295-299  (2009)
原著論文4
Kondo Y, Urisu A
Oral Allergy Syndrome
Allergol Int , 58 , 485-491  (2009)
原著論文5
Sato S, Tachimoto H, Shukuya A, et al
Basophil Activation Marker CD203c Is Useful in the Diagnosis of Hen's Egg and Cow's Milk Allergies in Children
International Archives of Allergy and Immunology , 152 (1) , 54-61  (2010)
原著論文6
Sakai S, Adachi R, Akiyama H, et al
Determination of walnut protein in processed foods by enzyme-linked immunosorbent assay: Interlaboratory study
J AOAC Int , 93 , 1255-1261  (2010)
原著論文7
Shiomi K, Yoshida, T. Sawaguchi T, et al
Determination of walnut protein in processed foods by enzyme-linked A major IgE epitope of rainbow trout collagen α2 chain
Shokuhin Eiseigaku Zasshi , 51 , 153-159  (2010)
原著論文8
Sakai Y, Ishihata K, Nakano S, et al
Specific detection of banana residue in processed foods using polymerase chain reaction
J Agric Food Chem , 58 , 8145-8151  (2010)
原著論文9
Sakai S, Adachi R, Akiyama H, et al
Enzyme-linked immunosorbent assay kit for the determination of soybean protein in processed foods: Interlaboratory evaluation,
J AOAC International , 93 , 243-248  (2010)
原著論文10
Sato S, Tachimoto H, Shukuya A, et al
Utility of the peripheral blood basophil histamine release test in the diagnosis of hen's egg, cow's milk, and wheat allergy in children
Int Arch Allergy Immunol , 155 , 96-103  (2011)
原著論文11
尾辻健太、二村昌樹、漢人直之、他
ω-5グリアジン特異的IgE抗体検査の臨床的有用性について
アレルギー , 50 (8) , 971-982  (2011)
原著論文12
Suzuki M, Kobayashi Y, Hiraki Y, et al
Paramyosin of the disk abalone Haliotis discus discus: identification as a new allergen and cross-reactivity with tropomyosin
Food Chem , 124 , 921-926  (2011)
原著論文13
Ito K, Sjölander S, Sato S, et al
IgE to Gly m 5 and Gly m 6 is associated with severe allergic reactions to soybean in Japanese children
J Allergy Clin Immunol , 128 (3) , 673-675  (2011)
原著論文14
Taguchi H, Watanabe S, Temmei Y, et al
Detection of Shrimp and Crab for Food Labeling Using Polymerase Chain Reaction
J Agric Food Chem , 59 , 3510-3519  (2011)
原著論文15
Guo FF, Kubota H, Shiomi K
Purification, immunological properties and molecular cloning of two allergenic parvalbumins from the crimson sea bream Evynnis japonica
Food Chem , 132 , 835-840  (2012)
原著論文16
Ito K, Futamura M, Moverare R, et
The usefulness of casein-specific IgE and IgG4 antibodies in cow's milk allergic children
Clinical and Molecular Allergy , 10 , 1-1  (2012)
原著論文17
Ebisawa M, Shibata R, Sato S, et al
Clinical Utility of IgE Antibodies to ω-5 Gliadin in the Diagnosis of Wheat Allergy: A Pediatric Multicenter Challenge Study
Int Arch Allergy Immunol , 158 , 71-76  (2012)

公開日・更新日

公開日
2016-10-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
201131004Z