遠隔医療技術活用に関する諸外国と我が国の実態の比較調査研究

文献情報

文献番号
201129040A
報告書区分
総括
研究課題名
遠隔医療技術活用に関する諸外国と我が国の実態の比較調査研究
課題番号
H22-医療・指定-043
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 正次(兵庫県立大学 大学院)
  • 岡田 宏基(香川大学 医学部)
  • 森田 浩之(岐阜大学 大学院)
  • 柏木 賢治(山梨大学 地域医療学)
  • 郡 隆之(利根中央病院)
  • 齋藤 勇一郎(群馬大学 循環器内科学)
  • 石塚 達夫(岐阜大学 大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究初年度に、国際的制度比較と遠隔診療の安全性調査としての多施設後ろ向き研究を実施して、良い成果が得られた。それを受けて、二年度として有効性検証を、遠隔診療・対面診療を組み合わせた群と対面診療のみの対照群に分けたコントロールスタディとして実施した。評価項目は、有害事象の発生頻度、診療間隔(日数)、診察頻度、往診時の移動時間、QOLなどである。
また二年度目として、普及展開手法の調査にも着手した。遠隔診療の展開が遅い一因には、効果のある適応や手法に関する知識の普及の遅れがあると考えた。そこで、遠隔診療の臨床テキストの編纂の検討、教材・研究材料として、遠隔診療実施状況のビデオ記録を行った。
研究方法
1. 有効性検討
多施設のプロスペクティブ(前向き)研究として、専用調査用紙を設計して、実施した。テレビ電話診療と訪問診療を組み合わせた群、訪問診療のみの群の双方に分けた。各評価項目の中で、特にQOLは患者本人にSF36、介護者のBIC11を採用した。その上で各施設でのテレビ電話機器の整備を行い、調査用紙の配布を行い、前向き研究を開始した。調査は 2011年5月?2012年3月に掛けて行い、分析を2012年3月から開始した。
2. 普及展開手法
・遠隔診療テキスト編纂の調査:内容の検討、項立て・目次検討、準備原稿執筆と評価を行い、継続している。
・遠隔診療実施状況のビデオ記録:実施施設(患者宅)5件にて撮影した。
3.倫理面への配慮
個人情報の保護に深く注意を払った。またIRBを群馬大学医学部で一括申請した
結果と考察
1.有効性検討
・施設数:19、患者数;128(遠隔群60/対照群68)
・在宅医療でのケースコントロールスタディの事例自体が少なく、研究手法自体が研究途上にある。その研究を遂行できたことが大きな成果だった。今後、ICTを活用した医療でも臨床研究が欠かせなくなる。詳細な分析を今後実施する。

2. 普及展開手法
・遠隔診療テキスト編纂の調査で準備稿執筆者:20、準備稿件数:大項目7 小項目25
・遠隔診療実施状況のビデオ記録:施設数:2、患者数;5
・これまで遠隔医療について、ケース報告、技術解説の著作物はあったが、臨床家向けのテキスト編纂や記録収集は初めての試みであり、今後に広げていきたい。
結論
遠隔診療の臨床研究の道が開かれた。いっそう進めるべきである。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201129040B
報告書区分
総合
研究課題名
遠隔医療技術活用に関する諸外国と我が国の実態の比較調査研究
課題番号
H22-医療・指定-043
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 正次(兵庫県立大学 大学院)
  • 岡田 宏基(香川大学 医学部)
  • 森田 浩之(岐阜大学大学院)
  • 柏木 賢治(山梨大学 医学部)
  • 郡 隆之(利根中央病院)
  • 齋藤 勇一郎(群馬大学 医学部附属病院)
  • 石塚 達夫(岐阜大学 大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在宅医療の重要性が増しているが、医師の広域対応が欠かせず、地域により拡大が困難である。遠隔診療は距離を凌駕できる重要手段だが、臨床研究が乏しく、医療上の安全性・有効性、費用負担など政策立案に有用なエビデンスが不足している。そこで本研究では、在宅向け遠隔診療について国内における必要性・満足度・効果・経済性の調査を実施した。また国外の遠隔診療の制度調査の調査を行った。
研究方法
①社会的必要性:有識者・患者へのアンケート調査
②安全性調査:多施設後ろ向き研究
③有効性調査:多施設前向き研究
④海外制度調査:主要国に訪問して、法的規制、免許・資格制度、公的医療費支払制度など調査した。
結果と考察
1.社会的必要性
①有識者調査:医学中央雑誌から遠隔医療の研究者、実践者を検索した。4115件の論文から筆頭著者199人を抽出し調査依頼した。有効回答109名を得た。
②患者調査:在宅医療関連33施設から1539名に調査用紙を配布して、有効回答939名を回答を得た。
③結果:有識者、患者共に50%以上が遠隔診療を実施・受診したいと回答して、ニーズの高さを示した。
2.安全性調査
2010年7月?9月に掛けて、7施設からがん、脳卒中後遺症を対象に、遠隔群37人/対照群31名の登録を受けて、調査を実施した。両疾病、両群ともに有害事象の発生率に差がなく、安全性に問題が無かった。
遠隔診療での初めての調査事例であり、また在宅診療の実態を知る上でも貴重な資料である。訪問と遠隔の組合せ方が重要であり、訪問を主・遠隔で補完する手法で安定した運用ができた。
3.有効性調査
19施設から登録された遠隔群60名/対照群68名からのデータを収集した。各施設は遠隔診療の経験のある施設、初めての施設が双方あった。まだ解析途中て、24年度の研究で解析を進める。
アウトカム、エンドポイントの設定など臨床研究上の課題を初めて検討して、多施設前向き研究を実施した。
4.海外制度調査
アメリカ、イギリス、フランス、ベルギーなどを訪問調査して、制度、実施状況ともに検討途上とわかった。欧米と比べて、日本が遅れた状況にあるとは言えない。
結論
厚労省医政局通知の2011年3月31日の改正通知の発行に資する研究結果を得た。遠隔診療(テレビ電話診療)の国内初の多施設研究を実施できた。非常に大きな成果を残した。

公開日・更新日

公開日
2012-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129040C

収支報告書

文献番号
201129040Z