専門医制度に関する研究

文献情報

文献番号
201129033A
報告書区分
総括
研究課題名
専門医制度に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-035
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(国立大学法人東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 井出 博生(国立大学法人東京大学医学部附属病院 企画情報運営部 )
  • 康永 秀生(国立大学法人東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、専門医制度構築に向けたエビデンスの蓄積、専門医需給見通しのための基礎資料の蓄積を行うとともに、データを縦断的に解析し、専門的診療科の決定と従事の状況を明らかすることで、専門医制度のあり方、質の高い医療供給体制の構築のための基礎資料を提供することにある。
研究方法
医師・歯科医師・薬剤師調査のデータを分析し、初期研修後の医師分布、研究医及び診療所への異動に着目した医師の専門分野及びキャリアパス、女性医師における就業の動態把握、専門医を含めた医師の地域間動態等に関する検討を行った。また、外科系医師対象のアンケートを行い、専門医制度に関する意識を調査した。
結果と考察
初期臨床研修後に医育機関に勤務する医師は2004年に医籍登録を行った者では約4割であること、研究医は、医師に占める研究医割合では微減となっているが、特に若手の減少が目立っていることを明らかにした。女性医師においては、近年外科系における女性医師割合の増加を認めた。医師の地域間動態に関する検討の結果、医師の動態は診療科間で一様ではないこと、医師の自治体間の移動に関して、勤務先の様態は無関係である可能性があることを明らかとした。外科医を対象としたアンケート調査からは、病院勤務医の大多数は専門医を取得するにもかかわらず、現状の専門医認定のあり方について様々な意見があることがうかがえた。
結論
新旧初期研修制度下で医師の施設類型別分布は大きく異なっており、今後の専門医のあり方に考える上で、初期研修以降の研修の実態についてデータに基づく分析が重要であることが示唆された。また、女性医師における就業の動態把握からは、女性医師の就労継続や復職は診療科別で異なっていることが明らかとなったことから、今後は診療科の特異性を考慮した医師の就労支援と環境整備のあり方が必要であることが示唆された。さらに、医師へのアンケート調査からは、専門医制度の在り方を議論する上で、患者・国民のみならず、医学・医療界からの意見も幅広く収集することが必要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-05-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201129033B
報告書区分
総合
研究課題名
専門医制度に関する研究
課題番号
H22-医療・一般-035
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(国立大学法人東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 井出 博生(国立大学法人東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 康永 秀生(国立大学法人東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
専門医制度構築に向けたエビデンスの蓄積や専門医需給見通しのための基礎資料の蓄積を行うとともに、データを縦断的に解析し、医師の専門分野の決定と従事の状況を明らかすることで、専門医制度のあり方、質の高い医療供給体制の構築に向けた検討のための基礎データの提供を行うことを本研究の目的とする。
研究方法
医師・歯科医師・薬剤師調査からデータを縦断的に解析し、医師のキャリア段階別の主たる診療科の分布及びその推移、初期臨床研修後の医師分布、研究医、病院から診療所に勤務先を変更する際の状況を明らかとするとともに、各診療科における女性医師のキャリアパス、卒後の就業における動態を把握する。また医師の地域偏在が静的なものであるのか、動態を説明する要因は何か、地域毎に医師の偏在や動態に差異があるとして、そのことが住民の健康アウトカムに対してどのような影響があるのかを解析する。さらに、今後の専門医制度の在り方について検討する上での基礎資料を提示することを目的として、専門医制度に関する意識調査(医師対象アンケート調査)を行った。
結果と考察
医療の専門分化は大きな潮流である中、専門医の認定制度、質の維持、専門医としての総合医・家庭医のあり方を検討することが重要な政策課題である。女性医師に関しては離職や復職の割合が、診療科別に、特に大きな差がみられないことから、出産・育児における休暇や勤務体制をある程度想定した上で職場環境を整備することで、医師が比較的中長期にわたり継続して病院や教育機関で就労することが可能である。医師の地域偏在の解消のためには、ジニ係数の値の経年変化といった静的な観察に留まらず、動態について分析することが政策立案上必要である。医師対象のアンケート調査からは、病院勤務医の大多数は専門医を取得するにもかかわらず、現状の専門医認定の在り方自体への様々な意見が明らかとなった。
結論
本研究を通じ、医師のキャリア段階別の主たる診療科の分布及びその推移、初期研修後の医師分布、研究医及び診療所への異動に着目した医師の専門分野及びキャリアパス、女性医師における就業動態、専門医を含めた医師の地域間動態を明らかにするとともに、専門医制度に関する意識調査を実施したことで、専門医制度構築に向けたエビデンスの蓄積や専門医需給見通しのための基礎資料の蓄積を行うことが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2012-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201129033C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2年間の研究成果は、英文原著論文3編、和文原著論文1編として刊行された他、国際学会において2演題、国内学会において3演題、発表されており、当該分野の専門的・学術的な発展に寄与した。
臨床的観点からの成果
該当しない。
ガイドライン等の開発
本研究成果により、医師がいつ、専門分野を決定するか、また、就業状況はどのようになっているか、といった点がデータにより明らかになったことで、今後の専門医に関するガイドライン等の検討にあたっての基礎的資料を提供することになったものと考えられる。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省では、「専門医の在り方に関する検討会」を開催するなど、医師の質の向上や医師の偏在に関する関心は高まっており、本研究成果が、専門医制度の在り方を行政的観点から検討する上で、基礎的資料を提供することになったものと考えられる。
その他のインパクト
本研究は、専門医制度にとどまらず、医師のキャリアや、地域における医療資源の分布に関する検討の際の、基礎的資料を提供することになったものと考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Koike S, Matsumoto S, Kodama T et al
Specialty choice and physicians' career paths in Japan
Health Policy , 98 (2) , 236-244  (2010)
原著論文2
Kodama T, Koike S, Matsumoto S, et al
The working status of Japanese female physicians by area of practice: cohort analysis of taking leave, returning to work, and changing specialties from 1984 to 2004.
Health Policy , 105 (2) , 214-220  (2012)
原著論文3
Koike S, Ide H, Kodama T et al
Physician-Scientists in Japan: Attrition, Retention, and Implications for the Future
Academic Medicine , 87 (5) , 662-667  (2012)
原著論文4
児玉知子、小池創一、松本伸哉他
女性医師割合の高い診療科(眼科・皮膚科・麻酔科)におけるキャリアパスについて.
厚生の指標 , 58 (8) , 1-7  (2011)

公開日・更新日

公開日
2022-05-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201129033Z