早期再分極(early repolarization)症候群の病態と遺伝基盤、長期予後に関する研究

文献情報

文献番号
201128269A
報告書区分
総括
研究課題名
早期再分極(early repolarization)症候群の病態と遺伝基盤、長期予後に関する研究
課題番号
H23-難治・一般-114
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鎌倉 史郎(独立行政法人国立循環器病研究センター 臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀江 稔(滋賀医科大学 呼吸循環器内科)
  • 草野 研吾(岡山大学 循環器内科)
  • 萩原 誠久(東京女子医科大学 循環器内科)
  • 杉 薫(東邦大学 循環器内科)
  • 清水 昭彦(山口大学 保健学科)
  • 清水 渉(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
  • 宮本 恵宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 予防検診部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では早期再分極(early repolarization)症候群とそれに近似する病態を全国的な規模で集積し、後ろ向きと前向きに予後を観察し、同時に種々の心電図検査、電気生理学検査、遺伝子検査等を行って本症候群の病態、機序と、予後を解明することを目的とする。
研究方法
以下の症例を全国的な規模で登録する。1)Haissaguerreらの定義した早期再分極症候群、すなわち、II,III,aVF誘導とI,aVL,V4-V6誘導のうち、2誘導以上でnotchまたはslur波形を呈し1mm以上のJ波増高を有する症例、2)0.5mm以上1mm未満のJ波増高を有する境界型例、3)心室細動の既往のあるBrugada症候群、4)QT短縮症候群等の突然死症候群に合併した早期再分極症候群。全例から突然死家族歴と失神歴を聴取し、高位肋間を含む12誘導心電図、薬物負荷心電図、心エコー図、ホルター心電図、運動負荷検査を、一部の例に加算平均心電図、心磁図、TWA検査を行う。同意の得られた例では電気生理学的検査、遺伝子解析を行う。この他に早期再分極症候群とBrugada症候群に関して個別研究を行う。
結果と考察
これまで2年間で215例(早期再分極症候群:41例、Brugada症候群:174例) を登録できた。病態解析では、心室細動を伴う早期再分極症候群が析では心室細動を伴う早期再分極症候群が、予後の不良な群(36%)と予後の良好な群の2群に分類でき、前者は主として睡眠中に心室細動発作を生じ、心電図上、下側壁誘導と前壁誘導に早期再分極(J波)を合併するのに対し、後者は主として体動時に心室細動発作を生じ、心電図では下側壁誘導にのみJ波を有することを指摘した。Brugada症候群では、電気生理学検査での2連発以下の早期期外刺激による心室細動、多形性心室頻拍誘発が、失神群、無症候群の不良な予後予測に有用であることを報告した。また早期再分極症候群の新たな原因遺伝子としてSCN5Aの変異を発見した。
結論
1)早期再分極症候群で得られた知見から、本症候群はBrugada症候群類似の予後不良の病態と、それとは異なる予後良好な病態の2つから構成され、両群を心電図で鑑別できることが判明した。2) Brugada症候群に関しては、従来否定的であった電気生理学検査の意義が見直される可能性がある。 3)SCN5Aが早期再分極症候群で最も重要な遺伝子変異として認識される可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2013-03-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128269Z