周産期の難聴のハイリスクファクターの新分類と診断・治療方針の確立

文献情報

文献番号
201128266A
報告書区分
総括
研究課題名
周産期の難聴のハイリスクファクターの新分類と診断・治療方針の確立
課題番号
H23-難治・一般-111
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 竹腰 英樹(国際医療福祉大学三田病院)
  • 新正 由紀子(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 内山 勉(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 松永 達雄(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 福島 邦博(岡山大学医学部)
  • 神田 幸彦(神田耳鼻咽喉科entクリニック)
  • 坂田 英明(目白大学保健医療学部)
  • 城間 将江(国際医療福祉大学言語聴覚学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
21世紀になってから既に10年が過ぎたが、この間、新生児医療の進歩で超低出生体重児がそれ以前に比べ3倍も増加しているという報告がある。それと同時にわれわれの幼小児難聴・言語障害クリニック外来および研究協力病院における超低出生体重児の耳鼻咽喉科学的評価のために紹介される場合がかつてに比べ増加している。われわれは、このような新たな時代を迎えて、調査研究を行うことにし、何が問題で、どのような対策を立てるのが適当か明らかにするために、a.聴覚、b.音声、c.言語の3つに分けて取り上げ、新しい光を当てることにした。
研究方法
対象は出生体重400gから1000g以下の超低出生体重児11例。東京医療センターの幼小児難聴・言語障害クリニック外来および研究協力病院の耳鼻咽喉科外来を受診した患者を対象にした。方法は聴覚障害はDPOAE、ABR、CORを用いて評価し、音声障害はファイバーで観察し評価した。
結果と考察
超低出生体重児は、聴覚障害、音声障害、聴覚障害を伴わない言語発達障害児も急増していることが明らかになった。重い聴覚障害は、先天性奇形症候群や染色体異常例に発見された。すなわちCHARGE症候群やダウン症候群に合併していることである。中等度の難聴はダウン症候群に多く長期フォローすると改善する例が少なくないことに注意がいる。Auditory Neuropathy Spectrum Disorderは、新生児期はDPOAE(+)、ABR(-)であっても発達とともに変化し、1年以内にDPOAEが消失、感音難聴になるタイプや、ABRが次第に現れ、2歳になるとまったく正常化する例がある。DPOAE(+)、ABR(-)がそのまま持続した場合、聴覚認知障害が持続する例と良く聞き良く話す例も存在することがわかった。NICUでの人工呼吸などの医療、機器の騒音下という環境などの治療に伴う副作用の検討も必要である。音声障害は先天性の問題だけでなく長期挿管による人工呼吸に伴うもので、気管チューブの声帯外傷によって生じる。言語発達遅滞については、難聴はないが超低出生体重児では言語発達が遅れる場合が少なくない。
結論
超低出生体重児は耳鼻咽喉科が担当する領域の問題が少なくないことがわかった。聴覚障害、音声障害、言語発達遅滞さらにバランスと歩行障害に分けて取り組み、対策が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128266Z