VATER症候群の臨床診断基準の確立と新基準にもとづく有病率調査およびDNAバンク・iPS細胞の確立

文献情報

文献番号
201128227A
報告書区分
総括
研究課題名
VATER症候群の臨床診断基準の確立と新基準にもとづく有病率調査およびDNAバンク・iPS細胞の確立
課題番号
H23-難治・一般-071
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高山 真一郎(独立行政法人国立成育医療研究センター )
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター遺伝科)
  • 小崎 里華(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系専門診療部・遺伝診療科)
  • 岡本 伸彦(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院 臨床第一部)
  • 工藤 純(慶應義塾大学 医学部)
  • 星野 健(慶應義塾大学 医学部)
  • 赤松 和土(慶應義塾大学 医学部)
  • 谷口 善仁(慶應義塾大学 医学部)
  • 加部 泰明 (慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
VATER症候群は原因不明である。VATER症候群に合併する橈側列異常、小児外科的な奇形の実態調査、VATER症候群の鑑別診断について明らかにした。同時にVATER症候群を構成する先天奇形を複数もつ患児の臨床的特徴についても検討した。これらの疫学的データを踏まえて、フォローアップのためのガイドライン(案)を作成した。並行して、人類遺伝学的および発達生物学的な観点から疾患の原因解明も目指した。
研究方法
橈側列奇形を伴う患者11例、食道閉鎖症84例、十二指腸閉鎖症例10例について検討した。
特定施設でVATER症候群を構成する要素である先天奇形を有する患児情報を抽出し、その疾患名と数について検討し、鑑別診断を明らかにした。これらの検討に基づき、フォローアップガイドラインのコンセンサス案を作成した。次世代シーケンサーを用いた患者検体の解析と動物モデル(アドリアマイシン曝露胚)の解析を行った。
VATER症候群の橈骨形成不全のModified Bayne分類と母指形成不全のBlauth分類で示す重症度について相関があることを示した。十二指腸閉鎖が既報に比して頻度が高く、注意すべき合併症と考えられた。鑑別診断としてOpitz症候群、BRESEK症候群、Cat Eye症候群が含まれることを示した。動物モデルによる検討から特定のRNA結合タンパクが疾患発症に関連する可能性を初めて示した。








結果と考察
VATER症候群の橈骨形成不全のModified Bayne分類と母指形成不全のBlauth分類で示す重症度について相関があることを示した。十二指腸閉鎖が既報に比して頻度が高く、注意すべき合併症と考えられた。鑑別診断としてOpitz症候群、BRESEK症候群、Cat Eye症候群が含まれることを示した。動物モデルによる検討から特定のRNA結合タンパクが疾患発症に関連する可能性を初めて示した。
結論
VATER症候群について、橈側列奇形・母指形成不全・十二指腸閉鎖を含む消化管奇形スペクトラムを明らかにした。鑑別すべき疾患の系統的な検討を行った上、フォローアップのためのガイドラインの案を作成した。さらにVATER症候群の動物モデル・患者検体の次世代シーケンサーを用いた検討により、発症メカニズムに関する多角的な検討も行い、特定のRNA結合タンパクが疾患原因候補遺伝子であることを示した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128227Z