Schwartz-Jampel症候群のわが国における診断システム確立とモデルマウスによる病態解明と治療研究

文献情報

文献番号
201128211A
報告書区分
総括
研究課題名
Schwartz-Jampel症候群のわが国における診断システム確立とモデルマウスによる病態解明と治療研究
課題番号
H23-難治・一般-055
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
平澤 恵理(順天堂大学 大学院医学研究科老人性疾患病態・治療研究センター(脳神経内科兼務))
研究分担者(所属機関)
  • 大野 欽司(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
軟骨異栄養性筋強直症(Schwartz-Jampel 症候群, SJS)はパールカン欠損疾患であり、筋の自発持続収縮によるミオトニアと骨格病変を主症状とする。近年、SJSの原因遺伝子が解ったが、効果的対症療法、根治療法が確立しておらず、かつ筋、骨格の症状からADLを著しく障害する難治性疾患である。本研究の目的は、細胞外マトリックス分子パールカン欠損によるSJSの臨床診断・遺伝子診断サービスを提供し、更に分子病態解明と画期的治療に向けた基礎研究へ繋ぐことである。患者数が少なく研究の進みにくい疾患に対して、重点的・効率的に研究を行うことにより進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者QOLの向上を図る基盤形成を目的とした。
研究方法
1.SJS症例の発掘・同定 我が国での診断方法の確立する。SJSを疑症例に対してエクソン領域のDNAを濃縮し、50 bpの塩基配列を決定する。ヒトゲノムGChR37/hg19にマッピングを行う。unreliable readsやPCR duplicatesのフィルターリングを行い、default parametersを用いてSNV callを行なう。SJS診断基準を提案する。 2.動物モデルマウスによる病態解析・治療実験を行なう。HSPG2ノックアウトマウスにII型コラーゲンプロモーター下にパールカンを発現させ、軟骨以外でパールカンを欠損するマウスを作成し病態解析を行なう。将来的には、挑戦的治療方法(protein anchoring therapy)の実現による根治療法に繋げる。

結果と考察
1 診断基準案を作成した。これまでSJS1型とされてきたカテゴリーが、パールカン分子の遺伝子異常に起因する一疾患群を成すことが判り、診断基準を提案した。2. 次世代シークエンサーによる解析を行い、過去に遺伝子変異が判明しなかった症例も診断が可能になった。3. SJS では、主症状とされる筋、骨格症状以外の臓器にも多彩な全身症状が、報告されているがまだ明文化されていない。申請者らは、マウスモデルを使って成体組織におけるパールカンの機能解明を行なっている。大動脈解離、白内障、角膜病変、膝関節病変についての発症機構解析について研究をすすめた。

結論
診断システムの確立と治療法の開発のための研究を進めた。本疾患は幼少期発症であり、早期診断による筋緊張コントロール、二次的な骨格変形の予防は患児の発達を正常化するために、喫緊の課題である。SJS症例の発掘・同定 我が国での診断方法の確立、.独自に開発したモデルマウスによる病態解析を行なった。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128211C

成果

専門的・学術的観点からの成果
軟骨以外でパールカンを欠損するマウスモデルを使って成体組織におけるパールカンの機能解明を行なった。大動脈解離、白内障、角膜病変、膝関節病変についての発症機構解析について研究が進んだ。成体神経新生についても、コントロールマウスと差異を認めているため、解析を行なっている。学術的観点から新規性の高い成果となると思われる。
臨床的観点からの成果
診断基準を報告書で提案した。
次世代シークエンサーによる解析を行い、過去に遺伝子変異が判明しなかった症例も診断が可能になった。
ガイドライン等の開発
診断基準を報告書で提案した。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
201年発表分
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
5件
201年発表分
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
4件
201年発表分
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kawakami Y, Ito M, Hirayama M,et al
Anti-MuSK autoantibodies block binding of collagen Q to MuSK
Neurology , 77 (24) , 1819-1826  (2011)
原著論文2
Selcen D, Juel VC, Hobson-Webb LDet al
Myasthenic syndrome caused by plectinopathy
Neurology , 76 , 327-336  (2011)
原著論文3
Fu Y, Masuda A, Ito M et al
AG-dependent 3'-splice sites are predisposed to aberrant splicing due to a mutation at the first nucleotide of an exon.
Nucleic Acids Research , 39 , 4396-4404  (2011)
原著論文4
Yoshinaga H, Sakoda,S Good JM et al
A novel mutation in SCN4A causes severe myotonia and school-age-onset paralytic episodes
Journal of the Neurological Sciences , 315 (1) , 15-19  (2012)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128211Z