ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128163A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森 昌朋(群馬大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 俊夫(徳島大学 ヘルスバイオサイエンス研究部 生体情報内科学)
  • 加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所)
  • 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 内分泌学)
  • 村田 善晴(名古屋大学環境医学研究所 生体適応・防御研究部門)
  • 廣松 雄治(久留米大学医学部 内科学講座 内分泌代謝内科部門)
  • 大薗 惠一(大阪大学大学院医学系研究科 小児学講座 小児学・内分泌学)
  • 杉本 利嗣(島根大学医学部 内科学講座 Ca・骨代謝学)
  • 岡崎 亮(帝京大学ちば総合医療センター)
  • 笠井 貴久男(獨協医科大学 内分泌内科)
  • 福本 誠二(東京大学医学部附属病院 腎臓内分泌内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
28,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
甲状腺ホルモン受容機構異常症として甲状腺ホルモン不応症とTSH受容体異常症を対象とする。また、副甲状腺ホルモン(PTH)受容機構異常症としてビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症と偽性副甲状腺機能低下症を対象とする。これらの疾患の患者実態と病態を解明し、診断基準と治療指針を確立する。さらに、正確な診断基準の作成は新たな治療法の開発への道を開く。世界的にみてもこれらの疾患の診断指針および治療指針は確立されていない。新規の診断基準と治療指針の確立により、一般医家の診断が容易となり、患者診療において幅広い社会的貢献が期待できる。
研究方法
甲状腺ホルモンやTSH、副甲状腺ホルモン(PTH)、活性型ビタミンDなどのホルモン作用による受容体と細胞内情報伝達系のin vitro解析およびこれらの受容機構異常の疾患モデルとなる遺伝子改変動物の解析に基づき、疾患度病態の理解や新規治療法の開発への基盤を築く。そして、これらの情報に立脚して臨床例の病態解析、遺伝子異常の診断法やホルモン血中濃度測定系の確立のみならず、診断基準や診断指針の策定、さらに全国疫学調査を行った。

結果と考察
甲状腺関連疾患では(1) 甲状腺クリーゼの診療指針の策定、(2) バセドウ病悪性眼球突出症の診断指針の策定、(3) 粘液水腫クリーゼ診断基準の作成、4) 甲状腺ホルモン不応症(RTH)の診断基準作製、さらに甲状腺ホルモン作用の指標の探索を行い、RTH合併妊娠の問題点が明らかとした。(5) 甲状腺ホルモン受容体を介する転写調節制御特に転写因子GATA2の関与を明らかとした。また、副甲状腺関連疾患として (1) FGF23関連低リン血症性疾患の診断基準の作製と疫学調査、(2) ビタミンD抵抗性くる病/軟化症の診断マニュアルの作製、関連疾患の実態調査、また、Hypマウスをモデルとして病態解析を行った。(3) 偽性副甲状腺機能低下症の診断基準の作成、(4)ビタミンD不足の骨折リスク亢進機序に関する検討、ビタミンD充足の臨床的意義と血中活性型ビタミンDの特異的役割を検討し、さらに薬剤添加物ATBCの骨代謝への影響を検討し、(5) MBD4の遺伝子欠損マウスを用いてビタミンDの標的遺伝子転写制御系を解析した。
結論
本研究により各種ホルモン受容機構異常による患者実態を把握することができ、さらに基礎、臨床の両面から研究を発展、融合させることにより病因と病態の解明を行い、さらに診断基準の作成が順調に進んでいる。今後治療法の確立を含め進めていく予定である。


公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128163Z