文献情報
文献番号
201128036A
報告書区分
総括
研究課題名
成人型分類不能型免疫不全症の診断基準・診断方法の確立及び治療方法の開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-075
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 今井 耕輔(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
- 金兼 弘和(富山大学附属病院 小児科)
- 松本 功(筑波大学大学院)
- 田中 敏郎(大阪大学大学院)
- 小原 收((財)かずさDNA研究所)
- 竹森 利忠(理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
目的:現在までに構築した200名以上の患者データベースを元に、体系的基盤データを収集し、免疫系に関する体系的・網羅的な検討を行い、特徴的な亜群を抽出し根本原因を同定し、自己免疫・腫瘍発生を探索し、根本原因に対するタンパク導入治療について基礎検討を行う。またWebなどにての情報公開を充実させ、患者会との連携を強固なものとすることを目指す。
研究方法
亜群同定抽出:KRECs, TRECsの測定(リアルタイムPCR)及びNaïve B細胞での発現解析(アレイ解析)。根本原因同定・合併症解析:全エクソン解析。タンパク治療:Hph-1(細胞透過性ペプチド)に目的タンパクを融合させた組換えタンパクを作成し、患者免疫細胞に導入して機能回復を検討した。情報公開:Web、雑誌、講演会など多岐の方策を用いて情報を発信した。
結果と考察
TREC (T),KREC(K)の結果から、A群からD群(A群:T正常・K正常、B群:T正常、K低下、C群:T低下、K正常、D群:T低下、K低下)に群分けされ、A:B:C:D=3:1:1:1に分類された。D群は複合型免疫不全症に近い群と考えられ、A以外の群では有意に合併症発生頻度が高かった。責任遺伝子探索では8名で2476候補遺伝子解析を行い(454 FLX)、5名で全エクソンシークエンスを行い(イルミナGAIIx)、フィルター後に得られた遺伝子についてはサンガー法での確認を行った。その結果前者にて1つ、後者にても1つの候補遺伝子が浮かび上がり、機能解析を開始した。さらに22名のCVID遺伝子解析を行う準備を進めた。タンパク導入についてはモデルとしてウィスコット・アルドリッチ症候群や慢性肉芽腫症を選定し、欠損するタンパクを組換え体として作成・導入して機能回復を確認した。上記の成果を含む、患者診療留意点は雑誌掲載やWeb公開、講演の形で提供し、全国のCVID診療に携わる医師・CVID患者との連携を強化した。
結論
最終年度において、CVID患者総数は300名に達しようとし、十分な内容のデータベースが構築できた。また亜群分類は責任遺伝子同定作業を通し未知であった疾患の根本的な病態が判明しようとしている。将来的な治療についての予備実験も行い、タンパク導入の有用性を証明した。何よりも全国の医師や患者会との連携が強化されたことが重要な成果である。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
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