真菌感染症の病態解明に基づく検査・治療法の確立と国内診断・治療ネットワークの構築に関する研究

文献情報

文献番号
201123023A
報告書区分
総括
研究課題名
真菌感染症の病態解明に基づく検査・治療法の確立と国内診断・治療ネットワークの構築に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
河野 茂(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 義継(国立感染症研究所 生物活性物質部)
  • 三鴨 廣繁(愛知医大病院 感染制御部)
  • 谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
  • 渋谷 和俊(東邦大学医学部・病院病理学講座)
  • 槇村 浩一(帝京大学医真菌研究センタ-)
  • 比留間政太郎(順天堂大学医学部附属練馬病院 皮膚・アレルギー科)
  • 望月 隆(金沢医科大学 環境皮膚科学)
  • 亀井 克彦(千葉大学 真菌医学研究センター)
  • 川上 和義(東北大学 大学院医学系研究科 感染分子病態解析学分野)
  • 掛屋 弘(長崎大学病院 第2内科)
  • 山越 智(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
21,428,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における真菌感染症の基盤応用研究や医療現場での真菌症対策は他先進諸国と比較して充分とは言い難いため、病態の解明や情報発信のためのガイドライン等の充実、診療支援や情報共有のためのネットワーク構築を目的とする。
研究方法
診療ならびに検査ラボネットワークの構築を最終目標として、呼吸器、血液内科、皮膚科、外科、検査、基盤研究の観点から、共有すべき疫学情報を明らかにし、課題解決に向けた研究を実施した。
深在性真菌症では地域流行型真菌症と造血幹細胞移植患者における真菌症、皮膚真菌症ではトリコフィトン・トンズランス感染症、外科真菌症に関してはカンジダ症とトリコスポロン症、検査法構築については病理標本からの遺伝子診断法と糸状真菌に関する新規診断法、基盤研究ではクリプトコックスの認識機構、それぞれについて研究を行った。また、ネットワークにおいて共有すべき標準的真菌同定法について検討し、全国の3拠点で検査法を検証した。
結果と考察
真菌症の疫学に関してコクシジオイデス症、ヒストプラスマ症、トリコフィトン・トンズランスの発生動向をアップデートした。また、造血幹細胞移植患者におけるわが国の深在性真菌症疫学がはじめて明らかになった。トリコフィトン・トンズランス指針を作成した。
真菌症の検査法に関する項目で、トリコフィトン・トンズランスに関して、簡便なLAMP法の構築への応用が可能な配列を明らかにし、アスペルギルスと接合菌について分泌抗原とし検査応用可能な蛋白質を明らかにした。
真菌症の確定診断法に関しても、培養陰性である場合でも現在の病理組織学的診断に替わる方法として、病理組織からの菌成分を検出する方法が構築されつつある。標準的な遺伝子診断法の普及についても全国に拠点ラボを試験的に運用開始した。
病原性解明に関しては、難治疾患の新たな制御法開発につながる知見を提供した。健常者に発症するクリプトコックス症を対象として、自然免疫機構の一端を明らかにした。
結論
研究の成果は、即あるいは応用により診断方法の構築や治療・予防法の開発や適切な実施に結びつく。また、ネットワークの形成は行政ニーズの情報源となるばかりでなく、診療支援にも使用可能で診断困難例の患者に直接的な利益を供する。ガイドライン作成の推進は、標準的な診断治療を受ける機会を患者に与え、適切な診療行為を啓発することにより医療資源の適切な配分にも有益であると考える。

公開日・更新日

公開日
2012-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123023Z