文献情報
文献番号
201123018A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザ等の院内感染制御に関する研究
課題番号
H22-新興・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
切替 照雄(独立行政法人国立国際医療研究センター 研究所 感染症制御研究部)
研究分担者(所属機関)
- 大久保 憲(東京医療保健大学 医療情報学科)
- 賀来 満夫(東北大学大学院医学研究科内科病態 学講座感染制御・検査診断学 )
- 河野 文夫(独立行政法人国立病院機構熊本医療センター)
- 川名 明彦(防衛医科大学校 内科学2・感染症・呼 吸器 )
- 加藤 はる(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 齋藤 昭彦(国立成育医療センター 第一専門診療 部膠原病・感染症科 )
- 西岡 みどり(国立看護大学校 看護学部基礎看護学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
26,035,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療現場で実施可能な全職員参加の院内感染対策手法の開発、地域医療機関の間で感染症対策情報を共有化できる地域感染症(危機)管理ネットワークモデルの構築、厚生省医政局指導課長通知「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」の院内感染防止における留意事項を再検討。
研究方法
全国の感染制御チームの協力を得て、標準予防策と感染経路別予防策等、手洗い及び手指消毒、職業感染防止、環境整備と環境微生物調査、手術と感染防止、新生児集中治療部門での対応に関して、医療現場で実施可能な手順を作成し評価する。新興感染症発生時の対応手順を作成する。院内感染防止手順(第3版)を刊行する。宮城県・東北地域で、リアルタイムな情報の共有化、双方向性の情報伝達を試みる。
結果と考察
ESBLs産生大腸菌、緑膿菌,メタロラクタマーゼ産生エンテロバクター・クロアカの解析から、起因菌の推定や経時的な解析は院内感染対策の施設評価に重要であった。感染制御の実態調査より、感染症危機管理地域ネットワークモデルが今回の大震災時に運用され、地域医療機関、地域住民に対する感染予防情報の共有化、予防活動がなされ、地域ネットワークが災害時においても有用である事が示された。包括的院内感染サーベイランスの実施により、MRSAや多剤耐性緑膿菌などの耐性菌が早期に発見でき、適切な対策をとることで院内での伝播を防ぐことができる。重症A(H1N1)pdm09肺炎の病態と、新型インフルエンザ院内感染対策の実態調査を行った。水痘、麻疹、ムンプス、風疹など各医療機関での努力により院内曝露をなくす事は難しく、ワクチン接種率を向上させる事がより重要である。PCR ribotype 027株のLAMP法による迅速・簡便な同定法を開発した。全国の感染症指定医療機関を対象とし、感染管理看護師が行ったRCの実施率、および平時の活動との関連を明らかにした。
結論
医療現場で実施可能な院内感染対策に必要な手法の開発、地域医療機関の間で感染症対策の情報を共有化できる地域感染症(危機)管理ネットワークモデルの構築、及び感染制御チーム(ICT)の設置に関する事項及びアウトブレイク事例に備えての医療機関間の連携の状況把握を実施した。震災時においては、地域における「感染予防の8カ条」のポスターを作成、宮城県とともに「がれき撤去における感染予防のポイント -傷の化膿や破傷風について-」基幹病院とともに「避難所におけるトイレ清掃のポイント」ポスターを作成した。地域医療支援として、インフルエンザなど集団感染事例における疫学調査及び改善支援を行った。
公開日・更新日
公開日
2012-06-26
更新日
-