精神科救急医療における適切な治療法とその有効性等の評価に関する研究

文献情報

文献番号
201122116A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科救急医療における適切な治療法とその有効性等の評価に関する研究
課題番号
H23-精神・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 弘人(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会精神保健研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 八田耕太郎(順天堂大学)
  • 杉山直也(財団法人復康会沼津中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の精神科救急医療における最適な治療のあり方に関する研究を実施し、精神科救急医療における薬物療法と行動制限に関するガイドライン等に反映させることを目的とする。薬物療法(八田研究分担者)では、高用量オランザピン(OLZ)と等価リスペリドン(RIS)の多施設共同評価者盲検ランダム化比較試験 (RCT) を実施し、高用量の有効性を検討した。行動制限(杉山研究分担者)では、行動制限モニタリングの実施とその分析、主要因とされる人的資源投入量について医療経済学的分析を行い構造的側面からの最適化を検討した。
研究方法
(八田研究分担者)14病院に入院した統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害の患者を8週間観察する。ランダム割付は、薬剤の上限がRIS 12mgまたはOLZ 40mgに設定した2群で、エンドポイントは治療中止に至るまでの週数やPANSS 50%改善率などである。(杉山研究分担者)1)人的投入量調査に関し、国内11施設の急性期病棟医療チームを対象とし、想定事例を提示したインタビュー形式でケアの内容や時間の聞き取りを行い、職種毎の人的資源投入量と隔離期間をシミュレーションする調査を実施した。また、2)米国で成果を上げている行動制限最小化のための「コア戦略」を基本として、その内容に沿った研修パッケージおよびプログラムを考案、研修会を実施し、アンケートにより研修効果を検証した。
結果と考察
(八田研究分担者)高用量可とする場合、OLZはRISと比較して、GAF、CGI、8週後の改善率の順で有意に優る可能性がある。抗精神病薬の通常量への早期治療反応不良例に対して、高用量投与に移行した場合、副作用や効果不十分で中止する症例がある一方、40%前後の改善率を示す症例も存在している。(杉山研究分担者)1)非都市部の病院では隔離室入室1日目の直接ケア時間と隔離日数に有意な負の相関があった。約3分の2の病院は理想的なケアで隔離時間は短縮するとしており、ケア密度の増加で収支構造が悪化することが課題である。2)受講前後比較と研修の全般評価では、本プログラムが行動制限への正しい認識を持つために有効であると回答されていた。
結論
本研究成果は、わが国の精神科救急医療における適切な治療法とその有効性等の評価に向けたモデル的な手法となりうる。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122116Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,700,000円
(2)補助金確定額
9,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 892,753円
人件費・謝金 2,573,490円
旅費 2,099,895円
その他 1,895,862円
間接経費 2,238,000円
合計 9,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
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