文献情報
文献番号
201122111A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害や犯罪被害等による精神疾患の実態把握と対応ガイドラインの作成・評価に関する研究
課題番号
H23-精神・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
金 吉晴(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部)
研究分担者(所属機関)
- 加茂 登志子(東京女子医科大学付属女性生涯健康センター)
- 中島 聡美(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 成人精神保健研究部 犯罪被害者等支援研究室)
- 鈴木 友理子(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 成人精神保健研究部 災害等支援研究室)
- 石郷岡 純(東京女子医科大学 医学部 精神医学教室)
- 秋山 剛(NTT東日本関東病院精神神経科)
- 鈴木 満(岩手医科大学神経精神科学講座 外務省メンタルヘルス対策)
- 渡 路子(宮崎県精神保健福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
23,999,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
トラウマ医療ネットワークモデル形成のためのガイドラインの作成、早期被害者の実態調査及び受療行動、転帰との関連の検討、PTSD患者治療のための人材育成方法の研究、PTSDに対する認知行動療法の研修及び訓練方法・教材のガイドラインの作成、自然災害被災者対応のためのガイドラインの作成、口蹄疫被害による住民の精神健康への影響調査、PTSDの治療対応の指針の作成を目的とした。
研究方法
東日本大震災後の精神保健医療対応の実態を総括し、自然災害のメンタルヘルスに関する研修の効果を検討する。DV被害者母子に対するPCITの効果を検討する。犯罪被害者の急性期心理ケアプログラムの構築のための意見集約を行う。PTSDのスクリーニング尺度など、PTSDに関連した尺度の開発、尺度特性を検討する。総合病院のための虐待対応マニュアルと虐待防止教育用テキストの開発を行う。自然災害時の外国人の精神保健支援の調査と支援者へのサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)研修の効果について検討する。口蹄疫被災における住民の継続的健康調査を行う。在外公館における被援護事例を対象として、災害被災や犯罪被害等により精神不調をきたした邦人の実態把握を行う。
結果と考察
東日本大震災においては情報支援の重要性が明らかになった。自然災害のメンタルヘルスに関する研修ではスキル獲得に関して課題が残った。DV被害を受けた母子はPCITの前後で子どもの問題行動が有意に軽快するなど本邦への導入は可能と考えられ、更なる検討が求められた。犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドラインに関しては内容の洗練を行った。PTSDスクリーニング関連の尺度開発に関しては現在症例収集中、総合病院のための虐待対応マニュアルと虐待防止教育用テキストに関しては現在作成中である。邦人援護担当領事への聞き取り調査では、メンタルヘルスに関して系統的に学習の場が不十分であることが明らかになった。災害時の外国人精神保健支援では、支援団体を通じた支援などが求められ、PFA研修では支援者の効力感の向上が確認された。口蹄疫被災1年半後の調査では、感染周辺地域住民の抑うつ症状が有意に高かった。
結論
災害時における情報支援の重要性、自然災害時のメンタルヘルスに対する実践のためスキル獲得の必要性、外国人への支援団体を通じた精神保健支援への必要性、PCIT、PFAの有用性、口蹄疫の感染周辺地域住民は被災1年半を経ても精神保健的にハイリスク集団であること等が明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
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