文献情報
文献番号
201122092A
報告書区分
総括
研究課題名
早期遺伝子診断後の臨床応用を目指した遺伝性難聴の高効率内耳細胞治療法の開発
課題番号
H23-感覚・若手-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
神谷 和作(順天堂大学 医学部耳鼻咽喉科学教室)
研究分担者(所属機関)
- 池田 勝久(順天堂大学 医学部耳鼻咽喉科学教室)
- 美野輪 治(独立法人理化学研究所)
- 飯塚 崇(順天堂大学 医学部耳鼻咽喉科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,744,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
遺伝性難聴は2000出生に一人と高頻度に発生するが、その中でGjb2、コネキシン26(Cx26)遺伝
子は世界で最も発生頻度の高い遺伝性難聴の原因遺伝子として知られている。本研究では、Cx26等
変異難聴の発達初期において、我々の開発した蝸牛線維細胞を標的とした多能性幹細胞治療法の組織導入効率や移植細胞の最適方法を独自の変異モデル動物で選抜することで、これまで存在しなかった遺伝性難聴の根本的治療法を開発し、ヒト臨床応用への有用性と安全性を示すことを目的とした。
子は世界で最も発生頻度の高い遺伝性難聴の原因遺伝子として知られている。本研究では、Cx26等
変異難聴の発達初期において、我々の開発した蝸牛線維細胞を標的とした多能性幹細胞治療法の組織導入効率や移植細胞の最適方法を独自の変異モデル動物で選抜することで、これまで存在しなかった遺伝性難聴の根本的治療法を開発し、ヒト臨床応用への有用性と安全性を示すことを目的とした。
研究方法
1.遺伝性難聴モデルマウスの作製(コネキシン26遺伝子欠損マウス、優性阻害変異導入マウス、Brn4遺伝子欠損マウス)
2.内耳移植用幹細胞の作製(間葉系幹細胞、iPS由来内耳前駆細胞、成体内耳幹細胞)
3.経半規管外リンパ液還流法による内耳への多能性幹細胞の導入
4.移植幹細胞の検出
2.内耳移植用幹細胞の作製(間葉系幹細胞、iPS由来内耳前駆細胞、成体内耳幹細胞)
3.経半規管外リンパ液還流法による内耳への多能性幹細胞の導入
4.移植幹細胞の検出
結果と考察
本研究ではヒト遺伝性難聴で最も高頻度に変異が検出されるGjb2(コネキシン26(Cx26)遺伝子)の内耳特異的欠損マウスを完成させ、ヒト遺伝性難聴と病態がほぼ一致した遺伝性難聴モデルであること確認した。同マウスは最もヒト遺伝性難聴と病態が近似したモデル動物と考えられ新規治療法開発の研究究に最適であると考えられる。また骨髄間葉系幹細胞の内耳組織への誘導・修復のために必要な遺伝子を解析した結果、ケモカインMCP1とその受容体CCR2がスクリーニングされた。この自然細胞誘導・修復機構を人為的に増強することにより内耳への細胞導入効率が飛躍的に高まり、更にはコネキシン26欠損動物で欠失したCx26によるギャップジャンクションを再構成させることに成功した。
結論
本研究で得られた高効率細胞導入法の成果は、骨髄間葉系幹細胞だけではなく人工多能性幹細胞(iPS細胞)や多種の多能性幹細胞へも適用可能であると考えられる。現在この方法を用いてiPS細胞由来内耳前駆細胞の作製と内耳への導入を試みており、良好な結果が得られている。今後は多種の細胞による効果を確認し、多様な内耳幹細胞治療の効率を高める方法として確立させることが期待できる。この細胞導入システムの効果を増強させて用いることにより、遺伝性難聴における細胞置換法が確立し、これまで不可能であった遺伝性難聴の聴力改善が現実化すると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
-