文献情報
文献番号
201122082A
報告書区分
総括
研究課題名
様々な依存症における医療・福祉の回復プログラムの策定に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮岡 等(北里大学 1) 医学部精神科学 2) 東病院精神神経科)
研究分担者(所属機関)
- 樋口 進(独立行政法人国立病院機構 久里浜アルコール症センター)
- 松本 俊彦(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 小泉 典章(長野県精神保健福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
依存症の中で、これまで検討される機会が少ない1)重複障害を有するアルコール・薬物依存、2)向精神薬依存、3)病的ギャンブリングを対象として、それらの実態を明らかにし、依存症全体に対して医療、福祉がどのように対応し、治療システムを構築すべきかを明らかにする。
研究方法
1)―3)の課題に加え、4)行政機関の対応に関する研究の4つの班で構成し、各班で実態調査、転帰調査、専門家による検討を行い、最終的には治療マニュアルや対応マニュアル、関連機関リストを作成する。
結果と考察
1)併存疾患として人格障害、気分障害、精神病性障害の頻度が少なくないこと、自殺の危険性が高いことが明らかとなり、治療システムを構築する意義の根拠を明らかにした。2)向精神薬乱用・依存の大半は、一般精神科通院治療において発生しており、精神科医の処方や指導に課題が多いことが明らかとなった。また薬剤師から処方医への情報提供・疑義照会を行いやすくする調剤環境の必要性が明らかとなった。3)病的ギャンブリングの病型は3つに分類されることが明らかとなり、それぞれに共通した回復過程が見出された。4)精神保健福祉センターの薬物依存症への対応は自治体により差が大きかった。全国の水準を標準化する必要性が確認され、対応ガイドラインの草案作成にあたり、支援に多様性が求められることを確認した。
結論
1)重複障害への対応を標準化する必要性が明らかとなり、調査対象数を増やし、対応マニュアルを完成させる。2)向精神薬乱用・依存患者の臨床的特徴、その背景にある精神科治療の特徴が明らかにされる。これらの知見に基づき、向精神薬乱用・依存の予防及び処遇のためのガイドライン案が作成され、向精神薬乱用・依存予防に貢献することが期待される。3)病的ギャンブリングの病型と回復モデルが明らかとなる。さらに非専門医が実施できる対応マニュアルと全国の治療・支援施設のリストを作成する。4)行政機関における薬物依存症への対応の実態、ならびに先進事例を調査することにより行政機関の役割が明らかにされる。行政機関の依存症への対応マニュアルが作成される。
公開日・更新日
公開日
2012-08-10
更新日
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