自殺の原因分析に基づく効果的な自殺防止対策の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201122071A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺の原因分析に基づく効果的な自殺防止対策の確立に関する研究
課題番号
H22-精神・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
加我 牧子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島  正(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 松本 俊彦(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
  • 福永 龍繁(東京都監察医務院)
  • 高橋 祥友(防衛医科大学校防衛医学研究センター)
  • 齊藤 卓弥(日本医科大学精神医学教室)
  • 粟田 主一(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 稲垣 正俊(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
20,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
心理学的剖検データベースの構築とその分析を行うとともに、障害者、児童・生徒、自殺未遂者、困窮者、自殺手段等の観点から自殺の実態分析を行い、効果的な自殺予防対策を提示する。
研究方法
①広汎性発達障害児をもつ母親の抑うつ症状と関連要因を評定した。②精神科医療機関で経験されている自殺、自殺予防に役立つ取組、心理学的剖検への協力可能性を調査した。③心理学的剖検による調査を行うとともに、中高年男性うつ病患者の自殺の危険因子を検討した。④検案事例をもとにアルコール・薬毒物の自殺への影響、精神科受診歴、自殺の動機や背景の分析を行った。⑤児童・生徒を対象とした自殺予防教育について、世界各国の実情を調査した。⑥救命救急における若年者の自殺・自傷による受診実態を分析した。⑦生活困窮者の精神保健福祉ニーズと自殺関連行動および精神的健康度の分布・関連要因を分析した。⑧人口動態調査結果をもとに、個人レベル、二次医療圏地域レベルでの自殺の関連要因を分析した。
結果と考察
①子どもの反抗挑戦性障害の症状スコアの高さ、相談できる友人がいること、母親自身の父親からのポジティブな養育体験が母親の自殺念慮に関連していた。②精神科医療現場の推定自殺発生率(患者10万人対)は通院100.5、入院154.5であった。③休職や自立支援医療の利用など、うつ病の治療に専念できる環境づくりが自殺予防のために重要な役割を果たすものと考えられた。④自殺既遂の背景にある薬毒物・アルコール摂取の問題を指摘した。⑤生徒を直接対象とした自殺予防教育を全国的に実施している国はなかった。⑥自殺に寄与する要因に性別、年齢の間で違いが認められた。⑦「精神的健康状態の不良」「住まいの欠如」「相談によるサポートの不足」が生活困窮者の自殺関連行動の重大な関連要因であった。⑧男性では、各地域の離別者割合および完全失業率の高さは一貫して人口密度の影響とは独立に自殺死亡率と有意な関連がみられた。
結論
心理学的剖検データベースの構築とその分析を行うとともに、障害者、児童・生徒、自殺未遂者、困窮者、自殺手段等の観点から自殺の実態分析を行った。

公開日・更新日

公開日
2012-08-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201122071Z