急性心筋梗塞に対する病院前救護や遠隔医療等を含めた超急性期診療体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201120047A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞に対する病院前救護や遠隔医療等を含めた超急性期診療体制の構築に関する研究
課題番号
H22-心筋・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
野々木 宏(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
研究分担者(所属機関)
  • 花田 裕之(弘前大学大学院 医学研究科)
  • 長谷 守(札幌医科大学 医学部医学科)
  • 坂本 哲也(帝京大学医学部)
  • 笠岡 俊志(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 菊地 研(獨協医科大学)
  • 長尾 建(日本大学医学部)
  • 佐瀬 一洋(順天堂大学大学院 医学研究科)
  • 木村 一雄(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター)
  • 横山 広行(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門)
  • 住吉 徹哉(榊原記念病院)
  • 藤本 和輝(国立病院機構熊本医療センター)
  • 米本 直裕(国立精神・神経医療研究センター)
  • 小川 久雄(熊本大学大学院 循環器病態学)
  • 白井 伸一(小倉記念病院)
  • 安田 聡(東北大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,279,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治療開始までの時間の短縮をはかるためモバイルテレメディシンを導入し、適切な搬送システムやオンラインメディカルコントロールシステムを構築し、地域全体を1つの仮想病院としてネットワーク化をはかること、また、急性心筋梗塞発症時に市民が適切な判断が可能となる教育システムや啓発方法を開発し、受診までの遅れを防止する。更には、低体温療法、再灌流療法、補助循環療法の確立を行い、院内心停止への実態と対策の検討も合わせて行う。その結果、根拠に基づく医療として日本人の特性に応じた救命率向上対策としての診療体制の確立を目指すものである。
研究方法
急性心筋梗塞症に対するモバイルテレメディシンによる搬送時間短縮と再灌流療法までの時間短縮効果の検討、市民啓発のため、動画によるツールを開発し、ホームページや通信端末を用いた啓発方法の検討、心原性心停止心拍再開後の脳低体温療法多施設共同登録試験の解析、クラスターランダム化による適正な低体温療法適用時間の検討目的で方法の確立、院内心停止例の多施設共同登録試験の解析を行った。
結果と考察
12誘導心電図の事前伝送による時間短縮効果を検証し、使用しない場合に比べ再灌流療法までの時間が約20-40分短縮し、その普及が望まれる。心筋梗塞発症登録から高齢者や重症例の予後が不良で有り、発症予防対策や重症化する前に早期搬送するなどの対策が必要である。心原性心停止心拍再開後の脳低体温療法多施設共同登録試験解析から、VF,PEA,Asystole例の良好な神経学的転帰改善率は、各々63.8%,32.0%,17.6%と高率であった。心停止から心肺再開までの時間が30分以内の症例において、低体温療法による生命予後、高次脳機能保護効果を認めた。その経験をもとに無作為比較試験の確立を行った。院内心停止例への多施設共同登録試験解析により、基礎疾患や心停止原因、週末夜間での救命率が低いこと、モニターの有効性、心不全例での一般病棟での発生が高いこと、小児と成人の差異、第一救助者のCPRトレーニングによる救命率の効果を検証した。院内急変防止システム確立のための基礎データの提供を行い得た。
結論
以上の検討から、急性心筋梗塞に対するプレホスピタルから急性期医療までの診療体制の構築が可能となり、診療の均てん化について向上が期待される。 

公開日・更新日

公開日
2012-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201120047Z