文献情報
文献番号
201120035A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国における飲酒の実態把握およびアルコールに関連する生活習慣病とその対策に関する総合的研究
課題番号
H22-循環器等(生習)・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 進(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター)
研究分担者(所属機関)
- 尾崎 米厚(鳥取大学医学部)
- 松本 博志(札幌医科大学医学研究科)
- 齋藤 利和(札幌医科大学医学部)
- 杠 岳文(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
- 上島 弘嗣(滋賀医科大学生活習慣病予防センター)
- 宇都 浩文(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- 橋本 悦子(東京女子医科大学医学部)
- 下瀬川 徹(東北大学医学系研究科)
- 堤 幹宏(金沢医科大学医学部)
- 竹井 謙之(三重大学大学院医学系研究科 )
- 堀江 義則(国際医療福祉大学臨床医学研究センター山王病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,060,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
健康日本21におけるアルコール対策やWHOの決議要請を踏まえ、アルコールの有害使用による健康・社会への負の影響を低減するための計画策定と、基礎資料作成のための調査研究を目的とした。
研究方法
①若年成人に対する飲酒実態・意識調査は、飲酒に関するinternet調査をした。②けがと飲酒に関する国際共同研究は、救急外傷患者の飲酒者の調査をした。③アルコールの有害な使用に関する実態調査に関する研究は、うつ病患者の飲酒による予後を検討した。④医療現場で行う効率的な飲酒量低減技法の開発は、飲酒問題に効率的介入できるプログラムを開発し問題飲酒者に介入した。⑤アルコールによる社会的損失の推計は、2008年度データを用いて推計をした。⑥飲酒習慣と生活習慣病の関連についての疫学的検討とその対策に関する研究は、中年男性のビール腹と飲酒量・酒種を検討した。⑦人間ドック受診者における飲酒習慣と生活習慣病との関連調査は、人間ドッグを受診した男性を調査した。⑧アルコール性脂肪性肝障害のMetSにおける役割に関する検討は、問題飲酒者の断酒後の変化を検討した。⑨アルコール性膵障害の実態調査は、入院膵炎患者に関するアンケートを行った。⑩アルコール性肝障害における生活習慣病・性差の関与は、アルコール性肝障害と積算飲酒量・酒種と生活習慣病を調査検討。⑪MetSに及ぼすアルコールの影響は、肝生検で脂肪肝と診断された症例に関する調査した。⑫アルコール性肝炎の実態と免疫学的アプローチによる治療効果に関する研究は、入院した重症型アルコール性肝炎患者の調査を行った。
結果と考察
①20歳代男女は上の世代より危険な飲酒等が疑われる群の比率は小さいが、飲酒に関する知識は不足していた。③うつ病患者が過剰飲酒や依存により予後が悪化する。⑤アルコールの不適切な使用による社会的損失は4兆1483億円と推計。⑥中年期男性の“ビール腹”はビールが関連しなかった。⑦飲酒量の増加に伴いsd-LDL-Cに有意差はなかった。⑧問題飲酒者は断酒後多くのMetS関連因子が有意に改善した。⑨多量飲酒により膵炎再発のハザード比は6.2であった。⑩ALDの肝硬変の有無は、積算飲酒量・DM・DL・肥満が有意因子であった。⑪アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝では生活習慣病との関連性に差異が認められた。⑫アルコール性肝炎の重症度をスコア化し治療指針を作成した。
結論
①特にうつ病と飲酒に関してより一層の啓発が必要である。⑧多量飲酒者において,飲酒は多くのMetS関連因子に負に作用していることが示唆される。⑨多量飲酒は膵炎の再発リスクを高める。
公開日・更新日
公開日
2015-10-13
更新日
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