虚血性心疾患の疾病管理プログラムとしての外来型心臓リハビリテーションの効果と普及方策に関する研究

文献情報

文献番号

201120029A

報告書区分

総括

研究課題名

虚血性心疾患の疾病管理プログラムとしての外来型心臓リハビリテーションの効果と普及方策に関する研究

課題番号

H22-循環器等（生習）・一般-007

研究年度

平成23(2011)年度

研究代表者(所属機関)

後藤　葉一(独立行政法人国立循環器病研究センター　循環器病リハビリテーション部)

研究分担者(所属機関)

百村伸一(自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学第1)
野原隆司((公財)田附興風会医学研究所北野病院心臓センター)
代田浩之(順天堂大学循環器内科)
増田　卓(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科)
上月正博(東北大学医学系研究科機能医科学講座内部障害学分野・東北大学病院リハビリテーション部)
牧田　茂(埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科)
上嶋健治(京都大学大学院医学研究科EBM研究センター)
折口秀樹(九州厚生年金病院内科)
安達　仁(群馬県立心臓血管センター循環器内科)
長山雅俊((公財)日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科)
大宮一人(聖マリアンナ医科大学循環器内科)
三河内弘(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター)
木村　穣(関西医科大学健康科学・循環器内科)
安　隆則(琉球大学大学院医学研究科循環器・腎臓・神経内科学・循環器内科)
鶴川俊洋(独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター・リハビリテーション医学)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究

研究開始年度

平成22(2010)年度

研究終了予定年度

平成24(2012)年度

研究費

10,820,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

近年欧米では再入院リスクの高い虚血性心疾患(CAD)・高齢慢性心不全(CHF)に対する疾病管理プログラムが注目されている。本研究はCAD・CHF患者に対する多職種介入である外来型心臓リハビリテーション(リハ)の効果を多施設で検証するとともに、わが国において外来型心臓リハがCAD・CHF患者に対する疾病管理プログラムとして普及するための方策を明らかにすることを目的とする。

研究方法

第2年度である平成23年度は、1)CADに対する外来型心臓リハの有効性に関する多施設前向き登録研究(J-REHAB)、2)冠動脈インターベンション(PCI)後外来心臓リハの効果に関する前向き無作為割り付け試験(J-REHAB PCI)、3)植え込み型除細動器(ICD)または両室ペーシング機能付き植え込み型除細動器(CRT-D)装着後心不全患者を対象とする後ろ向き調査(J-REHAB ICD/CRT-D)、4) 高度左室機能低下心不全に対する心臓リハの効果に関する研究を実施した。

結果と考察

1)外来型心臓リハの有効性に関する多施設前向き登録研究(J-REHAB)
症例登録を進めた結果、平成24年3月までに当初目標を超える1049例の症例が登録された。今後1年間の予後追跡をおこなう。
2)PCI後外来心臓リハの効果に関する前向き無作為割り付け試験(J-REHAB PCI)
本年度は症例組み込みを開始し、2012年3月現在の登録数は15例(外来心臓リハ施行群6例、非施行群9例)である。引き続き症例組み込みを継続する。
3) ICD/CRT-D後の外来心臓リハの効果に関する後ろ向き調査(J-REHAB ICD/CRT-D後ろ向き)
これまでに89例のデータが集積され、ICD/CRT-D症例における運動負荷試験および心臓リハの安全性が示された。今後有効性について解析を継続する。
4) 高度左室機能低下心不全に対する心臓リハの効果に関する研究：左室機能と運動耐容能が高度に低下した重症心不全に対する心臓リハの効果を検討し、運動耐容能増加とBNP下降が示された。

結論

本年度はJ-REHAB前向き症例登録およびJ-REHAB ICD/CRT-D後ろ向き調査を進め、J-REHAB PCI無作為割り付け試験の症例組み込みを開始し、重症心不全に対する外来心臓リハの有効性に関する研究を実施した。本研究は外来型心臓リハという既存の多職種介入プログラムをCAD・CHF患者の退院後の疾病管理プログラムとして活用し、その有効性を検証するという点で独創的であり、その成果の社会的インパクトは多大であると期待される。