印刷教材と携帯電話フィードバックシステムを用いた食生活の改善及び運動指導プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
201120021A
報告書区分
総括
研究課題名
印刷教材と携帯電話フィードバックシステムを用いた食生活の改善及び運動指導プログラムの開発に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・若手-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山津 幸司(国立大学法人 佐賀大学 文化教育学部 健康スポーツ科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 熊谷 秋三(九州大学 健康科学センター)
  • 佐藤 武(佐賀大学 保健管理センター)
  • 小西 史子(女子栄養大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の糖尿病やメタボリックシンドローム保有者の増加が深刻な国家的課題となっている。地域・職域における糖尿病やMS保有者の増加速度は顕著であり、予防の観点から健康支援の対象を予備軍や生活習慣不良者にまで拡大すると、従来型の対面指導中心の保健指導では対応しきれないのは目に見えている。また、情報通信技術の顕著な進歩が目覚しい。本研究では、この先進技術を糖尿病やMSの予防に活用するための方法論の確立を目指す。
研究方法
その具体的な取り組みとして、1)昨年度までに開発したCPAスマートライフスタイル(印刷教材とモバイル型健康支援システム)の評価に関する研究、2)CPAスマートライフスタイルの中高年利用者におけるモバイル型健康支援システムの選択に関する実態調査、3)職域におけるIT環境を用いた非対面健康支援システムを用いた介入の評価、を行った。
結果と考察
まず、女子大学生に対する本教材を用いた12週間の介入研究では、介入群の体重、体脂肪率などの体組成が対照群より有意に改善し、その減量効果は介入群で対照群より有意に改善した高強度身体活動の影響であることが明らかとなった。また、男子大学生89名に対する無作為割付介入試験では、介入効果は認められなかった。
次に、モバイル型健康支援システムの実態調査では、佐賀市近郊在住の中高年者のうち、本システムの利用を選択した者は約4割であり、女性の利用が極端に少ないという実態が明らかとなった。
最後に、職域の中高年者46名に対し本教材を用いた3ヵ月間の介入研究を行った結果、ウエスト周囲長とHbA1cの有意な減少、HDLコレステロールの有意な増加が認められ、IT利用頻度が高い者ではウエスト周囲長の減少幅が大きく、体脂肪率の増加が有意に低くかった。
結論
以上の結果から、CPAスマートライフスタイルは健康への意欲の高い者に対しては介入効果が認められ、職域でもIT環境を活用することにより有効な介入法になりうることが明らかとなった。今後、ICTに不慣れた中高年世代にも使いやすいプログラムの改良が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201120021B
報告書区分
総合
研究課題名
印刷教材と携帯電話フィードバックシステムを用いた食生活の改善及び運動指導プログラムの開発に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・若手-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山津 幸司(国立大学法人 佐賀大学 文化教育学部 健康スポーツ科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 熊谷 秋三(九州大学 健康科学センター)
  • 佐藤 武(佐賀大学 保健管理センター)
  • 小西 史子(女子栄養大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の2型糖尿病やメタボリックシンドローム保有者の増加が深刻な国家的課題となっている。地域・職域における2型糖尿病やMS保有者の増加速度は顕著であり、予防の観点から健康支援の対象を予備軍や生活習慣不良者にまで拡大すると、従来型の対面指導中心の保健指導では対応しきれないのは目に見えている。また、情報通信技術(ICT)の顕著な進歩が目覚しい。本研究では、この先進技術を2型糖尿病やMSの予防に活用するための方法論の確立を目指し、平成21年度から平成23年度までの3年間で以下のような研究を進めてきた。
研究方法
初年度の平成21年度に、印刷教材と携帯電話を用いた個別フィードバックシステム(モバイル型健康支援システム)からなる行動変容プログラム『CPAスマートライフスタイル』を完成させ、2年目以降に以下のような介入研究と実態調査を行った。ちなみに『CPA〔シーピーエー〕(チェックCheck→プランPlan→アクションActionの頭文字をとった)とは行動療法の治療構造の考え方『問題行動の特定→行動アセスメント→技法の適用→効果の維持』を表現した我々の造語である。
結果と考察
本教材を用いた介入研究と実態調査の結果、印刷教材単体でも体重減少や歩数の増加が期待できるが、モバイル型健康支援システムを用いることで、効率的に行動変容が促せる可能性が高いこと、モバイル型健康支援システムは、大学生などの若年者または若年成人では容易に操作可能であるが、中高年女性では利用されにくい実態も明らかとなった。
次に、職域におけるIT環境を用いた3ヵ月の非対面健康支援プログラムの開発と介入の評価を行った結果、1)参加者は47名のプログラム終了率は95.7%と比較的良好であり、2)解析対象となった45名のうち30歳代が4割と最も多く、IT環境の利用は働き盛りで取込むのがことが難しいといわれている若年層の抵抗を下げることが期待でき、3)介入後には長期血糖指標であるHbA1cの有意な低下とHDLコレステロール値の有意な上昇が認められ、4)介入効果はIT環境の利用日数が多いほどウエスト周囲長の減少幅が増し、体脂肪率の増加を抑制しており、IT利用日数はプログラムのコンプライアンスの指標となりうることが示された。
結論
以上の結果から、本研究事業で開発したCPAスマートライフスタイルを用いた介入は健康への意欲の高い者に対しては有効であり、職域でもIT環境を活用することにより有効な介入法になりうることが明らかとなった。今後、ICTに不慣れた中高年世代にも使いやすいプログラムの更なる改良が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201120021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究終了時に印刷教材と携帯電話インターネット機能を組合わせた生活習慣介入法を構築し、その成果を九州体育・スポーツ学会第61回大会第2・4合同専門分科会シンポジウム(H24年9月)、第4回九州大学リサーチコア公開講演会(H25年1月)、第6回九州大学リサーチコア公開講演会(H27年2月)で講演した。また、本研究成果にて第7回佐賀ビジネスプランコンテスト銀賞、2014年度日本健康心理学会研究・実践活動奨励賞を受賞した。佐賀県ベンチャー交流ネットワーク第二回例会(H27年7月)で研究成果を発表した。
臨床的観点からの成果
本研究で開発したモバイル型健康支援システムを適切に用いれば、印刷教材による介入効果はそのままで指導者と参加者双方の利便性を高める教育ツールになりうることが明らかとなった。また、本研究は、平成25年度より九州大学と正興ITソリューション㈱との共同研究に発展し、介入のほぼ全過程をICTを通じて提供するプログラムを開発中である。さらに、久留米大学病院内分泌代謝内科との共同研究に発展している。
ガイドライン等の開発
平成22年8月3日に福岡県が企画した「健康・育児・シルバーライフ産学連携による新生活産業創出に関するシーズ発表会」にて本研究の成果が発表された。
その他行政的観点からの成果
佐賀県白石町における平成22年度特定健診結果説明会にて、本教材を用いた事後指導が実施された。また、佐賀県みやき町より依頼を受け、平成23年8月30日に本研究成果に基づく講演会を行った。さらに、平成22年7月に健康保険組合連合会佐賀県支部が開発中の健康教育教材に対し本研究開発のノウハウに基づく助言が求められた。平成23年6月より、佐賀県みやき町とNPO法人佐賀県CSO推進機構との共同研究として、本研究手法を高齢者の介護予防に応用した事業展開に発展している。
その他のインパクト
本研究に関する記事が佐賀新聞に4回(H22年7月22日、H23年11月1日、H23年11月6日、H24年3月27日)、タウン情報佐賀4月号に1回(H22年3月発行)、佐賀大学広報誌に1回(第23号・H22年12月発行)掲載された。また、平成23年11月3日に一般向け研究成果発表会「健康行動学によるメタボレスライフの構築:CPAスマートライフスタイルの研究成果とメタボ予防の秘訣」を開催した。さらに、平成22年5月15日に医療法人信愛整形外科医院の依頼を受け、本研究の成果を活用した講演を担当した。

発表件数

原著論文(和文)
22件
原著論文(英文等)
27件
その他論文(和文)
48件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
52件
学会発表(国際学会等)
20件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山津幸司
印刷教材とモバイル型健康支援システムを用いた行動変容及び減量効果の検証 :女子大学生に対する行動変容プログラム「CPAスマートライフスタイル」による介入
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 , 2 (1) , 1-18  (2014)
原著論文2
山津幸司、熊谷秋三
Information Communication Technologyを活用した身体活動介入プログラムに関する研究レビュー
健康科学 , 32 (1) , 31-38  (2010)
原著論文3


公開日・更新日

公開日
2015-10-08
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201120021Z