働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究:患者/家族・人事労務担当者・産業保健担当者の3者の視点を生かした支援リソースの開発、評価、普及啓発法の検討

文献情報

文献番号
201119031A
報告書区分
総括
研究課題名
働くがん患者と家族に向けた包括的就業支援システムの構築に関する研究:患者/家族・人事労務担当者・産業保健担当者の3者の視点を生かした支援リソースの開発、評価、普及啓発法の検討
課題番号
H22-がん臨床・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 都(獨協医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 武藤孝司(獨協医科大学 医学部・公衆衛生学 )
  • 森 晃爾(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 和田耕治(北里大学 医学部・公衆衛生学)
  • 甲斐一郎(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 多賀谷信美(獨協医科大学 越谷病院・第一外科学)
  • 丸 光惠(東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
  • 春名由一郎(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター)
  • 錦戸典子(東海大学 健康科学部・産業看護学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,246,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本プロジェクトの目的は、1. わが国のがん患者の就業実態と情報ニーズの把握、2.産業保健スタッフ、会社関係者、治療スタッフの支援実態の把握、3.各関係者に向けた支援教材の開発・評価の3点である。
研究方法
平成23年度は、前年度に引き続いて実態調査(質問紙調査、フォーカスグループ・インタビュー、個別インタビュー、インターネット調査)を行い、現状の課題を分析した。また、オープン参加の勉強会を4回開催するとともに、平成23年度成果報告会シンポジウムも実施した。
結果と考察
① 産業医調査:日本産業衛生学会指導医・専門医対象の質問紙調査を実施(回収188名、回収率44.2%)。9割近くが産業医と人事労務および臨床医の連携が重要と指摘し、8割以上が復職支援ツールに治療副作用や治療日程の記載が必要と回答した。
② がん専門医調査:日本がん治療認定医機構認定医対象の質問紙調査を実施(有効回答率45%)。前年実施の日本臨床腫瘍学会専門医・指導医調査データと併せて分析。問診票に就労関連欄があるのは60%、治療日程を患者の仕事に配慮して調整する回答者は、化学療法で42%、放射線療法で28%。本調査の結果とがん専門医インタビューに基づき、「<医師向け>がん患者さんの就労支援に役立つ5つのポイント」を公開した。
③ 看護管理者・看護師調査:小児がん治療を行う63施設の看護管理者および看護師136名から回答あり。就労に関する情報提供を行っている施設は3割以下。
④ 産業看護職調査:産業看護職が実践する就労支援についてフォーカスグループ・インタビューを実施するとともに、日本産業衛生学会の登録産業看護師対象の質問紙調査を実施(有効回答率24.4%)。支援上の困難点として、外部医療機関や家族との連携が指摘された。
⑤ 乳がん患者と配偶者調査:患者本人203名(回収率71.7%)、配偶者137名(回収率60.9%)、135組の夫婦から返信あり。心身健康度(SF8)、抑うつ度(CES-D)、病気による内的成長尺度( PTGS)、夫婦関係満足度は夫婦間相関を認めた。
⑥ がん患者と家族のインターネット調査: 350名から返信あり。分析対象者の25.4%が診断時の職場を退職。49.4%は個人所得が減少していた。
結論
平成23年度は実態調査を継続するとともに関係者のネットワーク形成も行い、当初の年度目標をほぼ達成した。平成24年度は実態調査に基づき、各関係者に向けた支援ツールの開発と評価を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201119031Z