肺がんの浸潤・転移を抑制可能な分子標的の同定に基づく革新的テーラーメイド治療法の開発

文献情報

文献番号
201118045A
報告書区分
総括
研究課題名
肺がんの浸潤・転移を抑制可能な分子標的の同定に基づく革新的テーラーメイド治療法の開発
課題番号
H22-3次がん・一般-030
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 隆(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長田 啓隆(愛知県がんセンター 研究所)
  • 柳澤 聖(名古屋大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
15,671,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、我々が同定した転移関連分子CLCP1及びCIMを中心とする、がんの浸潤と転移の分子機構の解明と、その革新的なテーラーメイド分子診断・治療法開発への応用にある。
研究方法
 CLCP1については、細胞膜貫通分子であるCLCP1と他の細胞膜に存在する分子との相互作用に注目した検討を加える。また、CIMに関しては、転移抑制につながる創薬開発の標的分子としての研究基盤を確立すべく、CIM結合分子の網羅的な探索・同定を進める。
結果と考察
 CLCP1が、肺がんの病態に重要な寄与をする受容体型チロシンキナーゼ(RTK)であるEGFR及びMETとの間に相互作用を示すこと、また、CLCP1とEGFR或いはMETとの間にクロストークが存在することを示唆する知見を得た。また、CLCP1の過剰発現により変動する遺伝子発現プロファイルという実験的データと、当研究グループが持つ肺がん臨床検体の遺伝子発現プロファイルデータとの統合的なバイオインフォマティク解析によって、CLCP1の発現が、とくにがんの増殖・進展との関わりが知られているパスウェイに影響を与えることが示唆された。
一方、CIMに関しては、LNM35株より抽出した蛋白試料中に存在するCIM結合分子の探索を、バキュロウィルスに発現させたCIMを精製して作成したカラムと、タンデムナノ液体クロマトグラフィー及びタンデム質量分析器を用いた、網羅的な蛋白発現解析によって進めた結果、アクチン重合や細胞骨格の構成に関わる複数の蛋白を、CIM結合分子として同定することに成功した。
結論
 CLCP1及びCIMについて、その機能解明と応用研究の展開を進めるうえで重要な基盤情報を得ることができた。来年度は、CLCP1とEGFR或いはMETとの複合体形成が持つ、増殖、浸潤・転移に関わるシグナリングにおける役割や、本年度に同定したCIM結合分子とCIMとの相互作用が果たす、がん細胞の運動・浸潤における機能的役割について、詳細な検討を進める予定とする。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118045Z