発がんリスクの低減に資する効果的な禁煙推進のための環境整備と支援方策の開発ならびに普及のための制度化に関する研究

文献情報

文献番号
201118031A
報告書区分
総括
研究課題名
発がんリスクの低減に資する効果的な禁煙推進のための環境整備と支援方策の開発ならびに普及のための制度化に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中村 正和(大阪府立健康科学センター 健康生活推進部)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 富雄(大阪府立成人病センターがん予防情報センター)
  • 田中 英夫(愛知県がんセンター研究所疫学・予防部)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院研究情報支援研究センター)
  • 片野田 耕太(国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部)
  • 望月 友美子(国立がん研究センターがん対策情報センターたばこ政策研究部)
  • 大和 浩(産業医科大学産業生態科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
17,238,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、たばこによる発がんリスクの大幅な低減を目指して、禁煙治療・支援の推進と喫煙者に禁煙を動機づける環境整備の両視点から、禁煙者を増加させるための効果的な方法論の開発と普及のための制度化等の検討を行い、その研究成果を政策化につなげることである。
研究方法
上記の両視点から、禁煙の推進を図るための方法論や普及方策の検討、政策提言にあたり、エビデンスを構築するための研究を実施した。
結果と考察
禁煙治療・支援の推進に関する研究として、入院患者等への禁煙治療の保険適用拡大の検討と政策提言、肺がん検診や職域の健診の場で短時間禁煙介入研究を実施した。クイットラインの整備にむけた基礎的検討として、企業内でパイロット試験を実施した。2013年度にむけた特定健診・特定保健指導の見直しに合わせて、学会と協働して喫煙の保健指導の強化を求める政策提言を行った。その結果、健診当日から強化する方向性が示された。効率的な指導者養成を目指して、禁煙支援のための指導者向け自己学習用教材を作成した。
禁煙を動機づける環境整備の研究として、2010年のたばこ増税(価格にして約110円の値上げ)に伴う影響を検討した結果、増税前に比べて販売数量は減少したが、販売代金ならびに税収は増加した。たばこ消費の価格弾力性は、2003年、2006年の小幅な値上げと比較して大差はなかった。国内たばこ産業(たばこ会社、販売店、耕作者)の経済に対する負の影響はなく、増税先送りの根拠にはならないことがわかった。一方、たばこの値上げ前後で年間禁煙試行率は1.3倍、年間禁煙率は1.7倍、それぞれ有意に上昇した。全国展開のファミリーレストランにおいて、店舗を禁煙化しても営業収入は低下しなかったことを明らかにした。禁煙による健康状態や医療費への影響を示すシミュレーションソフトのWeb版を開発するとともに、禁煙政策が禁煙企図率に及ぼす影響についてコンジョイント分析を実施した。がん対策推進基本計画の見直しならびに次期国民健康づくり運動プランの立案に寄与するために、喫煙率減少による死亡減少効果、喫煙起因有病数、および健診等の場での禁煙短期介入普及による喫煙率減少効果の推計を行った。
結論
今後、がん対策推進基本計画の見直しならびに次期国民健康づくり運動プランに基づいてたばこ規制・対策が推進される中で、実効性のある政策提言ができるよう研究を実施する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118031Z