認知症早期発見のためのツール開発と認知機能低下抑制介入に関する研究

文献情報

文献番号
201116011A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症早期発見のためのツール開発と認知機能低下抑制介入に関する研究
課題番号
H22-認知症・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 龍太郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) 東京都健康長寿医療セ)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 晴保(群馬大学医学部保健学科)
  • 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科)
  • 粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 石井 賢二(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
  • 児玉 寛子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,745,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、自治体で実施可能な認知機能の低下を初期段階で効率的に捉える方法を開発することと、認知機能低下の可能性のある高齢者集団にプログラムを提供しその効果を原則的にRCTデザインによって検証し、今後の認知機能低下予防事業に役立てることである。
研究方法
高橋は板橋区在住の高齢者118名を介入群59名、対照群59名に割り付け、週1回120分のウォーキングプログラムを全20回実施した。山口は前橋市在住の高齢者52名を対象とし、介入群26名と対照群26名に割り付け、複合プログラムを週1回120分、計12回実施した。辻は震災の被災地の高齢者130名に週1回120分、計12回及び13回の運動教室を実施した。藤原は都内在住の高齢者48名を介入群29名、対照群29名に割り付け、週1回120分、全12回の絵本読み聞かせ法プログラムを実施した。粟田は認知機能に関わる日常生活上の行動に関する項目からなる主観的IADLチェックリストを開発し、計419名を対象に自記式の質問紙調査を行い、項目反応分析を用いてその妥当性を検討した。
結果と考察
複合プログラムでは思考力、絵本読み聞かせ法プログラムでは論理的記憶において有意な介入効果がみられた。軽度認知機能低下群については、ウォーキングプログラムで言語機能の面に、絵本読み聞かせ法プログラムで論理的記憶と注意の面で有意な介入効果がみられた。被災地での運動教室では参加有無と心理的苦痛や不眠の指標等に改善傾向がみられた。チェックリストについては、困難度等の値から、MCIから健常高齢者を対象とするのに概ね妥当な内容であることがわかった。
結論
チェックリストによって、従来法より効率的に認知機能低下者を抽出する方法を試行し、有用性が示された。また3種類の認知機能低下抑制プログラムの効果をRCTデザインで検証した。その結果、参加者全体での効果は一部に限られ、客観的な評価で認知機能低下がみられる高齢者において一定の介入効果を示した。また、各プログラムの適応可能な対象者像は、虚弱高齢者から自立高齢者まで区分でき、対象者像の違いを考慮してプログラムを選択することによって実用性が高まると考えられた。実際には、認知機能低下者のみを抽出することは容易でなく、健常高齢者を含む集団において実施することになると思われる。被災地における運動プログラムによって精神的健康の向上が得られることも確認された。

公開日・更新日

公開日
2012-08-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201116011Z