自律神経指標と末梢循環の計測による統合医療の科学的評価方法の確立

文献情報

文献番号
201114032A
報告書区分
総括
研究課題名
自律神経指標と末梢循環の計測による統合医療の科学的評価方法の確立
課題番号
H22-臨研推・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
関 隆志(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山家 智之(東北大学 加齢医学研究所)
  • 吉澤 誠(東北大学 サイバーサイエンスセンター)
  • 早瀬 敏幸(東北大学 流体工学研究所)
  • 仁田 新一(東北大学 加齢医学研究所)
  • 金野 敏(東北大学 医工学研究所)
  • 高山 真(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,470,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 当研究班では、統合医療の定量的な評価指標の開発および評価を行ってきている。評価指標の開発は統合医療の安全性の担保や危険からの回避のみならず、人体の生理学的・病理学的な新たな知見の発見、疾病の新たな予防方法と治療方法の開発をもたらすものである。定量的評価指標となりうるコア技術の開発と健常人及び疾患患者への応用評価を当研究の目的としている。
研究方法
超音波診断装置を用いたドップラー法による臓器・組織の血行動態の評価手法、超音波診断装置の利用を正確・簡便にすることができる超音波診断装置データキャプチャ技術、心電図や血行動態データのスペクトル解析とそのためのソフトウエア開発、コンピュータシミュレーションを用いて超音波計測データより血管形状を再構築する技術の開発、血圧反射機能を推定する技術の開発、網羅的感覚機能評価による皮膚刺激による知覚情報の伝達機序の解明を行ってきている。
 同時に、健常人のみならず緑内障、重症筋無力症患者に統合医療(鍼治療、漢方薬)をおこなったときの評価をおこなう。
結果と考察
 超音波診断装置を用いた局所の血行動態指標とインピーダンス法による非侵襲的な心係数の測定手法を活用し、古来「経穴」と呼ばれ、それぞれに特徴的な効果があると言われてきたものに、実際に部位の特異性があることを立証してきた。すなわち経穴の場所が異なれば、血流量や血管抵抗が変化する組織や臓器が異なることを見いだした。
 その一方で、「肝」の経穴とされる「太衝」への刺激が、腎臓の血行動態を改善させるという、伝統医学理論とは異なる事象も観察された。これは、我々の評価手法を用いることにより、伝統医学などの統合医療を全く新しい観点で評価し、それを新たな治療方法や予防方法の開発に生かすことができる可能性を示唆するものである。
結論
 東日本大震災の被災地における統合医療のニーズは大きい。震災直後は、電気・ガス・水道などのライフラインのみならず、物流が途絶え、医療スタッフ・医薬品などが被災地には無い状態が続いた。そのとき、指圧・マッサージ、鍼治療、漢方薬治療がボランティアの手により行われ、このような危機的状況下で、被災者を支えたと報告されている。そのような状況にこそ、統合医療を客観的、定量的に評価できる指標を確立することが求められていると言えよう。
 引き続き、同テーマの研究開発が必要とされている。

公開日・更新日

公開日
2012-07-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201114032Z