実験動物を用いた周産期疾患の解析と繁殖技術の開発

文献情報

文献番号
201110024A
報告書区分
総括
研究課題名
実験動物を用いた周産期疾患の解析と繁殖技術の開発
課題番号
H22-創薬総合・指定-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
保富 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山海 直(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター )
  • 柴田 宏昭(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター )
  • 岡村 智崇(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター )
  • 松田 潤一郎(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 鈴木 治(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 内尾 こずえ(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 高橋 一朗(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 亀岡 洋祐(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
41,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では汎用性が高いマウスと人に非常に近い霊長類を用いて繁殖障害ならびに周産期疾患の解明を行った。また、周産期に使用可能なワクチンや垂直感染を示す感染症の解析やそれに関する遺伝学的な解析を行った。
研究方法
1)疾患モデルマウスの妊娠母体の病態解析と産仔の表現型への影響:疾患モデルマウスを用いて、不妊治療が産仔に与える影響、母体疾患が産仔表現型に及ぼす影響および妊娠・出産による母体における疾患病態進行について精査した。
2)不妊の機序解明と治療法の開発:Dehydroepiandrosterone(DHEA)の徐放性製剤の投与による卵子の体外受精能および体外発生能,血中ステロイド濃度,卵巣の各種ホルモン受容体発現量,および卵巣プロテオームへの影響について調べた。
3)霊長類を用いた感染症モデル:妊娠初期のカニクイザルに風疹ワクチンを接種し、母体および胎児への影響を検討した。
4)カニクイザルにおける垂直感染の解析:サルにおけるSRV/Dウイルスの垂直感染の実態を調べるために、分娩時SRV/D陽性母ザルから仔ザルへの垂直感染率を調査した。
結果と考察
1)疾患モデルマウスの妊娠母体の病態解析と産仔の表現型への影響:不妊治療や母体疾患が産仔表現型に多大な影響を与える可能性が明らかとなった。
2)不妊の機序解明と治療法の開発:マウス母体へのDHEA投与による卵子の体外受精能・胚発生能の向上は高用量では抑制的であることがわかった。
3))霊長類を用いた感染症モデル:妊娠カニクイザルは、風疹ワクチン研究の動物モデルとして利用できる可能性が示唆された。
4)カニクイザルにおける垂直感染の解析:.SRV/Dの垂直感染率は約1/3であり、必ずしも母から仔へ感染するものでは無かった。帝王切開で新生仔を娩出しても新生仔へのSRV/D感染を防ぐことは難しかった。
不妊等を含む周産期疾患に対する病態解明および新規治療薬・治療法は医科学研究において重要課題である。本研究では科学的な問題はもとより、倫理学的にも困難な問題が山積する周産期疾患を、実験動物として高度化を推進したマウスから霊長類までの広範囲な動物を用いて行った。これによりマウスから霊長類までの、ヒトにおける周産期研究のモデル動物の基盤体制が樹立することを目的としている。本研究で得られた結果は医科学の発展に非常に重要な位置づけ、結果をもたらすと考えられた
結論
マウスから霊長類の広い範囲の実験動物を用いて、遺伝子から個体までの研究により、周産期疾患研究の基礎的知見を得た。

公開日・更新日

公開日
2012-04-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110024Z