コンピュータシミュレーションによる化学物質の有害性予測の迅速化・高度化に関する研究

文献情報

文献番号
201035022A
報告書区分
総括
研究課題名
コンピュータシミュレーションによる化学物質の有害性予測の迅速化・高度化に関する研究
課題番号
H22-化学・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
栗原 正明(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 出水 庸介(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
12,468,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民生活の安全の観点から、化学物質の毒性に関する情報の取得が喫緊の課題である.しかし、動物を用いる安全性試験は莫大な時間と費用がかかるため、毒性が未知のすべての化学物質について動物試験により毒性を評価することは不可能である.そこで、構造活性相関、特にコンピュータを利用した定量的構造活性相関(QSAR)による毒性予測が化学物質管理の観点から非常に重要である.現在までいくつかの予測システムが存在するが,システム(予測法)の評価については統一的な検証はない.本研究では、現在ある予測法を評価するとともに,様々な手法により,より高度な新しい予測システムを開発する,
研究方法
QSARモデルの作成
NTP(National Toxicology Program)の発ガン性データから抽出したデータセット278化合物のCarcinogenicityのQSAR法の検討を行った.QSAR法は統合計算化学システムADMEWORKS/ModelBuilderを用いた。本年度は定性モデルを構築した.妥当なモデルを作成することができた.
化学物質の構造の精密化、高度化
既存化学物質データベースのすべてについて,分子力学計算(MMFF, OPLS2005力場等)を用いたコンフォメーション探索により最安定構造を計算した.ソフトウエアはMacromodelを用いた.
結果と考察
278化合物の発ガン性データセットの構築を行った.ADMEWORKS/ModelBuilderを用いて構造活性相関の定性モデルを構築した.記述子はソフトウエアが有する372個を使用した.
既存化学物質データベース(277化合物)全ての化合物の最安定構造(最安定コンフォマー)を計算した.これを,復帰突然変異試験データセットとして用いる.
ここで用いた方法論でも妥当な構造活性相関モデルが作成できることがわかった.今後,様々な方法論の検証に適応できる.既存の毒性データベースにおける化合物の構造は不備が多い.2次元構造においてすら,特に構造異性体に関しては不明なものが多い.この構造を使って構造活性相関を行っても良い結果は得られない.今後,構造をどのように扱うかは重要な問題になる.
結論
構造活性相関の方法論を検証・評価するためのデータセットを作成できた.そのデータセットを用いて構造活性相関の定性モデルを構築した.また,今後三次元構造を利用した構造活性相関を検討するために必要な,データセットの全ての化合物の精密なエネルギー的に安定な三次元構造を計算により求めた.

公開日・更新日

公開日
2011-06-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
201035022Z