材料/細胞・組織界面特性に着目した医用材料の新規評価方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201034053A
報告書区分
総括
研究課題名
材料/細胞・組織界面特性に着目した医用材料の新規評価方法の開発に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 厚子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
  • 配島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 中岡 竜介(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 伊佐間 和郎(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 加藤 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 迫田 秀行(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 植松 美幸(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 石川 格(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 石原 一彦(東京大学大学院 工学系研究科)
  • 田中 賢(山形大学大学院 理工学研究科)
  • 横井 英人(香川大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医用材料の生体適合性は、種々の溶出物や残留物質等の毒性、微生物汚染に由来する感染因子のほか、材料表面の物理化学的特性に大きく影響される。本研究では、材料/細胞・組織界面特性を支配する因子を指標として医用材料の生体適合性をin vitroで評価する簡易スクリーニング法の開発を目指す。また、行政研究として、医療機器の一般的名称分類に関する調査及び生物学的安全性試験の改訂を行うことを目的とする。
研究方法
 材料としてはチタン、自己組織化膜、超高分子量ポリエチレン、ポリマーブラシを用いた。界面で観察される事象としては、水和状態、イオン吸着、アパタイト形成、蛋白質吸着及び摩擦係数を、細胞で観察される事象としては、遺伝子発現及び蛋白質発現を対象とした。一般的名称分類については、イタリア及びオーストラリアの規制当局での利用方法を調査した。また、医療機器の生物学的安全性試験の改訂については、産官学から成る検討班を設立した。
結果と考察
 チタン上で培養したヒト間葉系幹細胞では、骨分化傾向を示す遺伝子発現の変化が観察された。アルカリ処理チタンでは、リン酸イオンの早期吸着に起因すると考えられる高いアパタイト形成能が観察され、同時に骨形成に関与すると考えられる蛋白質群の吸着と相関している傾向が認められた。生体適合性に関与することが示唆されている材料近傍の水分子の状態について検討した結果、新たに合成したアルコキシアルキル基を有するメタアクリレートは他の血液適合性高分子と同様に中間水を有することが確認された。また、双性イオン型ポリマーブラシは極めて優れた血液適合性表面となり得ることが判明した。その他、分子動力学的シミュレーションにより、材料近傍の水分子の状態をin silicoで解析できることが示唆された。
 GMDNの現状について海外の利用方法を調査した結果、各国の個別性に立脚した運用が抱える問題が認められた。また、平成15年3月19日付け事務連絡医療機器審査No. 36厚生労働省医薬局審査管理課「生物学的安全性試験の基本的考え方に関する参考資料」の改正原案を作成した。
結論
 材料表面の水和状態、アパタイト形成能及び蛋白質吸着挙動から医用材料の生体適合性を予測できることが示唆された。医療機器の一般的名称分類に関する調査は終了した。また、医療機器の生物学的安全性試験の改訂作業は継続して行う。

公開日・更新日

公開日
2011-05-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201034053Z