食品中の複数の化学物質による健康影響に関する調査研究

文献情報

文献番号
201033044A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の複数の化学物質による健康影響に関する調査研究
課題番号
H22-食品・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 西川秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
  • 原田孝則(財団法人残留農薬研究所)
  • 出川雅邦(静岡県立大学 薬学部)
  • 中澤裕之(星薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中には、食品添加物、残留農薬、種々の汚染物質など多様な化学物質が含まれており、ヒトはそれを長期間摂取する可能性が高い。従って、複数の化学物質による健康影響を解析することの必要性が指摘されている。本研究は、食品中化学物質の複合影響によるin vivo変異原性、神経毒性、代謝および反応生成物を多角的に解析し、実用的な安全性評価に資するデータの蓄積を目的とする。
研究方法
エストラゴール誘発in vivo変異原性に対するCYP誘導能を有する食品中化学物質の複合投与の影響をgpt deltaラットを用いて検討した。In vitroの系で複合影響が認められたカフェイン酸(CA)と亜硝酸ナトリウム(NaNO2)のin vivoでの酸化的ストレスを介した複合影響についてF344ラットを用いて検討した。類似の作用機序を持つ農薬群の単回複合経口投与による急性毒性影響、パラチオン及びメタミドホスの複合投与による児動物への影響を検討するための用量設定、パラチオン及びメトキシクロルの反復投与によるアレルギー性増強影響についてラットを用いて検討した。芳香族炭化水素受容体(AhR)レポーター細胞株であるHepG2-A10ならびにプレグナンX受容体(PXR)レポーター細胞株であるHepG2-PXRLucA3を用いて、種々の食品添加物とCYP誘導剤との複合影響ついて検討した。クロロゲン酸と亜硝酸との複合影響による酸化的ストレス産生能について、in vitroの系により検証した。
結果と考察
CYP誘導能を有する食品中化学物質の併用投与はエストラゴールの発がん性に促進効果を発揮する可能性が示された。in vivoにおけるCAとNaNO2の複合反応の進行が明らかになったが、ROS生成を介した複合影響は認められなかった。農薬複合投与による急性毒性への影響に関しては、農薬の組み合わせにより、相乗、拮抗効果が認められた。農薬複合投与の児動物への影響を検討する至適用量はパラチオン0.3~0.6、メタミドホス0.4~0.8 mg/kg/dayであった。食品添加物クルクミン、チアベンダゾール、没食子酸プロピルにはCYP1AやCYP3A酵素の発現誘導を変動させる作用があることが明らかになった。生体内でニトロ化反応を受け、新たに生成される化合物についてROS生成量は減少することが示唆された。
結論
食品中化学物質の複合影響は物質の組み合わせにより、相加、相乗、拮抗作用を示す場合があった。体系的評価法確立のためには、今後もデータの蓄積を要することが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201033044Z