文献情報
文献番号
201030038A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染状況・長期経過と予後調査及び治療導入対策に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-肝炎・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
- 小山 富子(岩手予防医学協会 医療技術部 )
- 日野 啓輔(川崎医科大学医学部 内科学 )
- 三浦 宜彦(埼玉県立大学 保健医療福祉学部 情報科学 )
- 阿部 弘一(岩手医科大学医学部 内科学講座 消化器・肝臓内 )
- 池田 健次(虎の門病院 消化器科 )
- 鳥村 拓司(久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門 )
- 酒井 明人(金沢大学附属病院 光学医療診察部 )
- 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
36,843,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1)肝炎ウイルス感染状況に関する疫学基盤研究、 2)感染後の長期経過と予後調査に関する研究、 3)治療導入対策に関する研究 の3つの研究の柱を掲げ、肝炎・肝がん対策推進のための科学的根拠となるデータを提示し、時代に即応した疫学的基礎資料を得ることを目的とした。
研究方法
基礎医学、臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て組織的に実施する
結果と考察
1.肝炎ウイルス感染状況に関する疫学基盤研究
1)社会に潜在している無症候性HCV、HBVキャリアの推計数を地域別年齢階級別に提示し、検査未受診と考えられるキャリアが相当数存在する
2)血液透析患者集団におけるHBV感染の新規発生率は、同HCVと比較して低い
3)治療歴のないHCV検診受診者を対象とすると、高感度HCV抗原検出系の導入によりNAT検査を除外しても検査精度を損なわず検診の普及と促進を図ることができる
4)近年のC型急性肝炎報告数に減少傾向は見られず針等刺入の対策が重要である。実数把握のため届出義務を周知する必要性がある
5)輸血用血液に対する検査法変更後にNATで検出されるHBV-DNA陽性例は感染既往例が主である。輸血由来HBV感染は4.7例/年に減少
6)HCIG候補作製時に用いた血漿と感染材料のgenotypeの相違性が感染防御能に影響を与える(ヒト肝細胞置換キメラマウスを用いた実験)
7)感染早期のHBV血清105コピーの感染を防御する末梢血中のHBs抗体価は、400mIU/ml前後である(同上実験)
2.感染後の長期経過と予後調査に関する研究
1)献血を契機に発見されたHCVキャリアは自覚症状がなくても肝病態が進行している可能性が高い。HCVRNA消失3例の IL 28B SNPsはメジャーアレル。無症候性キャリアからのHCVRNA自然消失率は13.2人/1万人年
2)HBVキャリアは年率3-4%が自然経過で臨床的治癒へ至るが、HBe抗原陽性のまま35歳を超えると同治癒率は1%に低下
3)5県の検討により、医療機関受診を促進する仕組みの必要性、医療機関未受診の肝炎ウイルス陽性者は相当数存在する、業種別HCV検査受診率は異なる
3. 治療導入対策に関する研究について
1)近年早期の小型で発見される肝癌については肝機能を悪化させないことが重要である
2)肝細胞癌の発癌予測には、高感度AFP-L3%と画像診断を組み合わせて行うことが有効である
1)社会に潜在している無症候性HCV、HBVキャリアの推計数を地域別年齢階級別に提示し、検査未受診と考えられるキャリアが相当数存在する
2)血液透析患者集団におけるHBV感染の新規発生率は、同HCVと比較して低い
3)治療歴のないHCV検診受診者を対象とすると、高感度HCV抗原検出系の導入によりNAT検査を除外しても検査精度を損なわず検診の普及と促進を図ることができる
4)近年のC型急性肝炎報告数に減少傾向は見られず針等刺入の対策が重要である。実数把握のため届出義務を周知する必要性がある
5)輸血用血液に対する検査法変更後にNATで検出されるHBV-DNA陽性例は感染既往例が主である。輸血由来HBV感染は4.7例/年に減少
6)HCIG候補作製時に用いた血漿と感染材料のgenotypeの相違性が感染防御能に影響を与える(ヒト肝細胞置換キメラマウスを用いた実験)
7)感染早期のHBV血清105コピーの感染を防御する末梢血中のHBs抗体価は、400mIU/ml前後である(同上実験)
2.感染後の長期経過と予後調査に関する研究
1)献血を契機に発見されたHCVキャリアは自覚症状がなくても肝病態が進行している可能性が高い。HCVRNA消失3例の IL 28B SNPsはメジャーアレル。無症候性キャリアからのHCVRNA自然消失率は13.2人/1万人年
2)HBVキャリアは年率3-4%が自然経過で臨床的治癒へ至るが、HBe抗原陽性のまま35歳を超えると同治癒率は1%に低下
3)5県の検討により、医療機関受診を促進する仕組みの必要性、医療機関未受診の肝炎ウイルス陽性者は相当数存在する、業種別HCV検査受診率は異なる
3. 治療導入対策に関する研究について
1)近年早期の小型で発見される肝癌については肝機能を悪化させないことが重要である
2)肝細胞癌の発癌予測には、高感度AFP-L3%と画像診断を組み合わせて行うことが有効である
結論
得られた知見は、研究目的に適うものである
公開日・更新日
公開日
2011-06-02
更新日
-