ウイルス性肝炎からの発がん及び肝がん再発の抑制に関する研究

文献情報

文献番号
201030030A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス性肝炎からの発がん及び肝がん再発の抑制に関する研究
課題番号
H22-肝炎・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
林 紀夫(独立行政法人労働者健康福祉機構 関西労災病院 消化器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学)
  • 野村 秀幸(国家公務員共済組合連合会新小倉病院 肝臓センター)
  • 上田 啓次(大阪大学大学院医学系研究科 ウイルス学)
  • 片野 義明(名古屋大学 医学部附属病院 消化器内科)
  • 廣石 和正(昭和大学 医学部 消化器内科学)
  • 中本 安成(福井大学 医学部医学科 病態制御医学講座内科学(2)領域)
  • 竹原 徹郎(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
  • 平松 直樹(大阪大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
  • 考藤 達哉(大阪大学大学院 医学系研究科 樹状細胞制御治療学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
37,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題は、C型肝炎におけるPeg-IFN/RBV治療と肝発がんの実態を登録データベースを用いて解析する。さらに、肝生検試料を用いた分子生物学的解析、末梢血単核球を用いた免疫学的解析を行い、C型肝炎からの発がんに関連する分子免疫病態の解明を目指す。
研究方法
1)Peg-IFN/RBV治療におけるC型肝炎からの発がん実態を、登録データベースを用いて解析する。
2)HBV膜蛋白粒子外領域をプローブとしたスクリーニングによりHBV付着因子を探索する。
3)肝障害におけるオステオアクチビンの意義について検討する。
4)肝がん患者末梢血TIE2陽性単球(TEM)の意義や、ELISPOT法にてCTL反応と治療介入との関連を解析する。また動物モデルでPD-1阻害の抗腫瘍効果を検討する。
5)造影超音波の画像と肝細胞がんの分化度、脈管構築を検討する。
6) 肝がんにおけるオートファジーの誘導とその意義を検討する。
結果と考察
1)Peg-IFN/RBV併用療法後のC型肝炎症例では、高齢、男性、血小板低値、ALT高値、Peg-IFN/RBV併用療法無効が、有意に肝発がんに関与していた。
2)HepG2細胞に発現していると考えられるHBV付着因子の存在が示唆された。
3)オステオアクチビンは炎症刺激によりマクロファージより産生され、そのサイトカイン産生能を調節していた。
4)肝がん患者ではTEMが増加しており、治療効果との相関を認めた。IFNと抗PD-1抗体の併用によりマウスにおいて抗腫瘍効果が増強された。肝がん患者において、CTLのエピトープを同定し、治療においてこれに対するCTLが誘導されることを観察した。
5)Micro Flow Imaging 1秒後にがん結節内に検出される連続した造影信号は,病理組織上で径100μm以上の動脈性血管に一致した。
6)ソラフェニブにより、肝がん細胞においてオートファジーの増強を認め、Atg5のノックダウンによりオートファジーを阻害すると肝がん細胞のアポトーシスが増強した。
結論
Peg-IFN/RBV併用療法後のC型肝炎症例では、高齢、男性、血小板低値、ALT高値、Peg-IFN/RBV併用療法無効が、有意に肝発がんに関与していた。肝発がんと炎症・免疫応答、肝がんの画像診断、肝がんに対する抗がん剤治療の分野で研究の進展がみられた。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-03-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201030030Z